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Canvaのおかげで最低限の資金で事業を展開させ1年でブランドを確立した姉妹の話

「お姉さん、届いたよ!」

茶色の封筒を手に勢いよくリビングに入ってくる妹を見て、何が届いたのかすぐにピンときた。

約1年前、自力で書類を準備し出願していた商標登録の結果が郵送されてきたのだ。

「本当にとれたね!案外はやく結果出たね」
「うちらすごくない!?」

街の弁理士さんに相談にのってもらったものの、不安いっぱいで出願したことを思い出し、ひとしきり喜んだ私たち。

いよいよ自分たちのブランドのオープンに向けて前進した日だった。

就職し、留学をし、結婚もして妹は出産も経験した。
30代後半に差し掛かっていた私たち姉妹が温め続けていたやりたいこと。

それが、ハンドメイド事業。

私たちは三姉妹、幼少期の写真を見ると着ている服のほとんどが洋裁を得意とする母の手作り。
祖母も叔母も裁縫が得意なので、たぶん受け継がれたものなんだと思う。

3人とも裁縫が好きなのだ。

布製品は色々あるけれど、自分たちの得意を活かして商品化することにしたのは布ナプキン。

妹は長年アトピーに悩まされていて、少しでも肌に負担をかけないために布ナプに変えて15年が経っていた。私も出張の多い仕事を辞めたのを機に布に変えて今ではすっかり布ナプを愛用するひとり。

布ナプキンを知らない方のために簡単に説明すると、月経時に使う生理用紙ナプキンの代用品で、布は洗って繰り返し使えるアイテム。

フェムテックが注目されるようになった最近、サニタリー用品の選択肢として、またゴミの出ないサステナブルな商品として布ナプキンを推していきたい! と言いたいところだけど、実は動機はもっと単純だった。

「使ってて気分が上がるおしゃれな布ナプキンが欲しい!」

商標がとれたことが追い風となり、いよいよ私たちの理想の布ナプ作りがスタートした。

布生地選びと試作、そして取れない採算

肌が弱い方でも安心して使える、肌にやさしい生地選びが始まった。

肌面に当たる生地は5種類以上取り寄せて、洗いをかけて乾いた後の状態も柔らかさが維持できるか確認した。数ヶ月かかったが、理想の生地を見つけることができた。

肌面ではない側、柄選びは楽しみだった。

形にもこだわった。今の形とは程遠い何十枚もの試作品も大事にとってある。

私たちは布ナプのことをハグナプと呼んでいる。
(そのままブランド名Hugnap®になっています)
スナップボタンをショーツにつける時に抱えるようにくっつくその姿がハグしてるみたいだからだ。

ハグナプは試行錯誤を繰り返して私たちの理想の姿となっていった。

商標をとってから半年後、いよいよ販売できる状態になったが、次は売ることについて考えなくてはいけない。

店舗を持つことはできないので販売場所はオンラインショップに決めていた。

商標をとったり生地にこだわったり試作品を何枚も作ったので、ここまでも資金がかかっている。

少量製作ではあるが、一度に数メートル単位の布を買うにはやはりまとまったお金がかかり、妹と頭をつきあわせて計算をすると、採算からかけ離れた現状に思考は停止し、2人で黙ってしまった。

布ナプキンの素材の質を下げたくないので、これから先の広報活動にはお金をかけられない。だけど、オンラインショップを立ち上げただけでは購入されるわけない。

暗雲が立ち込めそうになっていた時、私たちを救ってくれたのが無料で使えるオンラインのグラフィックデザインツール、Canvaだった。

救世主Canva

今思えば、計画が中途半端すぎて苦笑いなのだけど、そんな青い私たちであっても、Canvaがあったからこそ、開店することができた。

この時はサブスク代年間12,000円を支払うこともためらってしまう状況だったので無料プランを使っていた。

それでも問題なく、私はCanvaを開いては「こんなこともできる、あんなこともできる」と感心しながら夢中で必要なものを作った。

  • ロゴ作成依頼用の資料

  • ショップカードデータ

  • ブランド印データ

  • オンラインショップにあげる商品画像

  • 商品の使い方説明

  • インスタグラム投稿用画像

これは後から知ったことなのだけど、Canva日本語のミッション&バリューは、「あらゆる人がデザインで輝ける社会をめざす」なのだそう。

ますますCanvaのことが好きになった。

進展のない冬、そして桜の季節

当初の予定より2ヶ月延びたけれど、2022年1月11日にオンラインショップをオープンさせることができた。

最初の3ヶ月はインスタグラムでもらえる「いいね」に励まされながらも、特に進展はなかった。

そこで、2日間の小さなポップアップショップを開いた。

桜が散り終わる4月、心地よい風がそよそよと吹き込むビルの一室、布ナプキンをきちんと並べ、ディスプレイされたハグナプの傾きを不要に気にしながら私と妹はお客さんを待った。

この時も、ビルの入口に貼る小さなポスターと、ディスプレイのための紙ものをCanvaで作った。

2022年4月

初めてのことばかりで、あれもいる、これもいると直前になって気づくような状態だったけど、Canvaを開けばすぐに作成に取りかかることができた。

実は、この時来てくれたお客さんの数は、私たちの予想よりずっと少なくて、イベントが終わった後、姉妹で密かに落ち込んでいた。

ただ、お客さんと直接お話しができるポップアップショップではたくさんの気づきがあった。

商品に対するイメージや、そこから派生する悩みを知ることができ、後々物づくりや発信に反映していった。

そして、その後ハグナプは少しずつ認知を広めることができ、自分のお店に置きたいと言ってくださる方もいたり、コラボマルシェの出展に誘っていただいたりと展開が起きた。

2023年7月には広島で行われるフェムテック・フェムケアイベントにも出展が決まっている。

もちろんここでも告知関連の制作は全てCanva、これまで制作した画像も使う予定だ。

想いだけで未熟な計画ではじめたハンドメイド事業ではあったけれど、お客さんとの出会い、同じ価値観を持った起業仲間と繋がれ、私たちが温めていたやりたいことは形になっていった。

Canvaというデザインツールがかけ橋となって機能してくれる時代。だからこそ、起業できたと思っている。

やりたいことを温めているあなたに

スキルがあって想いがあって、それを届けたいというところまで歩みを進められているひとり起業家さんを応援したい。

私たちが、Canvaがあったからこそ最低限の資金で事業を展開させ1年でブランドを確立していけたので、やりたいことを温めているあなたにもCanvaを使って自分の仕事を展開させていく楽しさを体験して欲しいです。

やりたいことを見つけて、形になるよう取り組み、どうやったら伝えたい人に伝わるか考えあぐねて、試行錯誤しながら発信する。

その道のりにはたくさんの不安が転がっているように見えると思います。

だけど、その一歩を踏み出せば、ご縁を感じたり、自分の商品をより知ることになったり、繋がりに驚いたりと、たくさんの進展が起こるし、その余韻は励みとなってまた次の一歩へと背中を押してくれます。

あなたには未だ拓かれていない可能性があるし、Canvaが縁をつないでくれるから、Canvaを使いこなす方法やアイデアを伝える活動を、今後も続けていこうと思っています。

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