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まさか育児書を読んで号泣するとは思わなかった

#読書の秋2020で、

#読書の秋2020 。この企画に参加しようとページをめくり、1番目に止まった本がこちら。

 自分でできる子に育つほめ方 叱り方/島村華子著 である。


 私には1歳10ヶ月になる息子がおり、最近お喋りも上手になってきて、それはまあ可愛いのだが(親バカであることは重々承知である)、同時に自己主張が激しくなってきている。いわゆるイヤイヤ期というやつに突入しつつあるのだ。

 特に朝のあれもイヤ、これもイヤ、イヤ、イヤ、イヤ〜!な息子を前に、保育園に送っていく時間が迫り来るあの瞬間ほど、気がどよんと重くなる瞬間は無い。

 でも、こちらの時間という都合で叱りたくはないということもあり、色んなものでなだめながら、どうにか準備をして保育園に連れて行く。送り届けて、いつもの電車に乗ることができて、初めて、やっとホッとひと心地つく。そんな毎日。


 昔から、何か困ったことやわからないことがあると、すぐに書籍を読んだり、調べたりするタチだ。

 でも、子育てには正解がない。よく寝るか・食べるか・話せるようになったタイミングなどの子どもの性質、活発・大人しいなどの子どもの性格、心配性・おおらか・真面目などの親の性格、その他、実家が近いか、職場の環境、保育園との相性、住んでいる行政のサポート体制、近所との関わり、ママ友の有無…みんな人によって違う。それによって、育てやすさも全く違うものになる。

 そして、いくら一般的に"育てやすい子"と言われる子でも、楽な育児なんでない。生まれてから今日まででそれを実感している。

 日々手探り。正解なんて無い中、特に私の言動が、子の性格や、ひいては将来を大きく左右することになるのだと思うと、時々、途方もない気持ちになる。

 そんな中、この本は、ほめ方や叱り方について、少しの道しるべを与えてくれた。大げさなことではなく、少し意識することで、実践できることも多い。

 詳細は読んでいただいたらいいが、私が最近意識していることは3つ。

 褒める時は具体的に言うこと、叱る時はイヤだねと1度受け止め、それでもこうだからしないといけないよと理由を説明すること、アイメッセージを意識すること。
 アイメッセージとは、端的に言うと、例えば「それをしたらお母さんは悲しい」「こうしてくれたらお母さんは助かる」など、子どもが〜したからこうなっちゃったではなく、子どもの行動の結果、親がどうかという言い方をすることだ。

 とは言いつつ、意識してはいるが、完璧にできているわけではない。それでも、頭の片隅に置いておくことで、今後の関わり合い方に変化は出てくると思う。


 何よりこの本で印象に残ったのは、"おわりに"である。副題は、"無理しない子育てを!"

 現代のお母さんは、理想の母親像からくる、「母親は〜すべき」というプレッシャーに対し、そうでない自分に罪悪感やストレスを感じている人も少なくない。でも、そう感じている母親と一緒に時間を過ごす方が、子どもの心にネガティブな影響があるそうだ。

 母親自身の心の満足度が高い状態であることが非常に大切だということです。

 そのうえで、完璧でなくてもいい、失敗をすることもある、と自分のイメージを変えることを意識してみれば、自分に対して優しくなれるのではと。その後の一文がこちら。

 そもそも全力で頑張っているのですから、「手抜き」なわけはないのです。そして一人でがんばる必要もないのです!

 まずはここで号泣。なんだろう、やっぱり不安なんだろうな。自分は良い母親じゃないんじゃないかって。自分の母がずっと家にいてくれたので、共働きで保育園に預けていることに少なからず罪悪感を持っているのかもしれない。自分の性格上、専業主婦は絶対に無理なのだけれども。

 この、自分が働いていることへの罪悪感についても、次の段落で救われた。

 子どもと過ごせる時間が少ないことに罪悪感を抱いている母親は多いけれども、大事なのは長さよりも質だという研究結果が出ていると。

 3~11歳の子どもたちが両親と過ごす時間の長さは子どもの行動、感情の発達、学習力に大きな影響がない一方、一緒に過ごす時間が短くとも質の高いアクティビティ(会話のやりとりをする、本を一緒に読む、スポーツや工作をするなど)を一緒にした場合、子どもたちの社会性や自己肯定感、さらに忍耐力がより高くなることがわかっています。
 逆に一緒に過ごす時間が長かったとしても、テレビをただ見る、あるいはダラダラとただ一緒に過ごした場合、子どもたちの社会性や自己肯定感が伸びないなど、成長にネガティブな影響を及ぼす可能性がより高いことも明らかになっています。

 今までの思い込みが覆されると同時に、心底ホッとした。そして、これからも一緒に過ごせる時間を大切にしようと思った。

 最終段落のタイトルは、「親も人間。全部完璧にやろうとしなくていい」

 ここで1番号泣した。詳しい中身はぜひ手に取っていただけたらと思うが、きっと、子育てに少なからず不安を持ってこの本を手に取ったであろう親に対して、そっと寄り添ってくれる、あたたかい文章だった。


 まだまだお喋りしだした、ようやく2語文を話したくらいの我が子だ。もっと話すようになって、物事の理解が進めば、より子どもとの関わり方は難しくなってきて悩むことも増えるだろう。

 そんな時はまた、そっとこの本を開きたい。そう思った。



#読書の秋2020で、ディスカヴァー・トゥエンティワンさんに賞をいただいた記事です。

今回、創作大賞2024に小説を投稿してみようと挑戦するにあたって、過去の仕舞い込んでいたエッセイを再投稿しています。

島村華子さんの素敵なご本が、育児に悩む方に届きますように。


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