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映画 「ボクたちはみんな大人になれなかった 」

大好きな森山未來が出演すると分かってから公開を待ち侘びていた。
入っているのでNetflixでも見れたのだが、大きい森山未來が見れるので映画館での鑑賞を選択した。

一人の男の人生を少しずつ遡り振り返っていくこの物語。
46歳現在の佐藤を客観的に見ると、くたびれた印象こそあるもののそれなりに地位を築いた普通の大人である。
ただそんな彼の人生を振り返ってみても、たしかに明確に大人になった瞬間というのが見つからない。

いつも現状に満足できなくて、何かを追い求めたいがそれが何か定かじゃない。
でも周りにいる人間たちとその時その時を懸命に生きてきた佐藤。
その連続で人生を積み重ねてきて46歳になった…

そんな怒涛の日々のどこに大人になるなんて余地があるというのか。
社会的に見て大人だと判断される様になるだけで、内側の自分自身がこれまでの未熟な自分から劇的に成長を遂げて大人になるということとはまた別の話なのだ。

そう思うとふと気が楽になった。
誰も芯から大人じゃないし、別に大人になれなくても未熟な自分を抱えて生きていけば良いんだと。
ただ、それでも幸せになるには逃してはいけない点をひとつ、この映画は教えてくれた。

かおりが放った台詞 
「どこへ行くかじゃなくて誰と行くかなんだよ。」

大人になれなくても普通の人生でも、かけがえのない人との出逢いを大切にするということ。

映画終盤、走馬灯のように駆け巡る、佐藤と共に生きてきた人々の顔。
結局何もない自分に意味を与えてくれていたもの。
その一人一人の存在こそが、自分の人生がもたらしたかけがえのない財産だったということに後になってから気づく。



もがく日々の中では見落としがちだからこそ、大切にしたいもの。
私も何度となく取りこぼしてきたし、これからも失ってしまうだろう。
夜明けの街で後悔の涙を流すことになるかもしれない。
いつまでも大人になれない自分に呆れながら。

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