テキスト単独ライブ【ひとり笑い】


はじめに

これは青西瓜による、テキスト単独ライブです。
お笑い芸人さんのピンネタの台本だと思って頂けると有難いです。
(実際には若干違うのですが、大まかに言うとそういうことです)
8万字あるので、めちゃくちゃ暇な時によろしくお願い致します。
なお、
この作品はとあるネット公開型コンテストに投稿中です。

第一部 私は誰?


・【混乱】

 頭痛が痛い……いや何か、味噌が大豆味みたいなこと思ってしまった……というか今どういう状況?
 目の前がチカチカ閃光しちゃってるし、背景はブラックだし、SFのはじまり? 手抜きのSFのはじまり?
 いや映画観てるの、私? あっ、一人称私なんだ、でも女性の一人称って少ないし。
 女性の一人称を研究している人かもしれない、私って、いやそれは決めつけが過ぎる。
 小学生の”お菓子無い事件”くらい、決めつけが過ぎる。絶対兄だと思うような、あの感覚かよ。
 兄が食べたとしか思えない、だってアイツ無神経だし、とか思っていたら自分で食べたことを忘れていただけで、兄に平謝りした日みたいな、淡い記憶がエモ過ぎる。
 兄への平謝りって子供時代にしかしないからエモいよね、この歳になるともう兄への平謝りってしないし、そもそも兄との関わり合いが薄れてくるし。
 というか私の年齢って何歳だっけ? あれ? そんなことも忘れちゃうくらいの耄碌デイズって感じ?
 いやいや自分の顔も思い出せないし、そもそも私って女性だっけ、あれそう言えば名前って何だっけ?
 そもそも名前って全員に存在するヤツだっけ、一部の村民階級にしかないんじゃなかったっけ、名前って。
 いやいやそれなら貴族だろ、村民階級って何だよ、山奥で大麻育てている闇の村かよ。
 私の祖父が大麻の陰謀論にハマったユーモア、なんだったんだ。いやユーモアじゃなくてマジだったけども。
 何かこういう周辺のことは思い出すのに、自分のことが全然思い出せない、何だろう、ちゃんとした加齢というヤツ?
 いやいやいや、いやいやいやが多いな、イーヤサーサー、ちょっとだけ沖縄になっちゃった、こんなに寒いのに。
 というか寒いのかよ、こんな混乱しているのに冬かよ、混乱する時は夏の浜辺であれよ、打ち上げられた絶世の美女が、であれよ。
 あっ、私って絶世の美女なのかな、絶世の九州男児かもしれない、何だ九州男児って言葉、九州だと広すぎるだろ。
 いやオーストラリアから比べると狭いけども、九州は主語がデカいだろ、ネット民かよ、九州は生まれつきネット民かよ。
 上司がクサい嘘松でバズってやろうか、というか私に上司なんているのか? あれ、仕事は何していたっけ?
 というか学生、学生は我がクセェ、なんて駄洒落、今必要なのかな? そもそも必要な時なんてあるのかな?
 小学生は小がクセェっていう駄洒落は、小学生時代に有効打撃だけども、我がクセェは必要な時あるのかな?
 我がクセェよりも、蝶に似た、蛾がクセェのほうがウケやすいかもしれない、これが私のブラッシュアップライフ。
 蛾の鱗粉ってクサそうだし、だとしたら意外性が無い? もっと突拍子の無いほうがウケる?
 じゃあ『雅楽せぇい!』にまで変化してみるか、いやいやクサイって万国共通博覧会ばりの面白ワードだろうから、クサイは残したほうがいいな。
 トイレも前の人に匂いが残っていたほうが格段に面白いから、認める、面白いって。不快だけども同時に面白いって、私、認めます。
 いやそんな全ての事象に誠実でありたい私という一面、どうでも良くて。
 今の状況マジで何? ずっと閃光&暗闇なんだけども。死んだの? えっ? 死んだの? 死後の世界?
 死後の世界ならもう少しピンクであれよ、死後の世界って大体ピンクだろ、これ偏見? 偏見だったら悲しいな。
 でも死後の世界の授業とか受けたことないから、これが合っているのかどうかマジで分からない。
 死後の世界って多分ピンクの行書体だよね、ピンクの行書体で『完』だよね、絶対そうなはず。
 私って多分一般的だと思うから。一般的THEガールだと思うから。良い香りもしていると思う……いや! 私の息クサっ!
 ……と思った刹那、私の視界は一気に晴れていき、目の前には茶色の天井が見えた、そう木の板丸出しの天井。
 床はフローリングでこちらも木感が丸出しで、そこに私は倒れていた。
 少し手を動かすと何だかフローリングはビショビショに濡れていて、お水かよ、と思った。
 どうやら部屋、というか一室といった感じで、室温はめちゃくちゃ寒くて、私がいるのに、と思ってしまった。
 というか、うん、私、私って誰だっけ……ヤバイ、これってもしかすると記憶喪失かもしれない。
 だってここが誰の部屋か分からないんだもん。私の部屋である可能性もあるし、でももしかしたら誘拐されて放り込まれているだけの可能性もあるし。
 そもそも自分の部屋だったらストーブ付けてるでしょ、こんな寒かったら、と思いながら窓の外を見ると、外は大雪、大粒の雪がしんしんと積もっている最中だった。
 こんな冬に記憶喪失って、記憶喪失は夏の浜辺であれよ、とさっきも思ったことを思ってしまった。
 いやまずその偏見、何? とセルフツッコミ。というかさっきまでの混乱も何とセルフツッコミ。
 でも何か自分の素ってこういう感じっぽいみたいだ、ということはあれ、私、高貴じゃないな。
 高貴なヤツ、こんな意味分かんないこと考えたりしないだろうから、いや高貴だからこそ暇過ぎてノンストップガール?
 誘拐かどうか、まずそれを確かめたい。そう思って玄関だと思われる扉を開けてみると、普通に開いた。
 いやまあ扉の前に来た時点で、鍵が内側だったからそうだろうと思ったけども。
 外の空気は凍てつくような、刺さるような寒さですぐに閉めた。
 まずストーブを付けよう、ストーブは電気ストーブみたいだ。灯油入れなくていいヤツだから楽だと思いながら、スイッチを入れた。
 さてさて、ここから私はどうしていけばいいのだろうか?


