さよなら、鍋
とうもろこしごはんを炊くために購入した『STAUB/ラ ココットde GOHAN』。
鍋が届いてから、ある事に気がつきました。
家に鍋が結構ある。
もう何年も使いすぎて出どころ不詳の鍋もたくさんありまして、捨てられずに現在に至るといったところでしょうか。
これまで何度も引っ越しを経験しているけれど、私はどうやら鍋と共にその土地を去り、鍋と共に新しい土地へ根をおろしているようです。
鍋と共に去りぬ。
教えてスカーレット、どういう物語なんそれ。
この2年でよく自炊をして料理を楽しむようになったので、新しい鍋が欲しいなと思っていたタイミングでしたし、STAUB鍋の使い勝手が良かったら少し大きめのサイズを買おうかなと考え始めていましたが、その前にもう不要だと思う鍋は手放さないと収納が限界をむかえそうです。
鍋1、鍋2、鍋3、鍋4…収納で長年無慈悲に重ねられ、今か今かと出番を待っていた鍋たち。
さぁてどの鍋を手放してやろうか…!
これまであまり、こだわったものや良質なものを買った事がないので、機能的側面かデザイン的側面にどこかちょっと欠点があるようなものがほとんどですが、それでもここまでやってきました。
火焔型土器に比べたら高性能やないか、と。
うん間違ってはいない。
例えばこれ。
直径25センチ、厚み2ミリぐらい、お値段たしか3000円前後。
名前は出せませんが某有名ブランド『ル・クル○△※ゼ』を思わせるオレンジ色のグラデーションとベージュの配色。
え もしかしてパクっ……コホン。
この鍋の特徴は、鍋本体からなだらかで美しい曲線を描きながら外に向かって着いている花弁のような取手です。
まるで今まさに満開になった花の生命力と輝きを思わせるこの鍋は、火にかけられらるやいなや、本体と花弁(取手)の一体化によってその神々しいエネルギーが花弁(取手)の隅々まで注がれ、人間が素手で掴むなどという無礼を一切許さないのです。
あっっつ。
ほんま火傷するでこの鍋。
使用時は、厚手の布巾かミトンが必要だと学びました。
他にはどこで買ったかわからないこれ。
いわゆる寸胴鍋というやつでしょうか。
無駄のないスマートな機能とデザインは、バルミューダのプロダクトと相通ずるものがあるはずなのですがおかしいな、何かが違う。
本当にいつどこで知り合ったのか全く記憶にないのですが、少なくとも10年以上一緒に暮らしている気がします。
しかもね、驚かないで下さい双子です。
一卵性双生児の寸胴鍋。
やっぱり2人ともよく似てるわねって、それより同じの2個も要ったん?
ああでも、こういうのも良いかもしれない。
屋外イベントのテントで頭にタオルを巻きながら、カレーやシチュー、おでん、豚汁、粕汁といったものを大量に作ってふるまってみる。
お客さん多めに入れといたから!
サービスやで!
お得意の白昼夢を楽しめるところがこの鍋の魅力です。
これは唯一のこだわり圧力鍋。鍋界のトップに君臨しています。
とにかく重い、何が重いって蓋が恐ろしく重い。
私は初めてこれを手にした時に、ここまで蓋を重く頑丈にしなければいけないなんて、圧力をかけるという事、それすなわち恐ろしいほどの力が加わるものなのだと実感しました。
自己の意に従わせるために、権力、財力、武力、集団などの力によって圧迫するなんて絶対にあってはなりません!以上!
鍋の話に戻ります。
こちらはどうでしょう。
もうこれは私の記憶が正しければ15年以上一緒です。主にはお味噌汁担当の現役プレイヤーで、これを使わない日はほぼ無いと言っても過言ではありません。
でも正直、うち、これをもう捨てたいねん。
だってあんた、テフロンか何かわからへん加工がもう、剥げてきてるやんって。
あんたもう、ボロボロになった、ただの鍋ンズやんって。
でもな、うち、捨てられへんねん。
わかってる。
こんなんもう愛やあらへん。
ただの情や。
誰もおられないかもしれませんが、自分としてはこのnoteというプラットフォームにおいて「伸び伸びと羽を伸ばす」をコンセプトに掲げている事を、念のためお伝えしておきたいと思います。
そして私ははたと気がつきました。
こうやって1つ1つ鍋を見ながら、いつ、どこで、いくらで買ったのか、何を作ったのかを振り返り、現在のコンディションをチェックする作業によって鍋に人格らきしものが与えられ、情が湧いてくる、と。
捨てることすら面倒なので、ただ一緒に連れてきただけなのに。
これが世に言う“向き合う”という事なのでしょうか。
“向き合う”の定義が曖昧でしたが、もしかすると対象物を“検証する”という行為なのかもしれない。
私は今、鍋を前にして真剣にそう考えています。
それより手放す鍋をどれにするか、真剣に考えた方が良い事はわかっています。
#日記 , #エッセイ , #鍋 , #自炊 , #料理
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