光源氏はかくも美しきダークサイドの王なのか?
『窯変 源氏物語〈5〉 蓬生 関屋絵合 松風 薄雲』橋本治 (中公文庫)
各帖がページ数以上に長く感じるのは光源氏のモノローグがどこまでも問いのなかに彷徨っているからだろうか?「蓬生」は待つだけの末摘花が姫として宮廷に上がっていくファンタジーとして面白い。続く「関屋」「絵合」ではぐっと明るい調子になっていく。「関屋」では空蝉よりも小君の不服従に腹を立てる。「絵合」がこんなにも明るく感じられたのはそれまでの経緯があったからだろうか?「松風」は再び待つ女と母でありながら愛人であ