・【記憶喪失の理由】

 冷静に、理路整然と、脳内を巡らせていたけども、何か段々ヤバさを感じ始めてきて、何かまた、さっきの混乱がぶり返してきた、というか、多分、これが本来の私なんだ。
 私なんだ!
 いや! どういう状況!
 デカい声が出てしまった。でももうこうなったら止まらない。とめどなく言葉が溢れてくる。
 記憶喪失! 今時っ? 流行らなくない? 今はティックトックサイズのハンドサインブームだろ! 顔の前で手を動かせよ!
 そんな記憶喪失なんてネット上で表現できないだろ! ネット上で表現できないモノはもうブームにならないんだよ!
 140字小説を勝手に音読してネットに上げてやろうか! そっちのほうが絶対にバズるからさぁ!
 って、記憶喪失はバズるとかバズらないとかのヤツじゃなかった……さすがに錯乱していた、錯乱坊主だった、ハガキ職人のペンネームになっていた。
 あれ、何か私、ペンネームは思い出せそう、えっ? 私ってハガキ職人だったの? いやネット上のハンドルネームのほうかもしれないけども。
 青空西瓜みたいな名前で活動していたかもしれない、何このペンネーム、ちょうど面白くないよ、多分ブルースカイという言葉をアナグラムしつつ日本語にしたんだろうけども、ちょうど面白くないよ。
 いらないユーモアだよ、それならただただブルースカイのほうがいいよ、そっちのほうが潔いし、多分モテるよ。
 青空西瓜は非モテだよ、オフ会行ったら『ブスの二乗だと思ってました』と言われるヤツだよ……って! そうだ! 私! どんな見た目!
 実際まだ女性か男性かも分からないくらいだから! 洗面台はこっちかな? あった、あった、何かちょっと水垢のオーラ感じて来たけども、ちゃんと洗面台だった。
 あっ! 私! めっちゃ美人の女子! たぬき顔の美人だったんだ! 唇がエロッ! 薄ピンクじゃん! 死後の世界ばりに薄ピンクじゃん!
 しかも何か若そうだ、ヤバイ、ナンパされに外へ出ようかな……いやめっちゃ大雪じゃん、記憶喪失はマジで夏の浜辺であれよ。
 夏の浜辺なら、めっちゃイケメンに介抱されて、イケメン介抱じゃんと思いながら、日記にイケメン介抱って書くのにさ。
 まあいいか、人生勝ち組っぽいことが分かってちょっと落ち着いた、いや! 落ち着かないわ! めちゃくちゃ寒いわ! この部屋!
 これから何しようとしていたんだよ! まだ昼っぽいけども! お昼寝タイムか! いやお昼寝ならストーブ付けながら寝ろよ!
 もしかすると、めちゃくちゃ長時間倒れていたパターン? いやいや、じゃあこのビショビショの床は何なんだよ、さっきまで感がすごいある。
 何なんだ本当ここは、本当に私の部屋なのかな? まあいいか、まずは何故記憶喪失になったのかを考えよう……うっ!
 急に後ろ頭がズキンといった! これ! 中学生だったら保健室直行だ! 高校生でもそうだ! 小学生時代は何故か変なやせ我慢をしちゃうけどもっ。
 後ろ頭が痛くなるなんて、そんな、頭をぶつけたみたいじゃん、何その古典的なヤツ、昭和のドラマかよ、昭和初期のドラマかよ、知らんけども。
 モノクロの画面で何かストーカー男に突き飛ばされた女が頭をぶつけて、記憶喪失になって、男は女の彼氏と嘘を言ってそこから暮らし始めて、本当の愛が芽生えた時に記憶が戻って、女が苦悩するって、これフランス映画だったわ! 多分フランス映画だったわ! 知らんけど!
 いやいや、そんな映画に浅い私の映画妄想はいいとして、そうだ、私、映画には詳しくないかもしれない。
 やっぱりこうやっていろいろ考えたり独り言言ったりすることって有効だわ、どんどん自分のことが分かってくるかもしれない。
 えっと、今まで出たワードを整理しよう、ペンネームかハンドルネームがあり、その名前は青空西瓜で、映画には詳しくない。
 いや! 何かしらの活動をネット上でしているなら映画くらい見ろよ! 映画で学べよ! そういうところだぞ! 私!
 何がそういうところかは分からないけども何かそんな感じがする! 映画見ろよ! いろんな映画を見て吸収していけよ!
 吸収男児、いや! 吸収女児になれよ! いや何か吸収する女児って嫌だな、この言い方は止めよう。
 何かテーブルにこぼれたジュースを唇で吸う女児みたいな感じがする、マナーがなってない家庭感が出てしまう、これは止めたほうがいい。
 ちなみに吸収男児はマヨネーズを吸ってそう、マヨチュチュ的な、いやマヨチュチュって何? 昔一瞬聞いた言葉は思い出せる、じゃぁないんだよ。
 で! で! 結局頭をぶつけて記憶喪失になったってことぉっ? 何だろう、柱とかにぶつけたのかな、ちょっと部屋を散策してみるか、探索じゃなくてあくまで散策ね。
 木陰のコースくらい爽やかな朝の気持ちで、なんせそのくらいの寒さがあるから、この部屋の中は。
 わっ! 何か冷たっ! ……何だ、さっきのビショビショか、拭こうかな、でもやっぱりミステリーの基本は現状維持だからそのままにしておくか……って!
 ミステリーの基本は分かってる! じゃあ映画見てるわ! 私! 映画見てるからこういうこと知ってんだ多分!
 そう言えば、何か、特撮のエロいヤツとか見たような気がする、でも特撮のエロいヤツしか見ていないような気もする。
 じゃあミステリーの基本ってどこから覚えたんだよ! 結局ネットからってヤツぅっ? というと私はだいぶネットに侵されていたのでは。
 あっ、パソコンあるわ、この部屋、でも絶対パスワードあるよなぁ、特撮のエロいヤツ見るヤツにパスワード設定しないヤツいないよなぁ。
 特撮のエロいヤツ見るヤツは絶対秘密主義だから、特撮のエロいヤツはリトマス試験紙になるから。
 街頭インタビューで『特撮のエロいヤツ見てますか?』から始まる激長インタビューやってほしいわ。
 いやまあ特撮のエロいヤツ見てるヤツはそこで『見てます』って絶対言わないけども。
 何か、購入履歴が世に出ないかな? 特撮のエロいヤツの顧客データ集めて、私がインタビューしたいくらい。
 ジャーナリズム出てきた、私からジャーナリズム出てきた、ということはジャーナリストだったかもしれない、私って。
 ジャーナリストの記憶喪失なんて映画じゃん、私って映画だったんだ、いや! 人の人生は全部映画だわ!
 犬もそうだしぃっ!
 フフッ。
 ここまで一人で喋って自分で笑ってしまった。
 いや、私って変過ぎていいなぁ、おい。
 人は自分の創作物が一番好きって言うけども、私も御多分漏れず、自分の脳内が大好きだ。この勢いのままいこう。
 こうやってとにかくいろんなことを考えて喋っていれば、大事なことも思い出すと思うから。


