性能がつたわらない時、どうしたらよい?
お客さまから、こんな質問をいただくことがあります。
うちの商品は性能は良いのに、なぜか売れない。
商品の良さをどう伝えていいのか分からないというものです。
8割の商品が知られていない
市場にはヒット商品とそうでないものがあります。そして売れていない商品の8割が「知られていないこと」が原因であるといわれています。
それは決して広告の出稿量が少ないとか、露出が少ないという意味ではありません。
上記の「知られていない」は、商品のもつ優れたスペックが、お客さまに「正しく伝わっていない」状態を指します。
いや、ちょっと待てよ。私たちは商品が持つ価値を正確によどみなく伝えているぞ、と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、そう思い込んでいる事業者の方ほど注意が必要です。
商品を販売される方にありがちな傾向ですが、事業者さまが、ひとつの業界において熟練すればするほど、セールストークはわかりづらくなります。
それは、事業者さま側の知識が深くなりすぎて、客観的視点を持ちづらくなっていることが原因です。
多少、難しいことや専門的な言葉でも、次第に「これくらいはお客さまもご存知だろう」と思うようになってしまうのです。
そうなると、どんどんその人のセールストークは複雑で「正しく伝わらない」ものになります。
むずかしい言葉で伝えていませんか
キャッチコピーは、小学3年生が理解できることばで書け、と言われます。しかし世の中の8割の商品は、これができていません。
難解なことばをつかう。社内でしか通じない専門用語をつかう。直感的にわかりづらい指標をもちいる、などされていませんでしょうか。
これはお客様からすれば、呪文を唱えられているようなものです。この呪文をいかに分かりやすく「通訳」してあげるか、が重要なポイントです。
また厄介なことに、お客さまはその説明が理解できなくても、「わからない」とは言ってくれません。なぜなら、分からないのは、お客さま自身が「自分の理解力や知識が足りないからだ」と考えるからです。
誰しも自分を馬鹿だと思われたくはありません。説明を聞きながら、内心では「なにを言っているのかさっぱり」だとしても、いかにも分かったような顔をして、ふんふん頷いているものです。
では難しいことばを使わずに伝えるには、どうすれば良いのでしょうか。
わかりやすく通訳する
歴代のヒット商品の多くは、商品のもつ価値を、分かりやすく伝える工夫がなされています。
①100人乗っても大丈夫
東京大田区にある家具・物置メーカー、稲葉製作所のテレビCMで有名なフレーズです。
「やっぱりイナバ、100人乗っても大丈夫!」この強烈なビジュアルとフレーズに馴染みのある方も多いのではないでしょうか。
これは1987年CM放映時、「8235kgの重さを耐えられる物置」という機能をどう分かりやすく伝えるか、という中で考えられたフレーズです。
8235kgが、ちょうど成人男性100人と同じくらいの重さだと気がついた人がいたんですね。
②ゾウがふんでも壊れない
昭和の名作でいえば、こちらも忘れてはいけません。サンスターの筆箱のCMで使われた「ゾウがふんでも壊れない」というキャッチコピーです。
これは当時、まったく認知されていなかったポリカーボネート製の筆箱をPRするため考案されました。
ポリカーボネートは耐久性がとても強く、約1.5トン以上の重みにも耐えられました。
そこでゾウに踏ませてみよう、というクレイジーなアイデアが出たのです。1.5トンの耐荷重を、これほど明確に伝えるクリエイティブはありません。
③1000曲をポケットに
こういった発想においては、スティーブ・ジョブズも天才的でした。
超小型の音楽プレイヤーであるiPodをリリースする時、彼は商品を「1000曲をポケットに」とPRしました。
iPodが革新的だったのは、「小型であること」と「5GB」の容量でした。そしてこれを「ポケットに1000曲」という言葉に変換したのです。
日常にあるアイデアを集めよう
こういったクリエイティブは、デザイン制作会社や広告代理店が提案します。しかし適切な提案ができていないクリエイションも沢山あります。
こればかりは良い制作会社と出会うしかありません。
なぜなら物事をシンプルに伝えるのは、とても難しいからです。優れたクリエイティブは、一朝一夕の経験でできるものがありません。
しかし、簡単に改善できる部分もあります。
例えば販促ツールやwebサイトにおいて、よく見かける以下のような文言。
こういった何でもない訴求コピーを下記のように変えたところ、問い合わせの電話が大幅に増加したそうです。
ポストに投函されているチラシやDM、テレビで見かけるCMや通販番組など、私たちの身の周りには、広告・販促があふれています。
普段は見過ごしてしまっている、そういった販促アイデアをぜひ収集してみてください。
きっと世の中の広告のプロが考えた、優れた知恵やノウハウを発見できるはずです。それらをうまく反映することができれば、御社の販促ツールはさらに分かりやすく、伝わりやすくなるはずです。
それは8割の会社がやっていない工夫です。
ぜひ参考にしてみてください。
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