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食わず嫌いはしないほうがいい 〜“すてき”な本に出逢った話〜

すてきな一冊に出逢った。

『すてきなあなたに』

暮しの手帖で四十六年間連載されている
コラム欄をまとめたエッセイ集で、
今回私が読んだのはそのポケット版。

『すてきなあなたに 01
ポットに一つあなたに一つ』

https://www.kurashi-no-techo.co.jp/books/b_1164.html

エッセイは読む習慣がないうえ、
正直あまり好きではない。
雑誌を読む習慣もない私は
暮しの手帖ももちろん読んだことは一度もない。

本来なら絶対に
手に取ることのなかったであろうこの本。
きっかけはありきたり。
仕事がらみだ。

とりあえず読めばいいんだろう、
くらいの軽い気持ちで
最初のページをひらいた。
期待なんかもちろんしていない。

気がつけば、

ページをめくる手が止まらない。

一時間ほどであっという間に読み終わってしまった。

ページをめくるたび、
甘い、メープルシロップのような
ふわっ、とやさしい香りがする。

なんとも不思議な、けれどとても心地がいい。
柔らかくあたたかいものが
胸のなかに広がっていく、
そんな本だった。

書かれていることは、
なんてことはない日常の風景。
たいていの人なら見過ごしてしまうような
ささやかな“すてき”の数々が綴られている。

ありきたりな日常から“すてき”を見つけ出す。
これが簡単なようで難しい。

気にかけていなければ、
さらっと過ぎていってしまう日常。
その日常の一つ一つを
愛情こめて、こまやかに見つめる。
そんな著者の生き方が
ほんとに“すてき”だった。

ひょんなことから、
きっかけが生まれて出逢えた一冊。
好みではないジャンルだと、
先入観が先にたって倦厭しがち。
そのうえ年齢を重ねると、
さらに新しいジャンルには手を出しにくくなってく。

けれど、先入観を捨てて
いろいろ試してみたほうが
新たな世界が広がって絶対に楽しい。

食わず嫌いはしないほうがいい。

そう気づかせてくれた
“すてき”な出逢いに感謝。

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