・【ビショビショ】

 さてと、とにかく部屋の中を散策して、小鳥の声ーと思いながら散策して、何かを発見……危なっ。
 このビショビショの床に滑って転ぶところだった、変なぬめりのあるビショビショだから危なかったわ……これじゃない?
 私が頭をぶつけた理由ってこのビショビショの床のせいじゃない?
 あっ! 待って! ビショビショの床で転んだと仮定すると、ちょうどここ! 私の身長的に! 棚がちょっと動いてるじゃん! 倒れてきただろう私に押されてるじゃん! この棚は!
 この棚にぶつかって私! 記憶喪失になったんだわ! そう! そうだ! 最初この位置だったような気がする!
 いや! 棚に地震対策用の棒差し込んでいないんかい! 棚がズレているってつまりそういうことでしょ!
 私の地震対策感覚どうなってんだよ! 地震起きたらどうする気だよ! ここ日本でしょ! 日本ってヤバイんだから!
 いやでも、この地震対策していなかったおかげで、棚が強固じゃなかったから、柔らかくってほどじゃないけども棚が後ろに動いてクッションになって、記憶喪失くらいで済んだのかもしれない。
 はぁぁぁあああああああああああああ、死ななくて良かったぁぁぁぁああああああああああああああああああ。
 この家の間取りから察するに、まだ何も成し遂げていないだろうから、そんなタイミングで死ななくて良かったぁ。
 どう見ても、アパートの二階で、大学生の一人暮らしサイズだからね、ここから上り詰めていくぜ!
 ここから上り詰めていくぜ! って、すぐ終わる少年漫画の主人公みたいだな、週刊少年ジャンプじゃなくてコロコロコミックのほうね。
 もう打ち切り間近になって、主人公がケツを出すようになって、ちょっとだけ延命するマンガみたい。
 でも主人公がケツを出すようになったばかりに、本当に書きたいことから遠くなって、結局不完全燃焼で終わるマンガみたい。
 ここから上り詰めていくぜ以外の気持ちになったほうが良さそうだね、キャッチコピーはシャウト・トゥ・ザ・トップでいこうかな、全然洋楽のタイトルにあったかも……いや!
 私洋楽のタイトル、ちょっとだけなら知ってるかも! いやまあそれは知っていても別に生きてる人間ならあってもおかしくないか……。
 ちょっとだけ洋楽のタイトルを知っているって、全員にありえるもんな。何か知ってるみたいなのは。これは何の手掛かりにもならないだろうなぁ。
 洋楽のタイトルって、大体ちょっとだけは知ってるもんだから。他は全然知らないんだけども、何故かちょっとだけ知ってるもんだから。
 いやそんな日本人の洋楽あるあるはどうでも良くて、このビショビショだよ、いやこのビショビショ何? 冬にビショビショ?
 普通夏でしょ、夏にビール飲み過ぎておもらししちゃうんでしょ、もしかするとさっきまで子供がいた?
 子供がジュースこぼしたのかな? いや、ならその子供が吸収女児なら良かったのに。
 こぼしたジュースを唇で吸収してくれて、ビショビショが無くなって、私は滑って転ばなくても良かったのに。
 というかマジでこのビショビショ、何? フローリングの底から染み出してきた奇跡の蜜とか、そういうもの?
 匂い嗅いでみるか、床ソムリエ、いいや床マエストロの気持ちで。ソムリエは格下だから……いや、無味無臭だわ。
 面白味が一切無い、コオロギのオシッコとかなら良かったのに、いやコオロギのオシッコがクサいかどうか知らんけども。
 そこの知識はどうやら無いみたいだけども、コオロギのクラシカルなオシッコの香りとかの知識無いみたいだけども。
 オシッコクラシック、そう、オシックの経験はゼロみたいだ、オシック未体験、経験豊富な女子からオシック・マウント取られちゃうかも。
 取られたらもう思い切ってソイツに『黄色過ぎなんだよ!』って言ってやろうっと。いやそんな場面無いか。
 何か、無い場面を思うことが多いなぁ、私って空想少女だったのかもしれない、いや何歳かは分からないけども。
 空想味のガムを噛んで膨らませて、それで空を飛んで、めちゃくちゃ鷹に突かれる、そんな少女かもしれない。
 いやビショビショの話!
 また全然違う話になっていた……本筋に戻さなきゃ、クイッと、かつ、クイクイッと、ケツ歩きクイクイしようかな、いやダメ! ビショビショを拭いちゃう!
 ケツ歩きなんてしない! ケツ筋の豊富さでブレイクとか狙っていないから! ……豊富さって日本語、合ってんのかな。
 豊富ってそもそも左右対称でニクイ言葉だよね、やってんな感がある、豊富及び富山はやってる。
 富山は実力以上を見せようとしている。富士山の後継者だと勝手に名乗ってる感じある。
 ずっと志村けんの跡を継ぎたいと言っていたナイナイ・岡村隆史みたいな、でも実際は千鳥・大悟で、みたいな。
 結局大悟のほうが良い感じにスケベで……って! マジでこの話どうでもいい! いつかちゃんと真面目にしてみたい話はどうでも良くて!
 ビショビショなんなの! ホント! もういい! プイッ! 可愛くプイッ! 貴方(ビショビショ)なんて知らないんだから!
 勝手にビショビショしてなよ! もう!


・【部屋を散策】

 部屋を散策するしかないかも。
 まずここが私の部屋なのか、どうかを見ないといけないから。
 でもいっぱい喋っていたら喉が渇いてきたなぁ……ん? ラムネのお菓子がお洒落な瓶に……私って、お菓子食べるほうだっけ……?
 何かあんまりお菓子食べないほうみたいな記憶あるけども。特にラムネなんて吸収女児のおやつ過ぎるし。
 成長した吸収女児の『勉強し過ぎて疲れたし、ブトウ糖摂取しよう』じゃん。
 アイツらってめちゃくちゃブドウ糖摂取しようとしてくるイメージある、勤勉な女子は特に。吸収女児はのちの勤勉だから。勤勉の卵だから。
 親から『そんな唇吸収いけません!』と叱られたのち、何故ダメだったのか調べて、そこから調べる癖がついて、勉強好きになる子たちばかりだから。
 だからもうブドウ糖摂取ってめっちゃ言うと思う。摂取って言い方するよね、賢い子って。食べるとか言わない。
 何か娯楽を楽しむことも摂取って言う人いるよね、キッシュみたいに言うなよ、と思うよね。
 ほうれん草のケーキ風おかずかよ、って思っちゃう、摂取はキッシュ過ぎるし、あとキッスも見え隠れしているし。
 摂取キッシュキッスなんだよな、賢い系クール美女は摂取キッシュキッスなんだよな、マジで嫉妬するわぁ。
 絶対負けたくない、私は摂取キッシュキッス勢には負けたくない、こういうリア充には絶対負けないという気持ちはマジである。
 いやということは私って意外と陰キャだった? この気持ちはマジで芯からあるから。
 じゃあ私は陰キャの星になりたい。陰キャのベガになりたい。もはやスト2のベガになりたいし。
 ワッハッハ、サイコクラッシャーになりたい。紫色のオーラを纏いながら、体をピンと伸ばして地面と平行になりながら空中を飛ぶタックル技、サイコクラッシャーをしたい。
 相手に飛び掛かって二,三回踏みつけるように蹴る攻撃もしたいし、ワッハッハ、サイコクラッシャーしたいし。
 タイにアジトを構えたいし、サガットを四天王に入れたいし、サガットの胸の傷って、リュウの昇竜拳なんだよね、って話を居酒屋でしたいし、ベガみたく。
 ベガルタ仙台みたいにホワイトボード持ってボケてくるマスコットにもなりたいし、もう全ベガをやりたい。
 そんな気持ちで今、いますが、さぁ、どうでしょうか、今の自分よ……問いかけても思い出せたりしないかぁ……この作戦、イケると思ったんだけどなぁ。
 仕方ない、ちゃんと部屋を散策しよう、探索はまだしない、そんなシリアスじゃないと自分に言い聞かせながら、爽やかに散策しようっと。
 ふむふむ、お洒落な瓶に入ったラムネね、うん、瓶持ってみると分かるけど、結構デカいわ、子供用のラムネじゃないわ、きっと。
 いやでもラムネって子供のお菓子だよね、でもこのサイズ、アメリカ人のラムネじゃん、勃デカじゃん、じゃあこの家ってアメリカ人出入りしてる?
 してる可能性出てきたな、なんせ何も覚えていないからあらゆる可能性がある、あらゆる可能性があるって何か希望に満ち溢れていていいな。
 私のテーマソングにしよう、勝手に歌状にしようっと、UKドリルのトラック使用しようかな、ゴツイ・ラップ楽曲にしようかな。
 希望と美貌で韻踏もうかな、私ってそうだと思うから、まあ美貌は間違いないし、こんな楽しいこと浮かびながら記憶喪失を探っているんだから希望しかないっしょ。
 ないっしょ、って言うほうだったんだ、私って。ないっしょって、かなり陽キャじゃない? じゃあ私って陽キャだったの? どっちなんだろうなぁ。
 いろんな可能性があるけども、アメリカ人用のラムネがあるのなら、陽キャパーティータイムなのかもしれない。
 エロい水着とか出てきたらいよいよだな、エロい特撮の服出てきたら絶対陰キャだけども。
 エロい特撮が好きなヤツに陽キャいないから。エロい特撮なんて手の込んだスケベ、陰キャしか盛り上がらないから。
 あとは何だ、他にお菓子があれば、そのお菓子の種類を見れば、出入りしている人たちが分かるかもしれない。
 普通にまだ子供状態の吸収女児もいるかもしれない。絶対に摂取キッシュキッスに進化させないから。そんな港区ポケモンに進化させないから、って喉渇いているんだった。
 まず水飲もう。キッチンへ行って、お水ー、コップ美味しい、いや、コップからのお水美味しいだった、逆になっていた、こんなことも起こりうる、それが脳。
 脳ってすごいな、だって記憶喪失も巻き起こすんだもん、こんな寒い冬の日に大冒険の始まりだよ、夏の浜辺であれよ。
 夏の浜辺で落ちてきたヤシの実で頭を打って記憶喪失だろ、定番ってそうだろ、こんな寒い部屋スタートの映画無いだろ。
 アパートの扉を開けたり締めたりしている映画になっちゃうじゃん、もっと壮大にいこうぜ、ってマジで思う。
 まあ今日は本雪で、アパートの扉も開けたくないけども。会話劇。一人会話劇かよ。独り言劇かよ。あっ、一人芝居って言うなぁ、そういうのって。
 独り言劇って言わないな、一人芝居だわ、いろんな日本語あるのね、ありがとう……って、イマジナリーフレンドと会話しちゃったよ!
 イマジナリーフレンド、もふもふの。
 いやこれは違うわ、何も見えてないのに勝手にもふもふにしようとしてしまった、何か、本当、脳がおかしいなぁ、それとも通常運転なのかな、これが私の。
 記憶喪失になってるから何か異常はあるかもしれない、ここは慎重に散策していこうか、まず私が頭をぶつけたことにより動いた棚をチェックしていくか。


