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これが本当の「終わりよければすべてよし」

『あらし』シェイクスピア, 豊田 実 (翻訳) (岩波文庫)

「人生の内容は夢さながら,我々の短い一生は眠りでけりがつくのです」この名セリフが出てくる『あらし』(テムペスト)は,難破船漂流事件に取材した伝奇劇である.弟に家を追われたプロスペロは三歳の娘と無人島に漂着して十二年,魔法の力を得て弟の船を難破させる.しかし兄弟の憎悪は若い世代の愛と希望で平和に解消する

「100分de名著 エドガー・アラン・ポー スペシャル『アーサー・ゴードン・ピムの冒険』」で難破する船がエアリエル号というのはシェイクスピア『あらし』に出てくる妖精の名前だった。それと語り手が最初に出てきて物語の決定権を握るというメタフィクション形式もシェイクスピアと同じ。ポーは明らかにシェイクスピアの影響を受けていると思った。劇中劇は、シェイクスピアお得意のものだし、ラストの舞台挨拶の終わり方など『終わりよければすべてよし』とも共通している。もっともこの作品がシェイクスピアの最後の作品と言われていた。

シェイクスピア『あらし』は、たまたま古本屋で買ったのだが原題が「テンペスト」だとは知らなかった。『テンペスト 獄中シェイクスピア劇団 』を読んでいたのでこっちを先に読もうと読み始めた。あとベートヴェンが「ピアノ・ソナタ17番で『テンペスト』を読め!」と言ったとか。物語について言えばシェイクスピアの喜劇というのは結婚で終わるのだな、ということ。悲劇が死ならば、新たな誕生の予感ということなのか?


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