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ゴーゴリのメタフィクション・ホラー・ミステリー映画

『魔界探偵ゴーゴリ 暗黒の騎士と生け贄の美女たち』『魔界探偵ゴーゴリII 魔女の呪いと妖怪ヴィーの召喚』『魔界探偵ゴーゴリIII 蘇りし者たちと最後の戦い』(2018/ロシア/107分)監督:イゴール・バラノフ アレクサンダー・ペトロフ(ゴーゴリ役)、オレグ・メンシコフ(グロー役)、セルゲイ・バディク(ヴァクーラ役)


★ロシアのエドガー・アラン・ポーと呼ばれ、芥川龍之介の作品や日本文学にも強い影響を与えた文豪ニコライ・ゴーゴリ。
本作は悪魔や魔法使い、妖女などの伝承を織り交ぜたゴシックスタイル作家でもあったゴーゴリを主人公に、異世界と繋がる闇の力に覚醒し、
邪悪な者と対峙して難事件を解決していくダーク・ヒーローに落とし込んだ。
本作はゴーゴリが残した傑作の一つ「ディカーニカ近郷夜話」の原案にも繋がっていく。
★3部作すべてロシア初登場1位の快挙!
本国ロシアで第1作「魔界探偵ゴーゴリ 暗黒の騎士と生け贄の美女たち」が「ベイビー・ドライバー」を抑え初週第1位を記録すると、
第2作「魔界探偵ゴーゴリII 魔女の呪いと妖怪ヴィーの召喚」も、「レディ・プレイヤー・ワン」を抑え初週第1位。
そして本作「魔界探偵ゴーゴリIII 蘇りし者たちと最後の戦い」も初週第1位と、3部作すべて初登場1位を記録!

★ロシア大ヒット作品を手掛けたクリエイターが集結!
撮影監督はロシアで大ヒットした「デイ・ウォッチ」「ナイト・ウォッチ」、VFXは「アトラクション 制圧」「ガーディアンズ」等を手掛けたロシア最高峰スタッフが集結!

★米アカデミー賞の予告編版である、ゴールデン・トレーラー賞 最優秀外国アクション部門ノミネート!


【あらすじ】
妖怪ヴィーとの決戦で一命を取り留めたゴーゴリは"黒騎士"の容疑をかけられ逮捕されてしまう。
同じく収監されたヤキムから自身の出生の秘密を打ち明けられる。
そして163年前、ポーランド人異教徒のギャングがウクライナの農場を荒らしていた時から"黒騎士"がディカーニカに出現するようになり、まるで何かの復讐をするように若い女性を殺していたという呪われた過去が明らかになる。
ゴーゴリは闇の力で邪悪な呪いを取り除き、"黒騎士"を捕えることができるのか――

三部作だけどゴーゴリに興味がある人意外は三作目を見れば十分だと思う。一作目と二作目はちょっと分かりにくく、三作目の最初に粗筋を紹介してくれるので、いきなり三作目を観るのもありだと思う。すでにゴーゴリは死んでいるのところから始まるのだが。

ゴーゴリはディカーニカ村出身でセイントペテルブルグでロシア的なキリスト教徒になっている。ウクライナのディカーニカ村は辺境で異教徒のいる習慣があり、それが各月における祭なのだがその日に殺人事件が起きる。

キリスト教から見た異教徒の村というのは遅れた文化をもっているという感じなのは、日本の柳田国男が『遠野物語』で語った民話のような話がゴーゴリの描いた『ディカーニカ近郷夜話』というウクライナの民話集なのだが、それをダークミステリー仕立てにしたのが、この映画。『遠野物語』を金田一シリーズの『八ツ墓村』にしたようなミステリー・ホラー映画になっているのだ。

ロシアのエドガー・アラン・ポー(1809年1月19日 - 1849年10月7日)というのは間違いで、エドガー・アラン・ポーがアメリカのゴーゴリ1809年4月1日ユリウス暦3月20日) - 1852年3月4日(ユリウス暦2月21日))なのだ。

この映画はゴーゴリの喜劇的な饒舌な騙りはなくてエドガー・アラン・ポー仕立てだが。それでホラー的な物語を強調するから前半はハイウッド物のホラー映画のモノマネ映画のように思えるのだが、最後まで観るとこの映画がゴーゴリの作家としての成功を描いたメタフィクションになっていることがわかるのだ。プシーキンが最後出てきていいとこ取りをしたり、ゴーゴリは作家になるためにアル中で(これもポーだな)幻想に憑かれながら『ディカーニカ近郷夜話』を書き上げるのだが、それが成功して大作家となったようなストーリーで面白かった。基本、ホラー映画で魔女(水の精ウンディーネに似ている)や暗黒騎士(悪魔)が織りなす壮大なドラマなのだが、魔女の話が姉妹の過去の王女の面白かった。姉妹がそれぞれ魔女と悪魔になるのだが。その二人に愛されてしまう魔界探偵がゴーゴリという設定なのだ。


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