・【棚】

 ぬいぐるみが結構飾ってあるなぁ、何かニッコリ笑っているぬいぐるみが多い、というか全部同じシリーズ?
 何か小さいし、もしかしたらガチャガチャのヤツなのかもしれない、ガチャガチャのぬいぐるみいっぱいやるほうのヤツなんだ、私って。
 これは陽キャなのか陰キャなのか分からないなぁ。でも心に穴が開いている感じはする。ぬいぐるみで埋めようとしているみたいな。
 穴にぬいぐるみを住まわせたいというか、住んでくれたら楽しいな、みたいな、ぬいぐるみの高級リゾートになりたい的な?
 ここはまああんまりヒントっぽいのは無いかも。ガチャガチャで手に入るぬいぐるみはランダムだから趣向が見えづらい。
 もっとこの部屋の人間の趣向が分かるのは……あった! 本棚があっちにある! 本を見れば大体どういうこと人か分かるから!
 料理本が多い! じゃあ食いしん坊っ? ラムネも食いしん坊流れなのかな? でも料理する人ってラムネあんまり食べないイメージがある。自然派というか。
 ラムネってもう訳分からないくらいケミカルだもんね、毛ゼロのケミカルだもんね、毛を軽んじているよね。
 昔は至る所に毛があったと思うよ、私。ユーモアも毛だけだったと思うし。陰毛の話だけで二時間はイケたと思う、毎日二時間イケたと思う。
 でもラムネって毛の要素がどこにも無いから、毛が生えているラムネってマジで見たことないし。
 いやラムネはいいや、まず料理本を見よう、これがビーガンの料理とかだったら、マジでラムネは異物ってことになるから……何か普通の、おかずとかだ。
 お弁当のおかずとか、野菜で作るおかずとか、でも何か、ちょっとヘルシー志向な感じがする、いや私、美人過ぎる。
 趣向が美人過ぎる、さすが美人だし、こりゃ私、多分本当に若いな、見た目通りに二十歳くらいだわ、元服の+5だわ。
 結婚とかしてるのかな? 私ほどの美人なら結婚していてもおかしくないんじゃ、でもなぁ、ペンネームが青空西瓜だもんなぁ、センスがちょっとキモイなぁ。
 でもまあ美人なら全然センスがキモくてもモテるけどね、美人って手品見ただけで拍手する程度の連中だもんね、でもそれが私か? う~ん、違うかな。
 何でこんなペンネームなのかハンドルネームなのか、何かいわくでもあるのかな? 誰かに言われたとか、あぁ、それあるわ、誰かに言われたパターン。
 それで何かその気になってというか、そうかもしれない、そんなような気がしてきた、また喉渇いてきた、冬だけども西瓜食べたい……いや!
 私ただの西瓜好きだわぁぁあああああああああ!
 で、西瓜の逆の色ってことで青空とか付けたんだわ! 絶対そうだわ! でもダサい! 何かめちゃくちゃダサい!
 何か、もしかしたらだいぶ前に付けたハンドルネームとかペンネームとか、そういうことなのかな? 中学生の頃に付けたヤツをそのまま使ってるみたいな。
 それだとありえるかもしれない、少なくても今のセンスじゃないというか、今の私の愉快な独り言とは違う感じがする。
 いやそんな自分のハンドルネーム・ペンネームはどうでも良くて、まず料理本をチェックして、うん、付箋も貼ってる、何だろう。
 何か、特に簡単そうな料理に付箋が貼ってあるかもしれない、料理は好きだけども得意じゃないみたいな、好きこそ物の上手なれ、よりも、下手の横好きみたいな。
 それにしても”下手の横好き”ってことわざ、お口が悪過ぎじゃない? 性格悪いヤツが歴史に言葉を遺すなよ。
 あとなんだ、小説? 星新一? 何この人、星かよ、ベガじゃん、ベガ新一じゃん、ワッハッハ、サイコクラッシャーじゃん。
 星と言ったらベガだから、そこに異論は無いだろうね、全人類。じゃあやっぱベガ新一じゃん、ワッハッハ、サイコクラッシャーじゃん。
 何だろう、ショートショートなのかな、あーぁ、何かショートショート好きだったかも、短い話しか読めないクソダメだったような気がする。
 でも小説読めるだけでいいほうだよね、識字率の割に日本語読めないSNSいっぱいいるもんね、確か。
 この記憶から察するに、やっぱり私、SNSしていたっぽいな、パソコンが気になる。パスワードあるだろうけども。
 いやもしかしたらどこかにパスワードをメモしているパターンの子だった可能性があるから、いろいろ見ていこう。
 本棚の間に普通のノートも混ざってる……何か断片的だな、断片的にいろんなことが書いてある。
 ツッコミ詩って何だよ、詩ってツッコミとかじゃないだろ、もっと高尚なもんだろ。
 味噌でした、ってなんだよ、味噌じゃないだろ、大体のことは味噌じゃないだろ、これ私なのかな、書いたの。
 私ってノートに”味噌でした”とか書く人間なのかな? でも何か言いそうではある。
 ”味噌でした”って言いたい気持ちはある。サプライズ誕生日パーティーにケーキ持ってきたフリしながら『味噌でした』って言いたい気持ちはある。
 そして味噌にロウソク立てて『何かウンコにロウソク立ててるみたいだね』って言いたいし、そこに追加で『ウンコにロウソクを立てる村』って言いたいかもしれない。
 村の習わしを押し付けたい。いやそんな村の習わし、聞いたこと無いし、そもそもここが村かどうかも分からないけども。
 改めて外を見ると、まだまだしんしんと雪は積もっていっている。やっぱりここ二階っぽい。アパートなんだろうな。住宅街だ。村ではないか。
 それにしても部屋の室温がストーブのおかげで徐々に上がってきて良かったなぁ、やっぱり冬は室温ちゃんとしてなきゃマジで死んじゃう。
 家の中で凍死とか笑えないじゃん、死は全体的に笑えない、そういう物語嫌い、映画とかさ、死を簡単に使ってエモい演出する時あるよね。
 死とセックスは簡単に関係性を変える劇薬だから、アンチ劇薬、アンチ劇薬機構だよ、アンチドーピング機構と全く同じ建物の形をしていると思う。
 アンチドーピング機構の本社がおっぱいみたいな形をしていたら、アンチ劇薬機構もきっとおっぱいみたいな形をしていると思う。そういうもんだと思う。
 そういうもんだと思おう。
 いや思おう、じゃなくて。こんな話はどうでも良くて。まずはこの部屋のヒントね、ヒント集めをしよう。ドングリを拾おう。あっ、これは散策過ぎる。
 ドングリ拾ったらそれはもう散策だから。食い逃げ犯を追いかけていても、途中でドングリ拾ったら散策だから。
 散策になり過ぎないようにしよう、これが今日のテーマ、頑張っていきまっしょい、頑張っていきまっしょいは何か陰キャオジサンが無理して陽キャぶってる感じがして良くないな。
 私ってば美人だから陰キャオジサンの無理だけにはならないようにしよう、陰キャオジサンの無理というユーモアは哀愁が強過ぎるから。
 それにしても本よりもむしろノートやファイルが多いな、でも書いてあることは意味不明ばかりだ。
 意味不明なんだけども何か共感できる感じではあるんだよな、このページの”ぶつかり稽古(軽トラックと)”とかも意味不明だけども分かっちゃうというか。
 多分普通に負けるんだろうな、軽トラックと力士が相撲したら力士が。軽トラックにぶっ飛ばされるでしょ、その力士。
 見てみたい気持ちはあるよね、軽トラックとのぶつかり稽古、普通に負けるんだろうけども。
 でもまあパスワード書いてそうなノートじゃないなぁ、本棚のノートにはパスワード無いのかな……待てよ、もしノートにパスワード書くとしたら、近くに置いておかない?
 すぐに確認できるように、パソコンの周りに置いているかもしれない、あっ、パソコン回りの机にもノートとかメモ帳あるわ。
 これ見たら、もしかしたらパスワード書いてあるんじゃないの?


