ジョンとばななの幸せって何ですか

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考えることはこんなにもすごいことで、人生を変えることができるほどの武器なのだ。  よしもとばなな 


これは、本の感想ではなく、著者達に対しての感想ではないか!

と思われたらごめんなさいな読書感想文。 


この本は、相当前に一度読んでいた、が、さっぱり覚えておらず、今回また新しい気持ちで読んでみた。


よしもとばななさん(多分彼女のすべての小説を私は読んでいる)とジョン・キムさん(前回この本を読んだのはカウントせず、初めまして)が幸せについて、それぞれが人生を自分自身で作っていき、生きてきたうえで考えた事を、話されている。


ばななさんの、対談の本は今までも何冊か読んできたが、この対談の時のばななさんは、本当に会話を楽しんでるように見える。

聞き役にも、話し手にも徹さず、とにかくジョン・キムさんとの会話が楽しい、そして、この本を成り立たせなきゃとか、ジョンさんの意見を立たせなきゃとか、この話、飽きたなぁとか、が全然感じられない。

仕事用のではない本名のよしもとばななさんが見えそうになりつつ、見えない(そこはプロだからだろう。)そんな風で、カフェで隣の席に座っていて超盛り上がっている2人の話を盗み聞きしいる様な気分になった。

もし本当に偶然行ったカフェで隣の席からこんな会話が聞こえてきたら、幸せいっぱいで2人が店を出るまで、私は2人の会話に耳を傾け喜びで微笑んでいるだろう。


ジョン・キムさんは、本当に考えて、考えて、生きてこられて、そして自分自身の言葉で自分自身を作ってこられたんだなぁと感じた。

おっしゃることは、海のように深くても、とっても分かりやすく、そしてほとんどの場合、人に自身の考えを強要したりしない。

じんわりと、時にははっと、優しい語りながらもジョンさんの生きた言葉に脳が目覚めて行く。

でも、私は感じた。壁がうっすらと彼と世界、他者との間にあることを。

壁は壁でも白くて、光り輝いていて綺麗な壁だ。

あれだけの事を自分で考えられて、そしてそれに正直に向き合って、嘘をつかずに生きてこられるには、相当の悲しみがあり、考えることは彼にとって本当に武器になったのだろう。

でも、自分勝手かもしれないが、その壁の向こう側にいるジョンさんを見てみたいとも思った。





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