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ゴーゴリのキリスト降誕祭はクリスマス・ストーリー

『ディカーニカ近郷夜話 後篇 02 降誕祭の前夜』ニコライ ゴーゴリ, (翻訳) 平井 肇

ゴーゴリがウクライナの民話集「ディカーニカ近郷夜話」から「降誕祭の前夜」。「降誕祭」はキリスト誕生のこと。クリスマスの風習を折り込んだ民話となっており、クリスマス・ストーリーの一種だと思う。悪魔が星や月を盗む始まりから、暗夜にディカーニカ村に起きるドタバタ喜劇。

鍛冶屋のワークラは村一番の美人ツンデレ娘オクサーナ(母親が魔女と噂される)に恋するのだがつっけんどんにされてしまう。彼女が無理な叶えられそうもない注文、エカテリーナ女帝の靴をプレゼントして欲しいという言葉を真に受けて、悪魔をやっつけながらその目的を果たすのだった。オクサーナの親父がどうしようもない酔っ払い親父という感じ(ロシアのアル中親父イメージ)で浮気しようと女のバーに行くのだが、それも絡んで来る。このへんの物語がウクライナのクリスマスの風習を描いていて面白い(話が複雑になっていくが)。

m.Aさんの記事がウクライナのクリスマスの紹介を兼ねてこの物語を紹介しているので一読をススメます。

他の「ディカーニカ近郷夜話」も読みたくなりました(後のゴーゴリはこの作品を評価せず、ナボコフも古すぎるスタイルと批評しているようだ)。

最近公開されたロシア映画『魔界探偵ゴーゴリ』シリーズがこの物語をオカルト・スリラー仕立てにしていた。これはゴーゴリといようり、ポーのオカルト・スリラー仕立て。


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