・【パソコン近くのメモ帳】

 パソコン近くのメモ帳って、地球で言うとこのマントルだと思う。
 いやマントルってちょっと下ネタみが無い? マントルは深夜にしか流せない風情がある。
 やっぱり地球って海じゃない? って感じがするし。マジで夏の浜辺、最高。
 記憶喪失で倒れている横を美味しいカニが歩いて、それをすぐに手づかみで食べて『うめぇ~』とかできるし。
 地球のコア、つまり海ってことにしようかな、いやでも森林も捨てがたい、地球の良さって森でもあるから。
 マジ森サンキュー、森に感謝するような人間でありたい、いやマントルて、下ネタかよ! と言える人間でありたい。
 とにかくマントルは下ネタ過ぎる。マントルという言葉を決めたヤツ、鼻の下が長かっただろ、絶対に。
 女子にマントルって言わせようと必死かよ、勘弁してくれよ、あーはいはいじゃあ言ってやるよ、デカい声で。
 マントル!
 これで満足か! クソ野郎!
 というわけで、パソコン近くのメモ帳という名のコア、つまり夏の浜辺をチェックするかな。
 なになに……”パンツ食ってなお”か……いや何この意味不明なメモ! パンツは食わないんだよ!
 これ私の字なのかなっ? それとも彼氏っ? 彼氏だったら今すぐ別れたほうがいい! 身のためだと思う!
 というかパンツ食ってなお、って、もうそのあとに続く言葉は『パンツ食ってなお、食欲は収まらず、ズボン』しかないじゃん!
 いやパンツでオチているんだから、そのあとにズボンは弱いだろ! ズボン食ってなお、からの、パンツだろ!
 あれ! 何か私、お笑いの平衡感覚あるかも! 平均台の上をスムーズに動くヤツみたいなところあるかも!
 どうりで私は面白いわけだよ、全く、じゃああれか? 私はお笑い芸人でこれは相方が残したメモってこと?
 じゃあ相方と解散だわ! ズボン食ってパンツだろ! いいやズボン食ってブラジャーでタバコ吸ってからのパンツだろ!
 ブラジャーでタバコ吸って一服してからのパンツだろ! お笑い舐めているのか! この相方! 相方がいたらだけども!
 でも何かそんな感じしてきた! 私ってずっとお笑いやってきたような気がする! 少なくても舞台立ってたわ!
 足腰強いんじゃない? もしかしたら! ……いやでも、足腰強かったらビショビショの何かで転んだりしないか……どういうこと?
 マジで私って何なの? でもこんな意味不明のメモ、お笑い芸人でしかありえないと思う!
 料理本とかもいっぱいあったし、料理芸人だったかもしれない! いや料理芸人は逃げだろ! 良くないぞ! 私!
 料理得意で出てくる芸人は本芸からの逃げじゃん! 事務所の先輩のホームパーティ専用芸人じゃん!
 そうやって人脈築いてテレビに出てくるヤツはヨゴレだよ! 私の中のヨゴレってそういう感じがする! リアクション芸人じゃなくて!
 リアクション芸人は宝石だと思う! リアクション芸人にはリスペクトがある! やっぱりこれ! 本職・芸人の発想じゃないっ?
 うわぁー、私って芸人だったのかぁー、結構しっくりくるなぁー、面白四文字、今から自分に課してみるか。
 ……早足……悪くないね、そんな良いというわけじゃないけども、司会者次第では面白くしてくれそうな面白四文字出たわ。
 あと一個出してみるか……干物(ほしもの)……悪くないね、干し椎茸とかちょっと面白いもんね、そんなシワシワになられて、と謙譲語が出ちゃうもんね。
 やっぱり芸人だったのかぁ、確かにそんな感じするわぁ……いや芸人にしたら美人過ぎるだろ! えっ? 私、面白モデル枠っ?
 あーぁ、ありえるわぁ、私って面白モデル枠なのかもしれない、ことわざをちょっと間違えるほうの。
 二階から目薬じゃなくて、実家で目薬、的な、ただ実家で目薬してるだけじゃんって簡単にツッコめる言葉を言うみたいな。
 二階から目薬じゃなくて、未開では目薬、的な、未開だから変に砂埃舞ってるのかよって簡単にツッコめ……こっちは簡単にツッコめなかったわ。
 というか私の語彙力、ことわざって二階から目薬だけ? おバカ枠モデルだったのかな? いやでも私はマントルとか知ってるし。
 特撮にエロいヤツがあるということも知っているし、これって相当だと思う、相当オマセさんだと思う。これはおバカ枠モデルじゃないでしょ。
 オマセのオマの部分に着目していきましょう、ほら、何か司会者みたいなことも言えるし。司会者みたいな言い回しもできるし。
 私は全然おバカ枠モデルじゃない、めちゃくちゃ人気のアイドルに嫉妬して毒舌みたいなことしないし、おバカ枠モデルの毒舌ってただ無知なだけだよね。
 面白いとは全然思わないし、ただ失礼なだけというか、何も分かっていないだけというか、まあとにかく総合的に言って下劣。
 キングオブ下劣というコントの大会があったら、お尻を出した子一等賞だと思う、いやその大会風に、下劣に言うなら、ケツ丸出しガハハかな?
 むしろケツ丸出しワッハッハ、サイコクラッシャーかな。ベガの誕生日パーティの余興というか、そんな感じだと思う。
 そしてそんなベガにすり寄る料理芸人ね、オマエの作る飯は旨いなぁ、ワッハッハ、サイコクラッシャー……って言いながら、札束を胸元にねじり込んで。
 もう何にでもサイコクラッシャーって言うだけのオジサンなんだろうなぁ、スト2のベガって。
 いやそんな話はどうでも良くて。とにかく何か、私に繋がるようなメモ帳があればいいんだけども。
 と思いながら、私はメモ帳をめくっていく、断片的な変なメモは無視して。それはきっと面白モデル枠としての私のメモだから、今考えてもしょうがない。


