ダースベイダーとしての光源氏
『窯変 源氏物語〈2〉 若紫 末摘花紅葉賀』橋本治
天皇が太陽ならば光源氏は月。さらにその天皇の妻(義理の母)を愛してしまったのだから、欲望のはけ口は他にむかうしかなく、それが月影となって当時の女たちを照らす物語だったのが、月そのものの影の部分、つまり暗黒光源氏として描いている。闇堕ちしたダースベイダーかと思ってしまった。「若菜」でも「末摘花」でも本人は動かない。自分の思い(欲望)を伝えるだけ。それに右往左往する惟光だったり大輔の命婦だったりする。従者は常識人であるが王の命