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#ネタバレ 映画「運び屋」

「運び屋」
2018年作品
人生には寄り道が必要だ
2019/4/10 9:04 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

クリント・イーストウッドさんも、お爺ちゃんになりましたね。

映画「ダーティハリー」からのファンには感慨ひとしお。

きっと最近ファンになった人とは、感じ方が微妙に違うはず。

それに、オジサン世代と、若者とでも、違うと思います。

どんな作品でも共通かもしれませんが、とりわけ、それを強く感じた一本でした。

老いた監督は、枯れた作品を撮りがちなものですが、この作品は、枯れていても色気があります。

彼の作品の中でも、出色の出来だと思いました。万人にオススメできます。

★★★★★

追記 ( 人生には寄り道が必要だ ) 
2019/4/10 9:16 by さくらんぼ

「本を、ネットと本屋さんで買う違い」について、「ネットで買うのはその一冊だけだけれど、本屋さんでは、ついでに、いろんな本を見ることができるので、より世界が広がりやすい」とか言いますね。

この映画「運び屋」で、主人公・アール・ストーン(クリント・イーストウッド)が、インターネット嫌いらしい発言を繰り返すのは、ネットにそんな一面があり「主題に沿っているから」だったのかもしれません。老人であるからだけでなく。

追記Ⅱ ( 「トランプの壁」 ) 
2019/4/10 9:38 by さくらんぼ

この映画「運び屋」には、白人至上主義者なら眉をひそめるような、マイノリティーが大勢出てきます。

アールが黒人に面と向かって「ニガー」と言い、「ニガーは止めてくれ、ブラックなら良い。あんたはホワイト、私はブラックだ」と言い返されて、素直に従う(意味深な)エピソードもありました。

これは、そんなマイノリティーたちとの「共存共栄の理想郷」を描いていたのでしょうか。

それを邪魔する勢力が、差押えや、警察を初めとする、正統的な公権力になっているのでしょう。

さすが「ダーティーハリー」の血統らしく、善悪が玉虫色ですね。

そして、その公権力の延長線上には、トランプさんがいるかもしれず、この映画「運び屋」には、「トランプの壁」に代表される、(寄り道を認めぬ)差別的な政策への非難が、忍ばせてあるのかもしれません。

追記Ⅲ ( 「受け子」の老人版 ) 
2019/4/10 9:58 by さくらんぼ

映画「運び屋」は、ある意味、「振り込め詐欺」の「受け子の老人版」ではないのか、と思いました。

アメリカではともかく、「振り込め詐欺」が社会問題化している日本で、それを肯定するかのような作品はいかがなものか、との疑念もわきました。

しかし、例えば、戦争映画は必ずしも戦争を描いていません。現実の育児放棄事件をモチーフにした、映画「誰も知らない」の主題も、育児放棄ではないので、親を悪人に描いていません。同じように、この映画「運び屋」の主題も、犯罪にはないので、誤解のないように鑑賞すれば、問題ないと思いました。

追記Ⅳ ( 「型から入って型から出る」 )
2019/4/10 10:28 by さくらんぼ

>それに、オジサン世代と、若者とでも、違うと思います。
>どんな作品でも共通かもしれませんが、とりわけ、それを強く感じた一本でした。

よく「型から入って型から出る」とか申します。

茶道、華道や、その他職人にも言える話で、「最初は型をマスターすることに励みますが、最後は型にとらわれないで動けるようにする」という意味だと私は理解しています。

(  ここで重要なのは、「一度は問答無用で型をマスターする必要がある」という事です。「最初から自分流にアレンジするのは許されません」。映画「ベスト・キッド」でも出てきましたが、「時に師匠への口答え、質問も認められません」。)

老人にも、学生時代が在り、社会人一年生の時代が在ったわけです。

その頃は、型をマスターすることに必死だったことでしょう。

でも、老人になった今は、型から出て行くことを、おそらく誰しも、大なり小なり、心の奥底に思っているものでしょう。それも、もしかしたら、終活の一つなのかもしれないのです。

アールが犯罪と知りつつ手を染めたのも、おそらくそんな心境だったからかもしれません。もちろん、それは悪いことですし、私は絶対にいたしませんが。

しかし、それも含めて、他の諸々のアールの心情が、理解出来るような気がしたのは、私もおじさんになったからかもしれません。

追記Ⅴ ( 映画「許されざる者」 ) 
2019/4/10 10:42 by さくらんぼ

この映画「運び屋」を観て、(カネ目当ての犯罪者)アールの生きざまに、しかし、どこか清々しいものを感じたのは、映画「ダーティーハリー」から続いている、一匹狼的な軸が、ブレていないせいかもしれません。

映画「許されざる者」の主人公みたいに。


( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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