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『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を観た(ネタバレ注意!)

ネタバレ注意以前にTV版「エヴァ」シリーズはネタバレしてもさらに理解不能で鑑賞者それぞれのエヴァ解釈があったものだ。それがエヴァを語る者同士で熱い議論となり、エヴァはストーリーを超えてオタク(と言ってしまうが)たちの妄想の中でエクスタシーを持続させていくオタクたちによる「独身者の機械」だった。

中二病(14歳という年齢が持つ内面世界)で経験されるもう一つの精神世界、それは現実世界とは裏表の関係で二元論的な否定神学というべき思想(このへんは哲学的「存在論」が先鋭化して問題となるのだが)、グノーシスやカバラや文学で言うとミルトン『失楽園』であり、その謎解きをしたのがディックの翻訳家である大瀧啓裕『エヴァンゲリオンの夢』に詳しい。


TV版がそんなオタクの現実逃避(二次創作)に嫌気がさしたのは監督である庵野秀明自身なのだろうか?だからTV版最終二話でアニメ作品をぶっ壊しに(精神崩壊)かかった。その手法は極めてメタフィクション的でデッサンからエヴァの裏側(シナリオも見せた)を見せて「エヴァ現象」はアニメ制作現場での出来事だと意識付けさせた。

そのとき興味深かったのはシンジと綾波レイのストーリーがラブコメであってもおかしくないという、その後に庵野秀明は学園ものアニメ『彼氏彼女の事情』を手掛けることになる。ただこの最終2話は非常に不評だった。だから劇場版でリメイクする必要があった(商業的にも庵野秀明には終われない事情があった)。

そしていくつかのTV版の焼き直しだけど「破」で登場する新メンバーの真希波・マリ・イラストリアスの謎が今回の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で明らかにされたというかその前の『Q』(これは未見だったので帰宅後アマプラで観たのだ。当時はやっぱ再構築される劇場版には耐えられなかったのかもしれない)でアスカの身代わり役(御目付け役)として登場してる。「シン・エヴァンゲリオン劇場版」はその部分で明らかに監督自身のエヴァの「私小説」化として終わらせている。

物語はエディプス・ストーリーと新たなパートナーを得ての再生物語で14歳だった同級生も結婚して子供が出来たり(ミサトさんの物語もあった)、その中でシンジ(精神年齢が止まったままだった)も成長することが求められて、エヴァ・パイロットとしての役割で最終試験で卒業したのだった。すべてのエヴァに関わった人たちへ、「卒業」おめでとう!

宇多田ヒカルのエンディング曲が素晴らしかった!


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