歌枕(観光地)巡り的な西行論
『西行』白洲正子 (新潮文庫)
白洲正子の本を読むのは初めてだった。
白洲次郎の妻なんだ。あまり好きなタイプでもないかもしれない。だから今まで読んでなかったのだな。繋がりが見えない。
まあ、今回は西行ということで。MOA美術館の西行の肖像画が気に入ったようで、思い込みの激しい人なのだと思った。その時点でもう引いてしまうな。
白洲正子の「西行」は桜の西行に注視するほどに歌枕の西行巡りであるような観光地的になっている感じがする。そこに浪漫主義的な西行の読みがあり目崎徳衛の「西行」と対立する部分ではないのかと思う。
それは「西行」の説話物語から読み取る西行であり、辻邦生『西行花伝』のエッセイ的な浪漫主義性が感じられる西行である(それは作家が形作る西行であって否定できない)。花=桜の西行か、月で読む西行かという違いがあるのかもしれない。月影は虚妄(虚構)である。
吉本隆明の批評とは違う物語的な西行か?
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