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#ネタバレ 映画「ジョーンの秘密」

「ジョーンの秘密」
2018年作品 
「平等」を発芽させた女性のお話   
2020/8/7 16:53 by さくらんぼ(修正あり)

( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

イギリス映画で、ジュディ・デンチさんと、 ソフィー・クックソンさんのW主演。ヒロインの老いた姿と、若いころ演じておられ、期待ふくらむ作品でした。

内容は「核技術をソ連に流した一人の女性」の物語。

広島、長崎という言葉も出てきて、日本にとっては他人事ではない一本でした。

彼女は祖国を裏切ったのか、それとも救ったのか。

老若男女におすすめです。

★★★★

追記 ( 「平等」を発芽させた女性のお話  )
2020/8/7 17:17 by さくらんぼ

この映画「ジョーンの秘密」のヒロインは、核兵器開発プロジェクトに、女性として一人参加していましたが、やはり女性としての不平等を感じていたのでしょう。

そして、その上に、広島、長崎への(自分たちが作った)核兵器投下の悲劇をニュースで知り、それが「核による反撃の心配が無い(不平等)からこそできた政府の横暴」であると悟ったのです。

さらに彼女は、「核兵器を持つ国と、持たざる国(不平等)があるために、核による悲劇が繰り返される」、そう断じた。

だから、ソ連に核兵器の情報を流したのです。

やがて真相が明るみに出て彼女は逮捕されますが、その時に、「私のしたことは50年間の平和をもたらした」と、記者団の前で「それが何か?」的に弁明しました。

追記Ⅱ ( 「悶々」というエネルギー  )
2020/8/7 17:24 by さくらんぼ

そして当時、彼女には言い寄る二人の男性がいましたが、一人は露骨に(スパイのごとく)核情報を求めてきて愛が疑わしく、もう一人には奥さんがおり、どちらを選んでも、人並みの純な恋愛が出来ない状況に、悶々としていたのです。

そのエネルギーも、情報提供のパワーになったのだと思います。

追記Ⅲ ( 「目的」と「手段」 )
2020/8/7 17:29 by さくらんぼ

これは想像ですが、「核兵器」について今の日本政府が考えていること(目的)は、たぶん「日本に三発目の核兵器は絶対に落とさせない」だと思います。

その(目的)達成のための(手段)としては、

① 核武装して、諸外国が「怖くて核攻撃できない」ようにする。

② 非核三原則で、諸外国に「核兵器は持ってないから核攻撃しないで」とメッセージを送る。

の二つ考えられますが、日本としては、とりあえず手軽で崇高な②を選択したのでしょう。

しかし、それは(手段)であり、(目的)ではないので、国際情勢が変化すれば、(目的)達成のため、(手段)の変更もありうる(だから、その能力を保有し続けている)のだと思います。

追記Ⅳ ( NHK【国際共同制作 特集ドラマ】太陽の子 )
2020/8/15 16:25 by さくらんぼ

>そして、その上に、広島、長崎への(自分たちが作った)核兵器投下の悲劇をニュースで知り、それが「核による反撃の心配が無い(不平等)からこそできた政府の横暴」であると悟ったのです。(追記より)

戦争中「日本でも核兵器の研究をしていた」という話は以前から聞いていました。しかし、アメリカに先を越されて…。

もし、映画「ジョーンの秘密」のヒロイン・ジョーンの考えが正しければ、当時、日本も核兵器を開発できていれば、アメリカは日本に核兵器を使えなかった可能性があるかもしれませんね。

下記のドラマは、その当時の、日本の核兵器開発のお話のようです。

[NHK総合1・東京] 2020年08月15日 午後7:30 ~ 午後8:50

『 【国際共同制作 特集ドラマ】太陽の子

第二次世界大戦末期、京都大学の物理学研究室に海軍から下された密命は、核分裂のエネルギーを使った新型爆弾を作ること。核エネルギーの研究を進める一方で、科学者として兵器開発を進めていくことに苦悩する研究者たちの姿を描く。柳楽優弥、有村架純、三浦春馬ら、人気俳優が戦争に翻弄された若者たちを演じる。国際共同制作で作られた映画「太陽の子」とは違う視点で描く、もう一つのドラマ。BS8K、BS4K同時放送。 』

( NHKホームページ 「太陽の子 戦争に翻弄された若者たちの青春」より抜粋 )

追記Ⅴ 2022.3.1 ( 独断専行 ) 

ジョーンの事例は、①思想と、②手続きに分解できると思います。

つまり、①核の不公平が核戦争に繋がるのは本当か、②仮に本当だとしても、独断専行で力による一歩的な現状変更をしてよいのか、という2点にです。

この映画は、外国のごく稀な話を描いていたと思いがちですが、②について言えば、現代の日本でも、つい最近ニュースになっていた事例を連想します。

政治に、法律に不満があるとしたら、広くそれを表明し、国に対して(世論に対して)改正を求めるのは問題ありません。しかし、世論も熟さず、国の議論も結論が出ていないのに、独断専行をする人がいたとしたら、そこからジョーンを連想してしまうのです。


( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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