・【このメモは】

 これは、スケジュール帳……? いやスケジュール帳を見れば、今の私が本当に何をしているか分かるような気がする。
 それと同時に、この部屋の持ち主が私でなければ、誰の(どんな人の)持ち主なのかも薄っすら分かると思うし。
 メモ帳には埃をかぶっているようなところは無かったけども、このスケジュール帳はちょっと埃が上に乗っていて、少し古いヤツかもしれない。
 でもスケジュール帳とか捨てない人ということが分かった。それが自分なのか他の誰かはまだ分からないけども。
 さてと、一月から順に見ていくか……一月十日に”集ノ”って何? 何だろう、隠語? 略語? よく分からん。
 えっと、月末には”みらい”と書かれている。何だろうな。
 一月の月末はまだまだ未来があるということか? そんなこといちいち書かないと分からないってヤバくないか? 私のスケジュール帳であってほしくないな。
 あと何気にひらがなということが微妙にロリコンっぽいなぁ、私だとショタ? ショタ、つまり小さい男の子が好きだったのかな、私。
 だとしたらだいぶ性癖じゃん、性癖過ぎる、月末にみらいって男の子が私の家へ来るってこと? それがめちゃくちゃ楽しみということ?
 ヤバショタじゃん、性癖が過ぎるなぁ、ちょっと、スケジュール帳って怖い、めちゃくちゃ怖い、大丈夫か、私、改めてぶっ倒れるんじゃないか?
 次は、スニーカー……いや少年好き待ったナシじゃん! スニーカーなんて単語、少年好きの目の前にしか現れない言葉だよ!
 うわぁ、ヤバイヤバイ、性癖お姉さんだった可能性が出てきた、それとも家主がショタか、でも今のところ、私の部屋っぽいんだよなぁ……次の項目は……!
 ジュニア! 確定した! 私の性癖が確定した! あんまり良くない! せめて薄い本の中だけであれ! でもそういう本は今のところ無さそうなんだよなぁ……ヤバいなぁ……ジュニアってもうそのまま過ぎるんだよな、馬脚を現したんだよな、ジュニアに何する予定のスケジュールなんだろう、私は……次は、MF? 隠語クサくて怖いな……。
 ちょっとこれは分からないから流すとして、電撃……いや!
 ピカチュウで釣ろうとしてるじゃん! この日までにピカチュウのぬいぐるみを買う予定じゃん! それかデデンネじゃん!
 とにかく電撃系のポケモンのぬいぐるみを買おうとしてるじゃん! うわぁぁぁああああ! 少年釣る気満々過ぎるぅぅううううう! そもそもちょっとのショタなら別にいいけども、今のところ全スケジュールがショタなのは良くなさ過ぎる! 嗜む程度であれよ!
 もうダメだ……でも見ていってヒントを探らないと……富ノ……何だろう、富って普通の人が使う語彙じゃないよね、もしかするとショタ隠語?
 で、この”ノ”も意味深だし、集ノの時のノと一緒なのかな、ノ、ノ、集めてノンビリ……富豪気分でノンビリ……ってこと?
 いや! まずショタを集めるなよ! 集めた上でノンビリすな! いやまだノンビリするだけならアリなのかっ?
 んで富豪気分でノンビリて! ショタと一緒に居る状態を富豪気分と言うな! 気持ち悪い!
 富豪って大体ショタ集めてノンビリしてるよね、じゃぁないんだよ! ホント! マジか! 私!
 いやまだ違う可能性もある! 次! ……ステキ……ダメだ、カタカナで書いてあるところが特に何か、ショタ感がある。
 ショタに読みやすくしている。素敵と漢字で書いたら『敵か!』って思っちゃうから、ショタは可愛いから。
 クソぅ……こんなショタ女だったとは、私……GA? またアルファベット? もうこうなったら絶対ヤバイ言葉の略語じゃん! 隠語じゃん!
 まあ最初に浮かんだのは、ゴールデンアニメだよなぁ、ショタと言ったらアニメだから、ゴールデンの時間帯にアニメ見るのはショタだけだから。大人は深夜だから。
 で、オーバー……もうオーバーしまくってるよ! あえて書くことじゃないだろ! それともこの日に一線を越えるのかよ! ダメ過ぎる!
 次はポプラか、ポプラって樹木の? ……いや待てよ! 確か幼稚園児にポプラのなんちゃらという大手の会社があったような! じゃあソレじゃん!
 ポプラが付く幼稚園襲撃の日じゃん! 単騎か! 単騎なのか! 私の単独犯なのかっ! それならちゃんと取り押さえられそうで良い!
 取り押さえられていると良いんですが……! MF! またMFだ! じゃあもうこれもショタの隠語確定じゃん!
 えっと何だ? まったりふんわりとかそういう感じ? いやショタ集めてまったりふんわりはちょっとだけ危険そうだよ!
 ショタでまったりすな! ショタ見ながらティータイムじゃぁないんだよ! あと二回目じゃないんだよ!
 次は……ちゅう! オマ! ひらがなのちゅうはショタへのキス過ぎるんだよ!
 変態の変換じゃん! キスやチューを”ちゅう”で表現するのは! それか特撮のエロいヤツの悪役か! ねっとりと女優をねぶる悪役の!
 もう私って最悪過ぎる……で、なになに、つばさ……いやもうひらがながダメなんだよな、ひらがながダメ過ぎるんだよな。
 ひらがなのつばさは完全にショタコースなんだよな、ショタへいってらっしゃい! なんだよなぁ……。
 ひらがなの名札過ぎるんだよな、つまり幼稚園児の名札なんだよなぁ……私、本当に大丈夫? とにかく薄い本の話であれ。
 で、青い鳥、と、スケジュール帳に青い鳥って何だよ、童話でしょ? つまりはショタ向けの話ってことでしょ?
 さっきからさ、もうちょっと隠語風にしているのが腹立つよ、何なんだよ、そりゃスケジュール帳の書くスペースって意外と小さいけどさ、対象が小さ過ぎるよ、ずっとショタだよ。
 ショタに毒され過ぎている、ショタの毒過ぎるし……小学……もうヤバイところまで来てるじゃん、幼稚園児から小学生までがストライクゾーンじゃぁないんだよ。
 小学校にも向かいます、じゃぁないんだよ、さすがに取り押さえられたはず、これは私、取り押さえられていてほしいわ。
 えっと、次はMF! いや年三回のまったりふんわりじゃぁないんだよ! これはもういい! 良くないけども、もういい!
 あっ! MFのすぐ下に! スニーカー! もう一足っ? もう一足ほしいですかっ? もういいだろ! スニーカーは!
 少年のスニーカー盗んでるじゃん! 完全に! で、小川……小川ぁっ? 急に小川って何っ? 簡単な漢字だから幼稚園児の名札でも漢字を書いているということっ?
 というか小川も何か童話ショタ感がある。メダカの学校とかも小川だよね、そういう隠語っぽい、私ヤバイ、スケジュール帳がショタまみれだ。
 いやショタ好きは別に良いけども、スケジュール帳がショタの用語だけはダメだろ! 何かちゃんと仕事をしていて、ちょっとショタが好きくらいであれよ!
 ショタのことしか考えていないじゃん! 何このスケジュール帳! ヤバ過ぎるよ! ヤバ過ぎるって何回言えばいいんだよ! いや!
 ここでGAもう一回じゃぁないんだよ! アニメ好きショタは年二回欲しいなぁ、じゃぁないんだよ! いい加減にしろ!
 で、またMF出てきた! 年四回はショタでまったりふんわりしたいなぁじゃぁないんだよ! 好き過ぎる! その時間が! その時間を愛おし過ぎてるだろ!
 んで最後にオーバーかよ! もう十分越えちゃってるんだよ!
 スケジュール帳には何にもなかった! 否! 私のショタ弾幕があったわ! スケジュール帳は見ない! もう見ない!
 えっと、次は、この何かボロボロのノートを見てみるか、埃もかぶってないし、ずっと使っている感じがする。
 でもノートって基本的に使い捨てじゃない? ルーズリーフで増やしていく以外。これって普通のリングノート……!
 私はこれだと思うようなモノを発見してしまった。
 決して私の生年月日などが書かれたノートではなかったけども、これはどう見ても当たりだった。
 何故なら。
 この何か単語の横にアルファベットや数字が書いてあるって、パスワードってことだよねっ?


