ヤジを排除する社会にやってくる世界
『ヤジと民主主義 劇場拡大版』(2023年/日本/100分)制作・編集・監督:山﨑裕侍
ヤジというのはけっして歓迎されるものではないが、それを排除するのはもっといけないことだと理解する映画。
まず公道の演説でヤジを飛ばすというのは、当たり前のようにあることで、それを演説で黙らせるのが自由民権運動からのスタイルだったはずだ。ヤジも利用して客を惹きつけるのがそれまでの政治家だったはずだ。それを公共の場で警察が取り締まるということは、本来あってはならないことなのだ。
一審は全面勝訴だったが控訴され、二審では男性のヤジの人は敗訴で女性は勝訴だった。男性の裁判の場合、警察は男性が自民党員から暴力を受けたから男性を安全な場所に引き離したと言っているのだが、普通は暴力をしたほうを逮捕するなり隔離するなるするだろう。それをしないで、自民党員の者が時効になった時点でビデオを公開するとか、明らかに異常な裁判であることが明白であった。まあ、日本の裁判も権力者の言いなりというのは最近感じることだが、この国は三権分立なんて絵空事のように思える。
デモも妨害する右翼側を警察が守ったりしているのだから、つくづくこの変な国になってしまったという印象だ。そういう意見を取り締まる結果、最終的には暴力で訴える輩が多くなったという印象を受ける。それは世界全体に言えることだが、権力を持つ者が暴力で支配する世界になっているのだ。
自由に発言できない国がどうなるかは世界情勢を見ていれば分かるだろう。日本の自由がけっして未来も約束されたものではないのだ。
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