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覗き趣味的な煩悩映画でもなかった

『アナハタン』(日本/1953)監督ジョセフ・フォン・スタンバーグ 出演根岸明美/中山昭二/菅沼正/沢村紀三郎/近藤宏/藤川準

第二次大戦末期の1944年、アナタハン島に漂着した日本兵が島に住んでいた女性を巡ってすさまじい争いを繰り広げる。
実際に起った事件を下敷きにしており、51年に生存者が帰国して全貌がたなり、これを知ったスタンバーグ監督が持ちましたで日本映画見作た、上作品彼の遺作。

AmazonPrimeVideo。ハリウッドのジョセフ・フォン・スタンバーグ監督した日本映画。1953年作品。実際にあった「アナタハン島事件」を元にした映画。日本の敗戦を知らずに孤島で生存していた日本人32名の中に女性が1人だけいたので、その女性を巡って殺人が起きたという興味深い内容。

ただ映画としてはアメリカ人向けでナレーションが入る(会話のいらん説明とか監督の詩的な言いましとか邪魔だった)ので俳優のセリフが聞きづらいので映像集中できない。字幕を読むのもある。思ったより規律の中で生活していた。ただ時間と共に規律も緩んでくる。そういう中で争いに武器で決着をつけようとする。

音楽もあったのだ(銃との対比で出したのかもしれない)。力関係が存在するのは集団で生きる人間の業なのか。ただ女性が女王蜂(そいうセリフも出てくるが)のように尊敬されたわけでもない。男尊女卑の生活のまま、その女を巡って奪い合いが生じたのだ。結局その女性の機転で日本が敗戦だと知って島から出ることが出来たのだが。

女性の賢さが描かれてはいるのかな。野蛮人と文明人という言い方がなされるところがあり、アメリカ人から見て、日本人は野蛮人だったのかな。そういう描き方をしているようにも思える。また日本人が撮っていたら違った映画になるのだろう。マスコミ報道を見ると、もっとスキャンダル的な映画になるな。

ネット検索したら、先に日本人による『アナタハン島の眞相はこれだ!』という猟奇趣味的なドキュメンタリーが作られていたんだ。「最も良い映画と最も悪い映画の二本立て」という形で公開されたらしい。どっちが良い映画か見なくてもわかる。でも絶対に見たいのは『アナタハン島の眞相はこれだ!』の方だったりして。

終戦後、孤島に32人の男と1人の女が……「アナタハンの女王」事件に日本中が熱狂するまで | 74年、あの戦争を語り継ぐ #アナタハン https://bunshun.jp/articles/-/13408




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