・【パスワード】

 間違いない……これパスワードだわ、多分この中にパソコンのパスワ……! いや! GAじゃないんだよ! 開幕早々ゴールデンアニメかよ!
 ゴールデンアニメが開幕カードかよ! いや、GAの横にもパスワードみたいなのが書いてある……いやゴールデンアニメのパスワードってショタアニメのサイトじゃん!
 ショタアニメ集めたサイトのことだったじゃん! GAって! アニメ好きのショタじゃなくて、ショタアニメ品評会サイトだったのかよ!
 何か卑猥な品評してそうだな! 本来そういうアニメじゃないのに、嫌な角度から卑猥な品評してそうだわ! 間違いないわ!
 というか私! ショタアニ品評サイトに所帯を持つなよ! のめり込むなよ! マジで!
 オーバーもあった! そんな越えていくなよ! ちゃんと地に足のついた生活をしろよ! ショタに真っ直ぐじゃぁないんだよ!
 エブリ? 新しいの出てきたな……いや! エブリデイ・ショタってサイトだろ! そんなサイトの地主になるなよ! やめてしまえ! 人生! せめてショタは息抜き程度であれよ! 全人生にすな!
 もうホントいっそのこと人生やめてしまえよ! そんなショタの頭しかないんだったら! いやでも死ぬみたいな縁起の悪い言葉は冗談でも言っちゃダメだな。
この部屋は私の部屋な気がするから、自分に対しての可能性が高いんだから、自分に自分で死ねと言うのは良くないな、ここは冷静に、ここはクールに行こう。
 で、何だ、カク? カタカナなのがまた嫌だなぁ、イラストサイトかな? ショタの有志が集まるイラストサイトなのかな?
 それとマスをカクを掛けたみたいな、最悪過ぎる、ずっとずっと嫌な人間の一面なんだよな、私ってこんな欲まみれ?
 no……いやnoとは言わせないぜ、みたいな、そういう感じのサイトなんだろうな、キモ過ぎる、noの時は絶対にnoだから。
 まずサイト名からのアップデートからやり直せ。令和じゃないね、全く。
 なろう、いやならないわ! ショタに何かならないわ! みんなショタになろう、じゃぁないんだよ! それぞれの趣向だから!
 言われてなるヤツじゃないだろ! ショタって! みんなでショタになれば楽しいことでいっぱいだよ、じゃぁないんだよ! マジで!
 アルポ、アニメルポだ! アニメルポルタージュだ! いやショタアニメをルポルタージュすな! 大層にすな! 何なんだよ! 一体!
 mono? ショタのアソコを”モノ”と呼ぶなよ! 隠語過ぎるんだよ! さっきから!
 魔法か、魔法はもう本当マジでキモいサイトの可能性があるな、ショタってもう魔法みたいな、ショタを崇め奉っている感じがする、もはやこれは怖い……いや!
 もう全部怖いわ! 昔の私! やめてくれぇぇぇええええええええええ!
 Jて!
 ジュニアだろ!
 終了だ! 終了!
 ……もうダメだ、パソコンのパスワードみたいなモノも無いし……そう言えば、この横のアルファベットのパスワードみたいなヤツ、何か同じ文字列がいっぱいあるな。
 もしかするとそれを入力すると、パソコンも開くんじゃないか……よしっ! パソコンにトライだ!
 パソコンの電源を付けて、起動を待つと、すぐに立ち上がり、案の定パスワードを入力する場面に出た。
 そこでこの、一番かぶっているパスワードの文字列を入力すると、なんとすんなりパソコンが開いたのだ!
 やった!
 やっぱりパソコンありきの他のパスワードだから、まずパソコンのパスワードを決めて、その派生形で他のパスワードを作っていたんだ! パスワードの後ろに文字を足していくパターンで!
 トップ画面が開くと、そこにはピンクのお花を頭に付けているような、知らないゆるキャラが出てきた。
 いや知らないゆるキャラ過ぎる、見て思い出したりしなかったなぁ、何だこのピンクのお花で可愛い顔、ショタかよ。
 もはやショタかよ、ゆるキャラをショタとして楽しんでいた可能性があるな、私。
 そう言えば、ゆるキャラって結構ショタ感溢れているし、マジでそうかもしれない、いやゆるキャラを歪んだ楽しみ方すな。
 まあいいや、まずはフォルダを確認していくか、何かフォルダが全部数字だけでカッコつけがイカついなぁ。
 分かりにくいんだよ、マジで。ホント隠語人間だったのかもしれない、私は。
 いやいやまだ私の部屋とは確定していないので、他の人間の可能性もあるけども、まあ何か、きっと私の部屋なんだろうなぁ……。
 そんなことを思いながら、フォルダをダブルクリックした。

第二部 パソコンの中身


・【フォルダ確認】

 フォルダの中を見ると、大体6キロバイト前後のメモ帳がいっぱい入っていた。
 隠語ではなくて、ちゃんと日本語でタイトルが付いている。
 ただそのタイトルは若干異常性があり、『コンビニ強盗』や『ハイジャック犯』などの犯罪言葉や『深夜アニメ』とか『萌えるマンガ』などショタに繋がりそうな手掛かりもあった。
 一個一個確認していくの、何か怖いなぁ……でもメモ帳のサイズが結構揃ってる感じなのが、何なのかな?
 『東京マラソン』というのもあった。東京マラソンは犯罪でもショタでもなさそうだから確認しやすいかな?
 いや東京マラソンをショタ目線で見たルポルタージュだったら、もう立ち直れないかもしれないけども。
 いやショタ目線で私が書いていたら、もはやルポルタージュじゃないだろ、ノンフィクションじゃないだろ。
 もう見る! 確認してみる!
 そんな思いで東京マラソンというファイルをダブルクリックした。

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『東京マラソンの旗の秘密』
東京マラソンの沿道で振っている旗には「マリンブルーはパパの味」と書いてありますが、
実は秘密が隠されているのです。貴方の息子さん同様に……はっ!
べっ、別に貴方の息子さんは、息子さんは決して犯罪なんて犯して、犯していないですからぁ!
しんぱ、心配しないで下さい。僕は共犯ではありません。夜間外に出ることが好きなだけです。
ただの見張りです。

『旗の秘密 「初級編」
   -実は貴方以外の人は皆知っているんです-』

1.旗の棒の部分を擦って下さい
 >その時、ランプの精が気持ち良くなりすぎて、
  「滑らかになるぅ」と言ってしまうとこを想像しながら擦ると、はかどります。

2.擦ると、消しゴムのカスが出てくるので、それをランナーに投げつけて下さい
 >その時、笑顔で投げつけると、よりサディスティックに見えてファンが増えます。

3.そのカスをランナーが落とさずに運んだ距離が貴方の点数になります
 >もし優勝できたら、いなくなった貴方の嫁さんもきっと帰ってくるでしょう。
  やはり百人のファンより、一人の嫁さんです。
  どうかこんな貴方に幸あれ……あんな息子さんを持った貴方に……。

『旗の秘密 「中級編」
   -これを知っていると一回の過ちは免除されます、でも貴方の息子さんはもう……-』

1.旗の棒の部分にありったけの蜂蜜を塗る
 >その時、ランプの精が蜂蜜の美容効果によって、
  毛穴の黒ずみが金色になり、「逆に止めて!」と言っているとこを想像しながらすると、はかどります。

2.塗り終え、最寄に配置された『プーたん』というキャラクターの口に棒のほうから押し込む
 >その時、笑顔で押し込むと、より「サディスティック、棒だけにスティック!」と、
  昼間から酒を飲んでいるおっさんに言われやすくなります。彼らの言葉が、最高のご褒美ですよね。

3.プーたんが低い声で、「勘弁してください、洗うの僕なんですから」と言う台詞を聞く
 >その時、プーたんの死角、主に背中に蜂蜜を塗ると、そのおっさんが有難く舐め出します。
  その光景を写真に撮り、その写真に「地球の安全を見回る衛星ナメダス」というタイトルをつけましょう。

4.大きな声で「しゃらくせー! 俺も一緒に洗ってやるよ!」と言ってあげる
 >唯一無二の親友になれます。
  しかしまだ中級編程度なので、この行為をする人はたくさんいます。
  よってこのプーたんの着ぐるみを着た青年には唯一無二の親友がたくさんいます。
  でもせっかくの唯一無二の親友、逃げた嫁さんの相談に乗ってもらいましょう。

『旗の秘密 「上級編」
   -意外と知られていないカイワレと息子さんの生態、結構知られている上級編スタートです-』

1.旗を自分の生オヘソに触れる
 >その時、ランプの精が、
  「それ新しい健康法かい?」と聞いてくることを想像しながらすると、はかどります。

2.気持ちが良いです
 >あの時のランプの精の気持ちが分かったような気がしましょう。

『旗の秘密 「超上級編」
   -これを知っていれば貴方の生活は安泰です、貴方だけは安泰です、でも息子さんは……-』

1.ランナーとして走っているランプの精の胸に旗を刺してすぐに引き抜く
 >その時、ランプの精が、
  「ジェニファー・ロペスマン、お前もか」と言って消滅しますが、特に罪は問われません。
  ランプの精は消滅後、五百m先に出現します。
  むしろランプの精は刺され待ちみたいなとこがあります。

2.刺した部分の棒に黒蜜がついていることを確認する
 >もし付いていなかった場合、走ってまた刺しましょう。
  ランプの精は非常に遅いので、すぐに刺せます。
  もうランプの精は「刺されて進みたいわぁ」と堕落してしまっています。

3.その黒蜜を最寄のプーたんのチャックを開け、その中に投げ込む
 >その時、笑顔で投げ込むと、より「サディスティック、掃除には定岡棒、みんなよろしく!」と、
  さっきの酒を飲んでいたおっさんが言い出しやすくなります。
  そのおっさんは、商売人にあるまじきシャイぶりなので、出来る限り笑顔で投げ込み後押ししましょう。

4.プーたんは気付かないまま、東京マラソンは終わり、そのプーたんは夜の歌舞伎町に溶け込んでゆく
 >その光景を写真に撮り、その写真に「プーたん、黒い絨毯の上を歩く」というタイトルをつけましょう。
  その写真はなかなか高値で取引されますが、かげがえのない家宝にしましょう。

これが東京マラソンの旗の秘密です。
えっ、貴方の息子さんの情報です、か? ……仕方ありません、言いましょう。
貴方の息子さんは捕まってはいませんが、罪を償おうと、お金を返そうと、必死で働いています。
ほら今回の東京マラソンでも、でも、でも、すぐに稼いだお金は夜の歌舞伎町に消えてしまうのです……。
助けてあげられるのは父親の貴方だけなのです。
どうか、どうか、彼を救ってあげて下さい……。そして、僕はもう少し見張りを続けたいと思います……。

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・【このメモ帳】

 このメモ帳は……何だ? 荒唐無稽というか支離滅裂というか、何かでも、作品性があるな、と思ったその時だった。
 私は今までの自分が、点と点で繋がって線になった。
 あっ、私、やっぱりお笑い芸人だわ。
 これ、ネタだわ。
 いやいやネタじゃん、というと今までの変なメモ書きとかも、全部お笑い芸人としてのネタの種とかじゃん。やっぱそっち方面じゃん、と改めて確信した。
 やった! 私ってお笑い芸人だったんだ!
 何かめちゃくちゃ嬉しくなってきた。だってお笑い芸人ということはクリエイティブな職種だからだ。
 お笑い芸人ということは相当明るい感じもするし、未来が煌めいていた状態なんだと思った。
 まあそれはもうすごい煌めきだと思う。だって今やお笑い芸人って人気の職種だから。
 というかこれ全部ネタ? ネタのタイトル? ということはネタいっぱい持ってるじゃん! やった! やる気満々なほうのお笑い芸人だったんだ!
 いやもう煌めているわぁ! 体中! 全身煌めているよ! ワキノシタも全然煌めていると思う!
 人が一番煌めかない箇所、ワキノシタさえ煌めている感じがする!
 ワキノシタって基本的にクサイか、ちゃんと処理できているかしかないから。そのワキノシタが煌めているということ。
 クサイはもう最悪だし、だからってワキノシタの価値観ってあとはちゃんと処理できているかどうかしかないから。
 顔は可愛いとかカッコイイとかあるし、髪型は個性的とか清潔感があるとか、いろんな評価軸があるけども、ワキノシタは処理できているかどうかしかないから。
 ワキノシタが綺麗って言われたとしても、それは処理できているだけだから。
 所詮、処理できているだけの行為を”綺麗”という言葉で当てはめているだけだから。
 そんなワキノシタでさえ全然煌めていると思う、何度も思っちゃってスマンだけども。
 もうヘソさえも煌めている感じがする。
 ヘソってクサイか、ちゃんとカス取ってるかしかないからなぁ。
 クサイはもう最悪だし、だからってヘソってカスをちゃんと取ってるかどうかしか価値観は無いから。
 顔は可愛いとかカッコイイとかあるし、髪型は個性的とか清潔感があるとか、いろんな評価軸があるけども、ヘソはカスを取ってるかどうかしかないから。
 ヘソが綺麗って言われたとしても、それはカスを取っているだけだから。
 所詮、カスを取っているだけの行為を”綺麗”という言葉で当てはめているだけだから。
 というかヘソってカスが溜まり過ぎる。ここ煌めかせるの難題過ぎるから。
 ちょっとカスがあるだけで興ざめだから。なのにヘソってカス率高いから。ヘソのカスってそもそも何なんだよ。
 衣類の埃と自分の脂が混ざっているって話あるけども、衣類の埃が良くなさ過ぎるよ。
 衣類がちゃんとしていないせいで、ヘソカス女性になっちゃう時が多々あるから。
 ヘソカス女性は悲しみしかないから、男性もだよっ?
 でもヘソのカスを取ろうと思って、ほじり過ぎるとお腹が痛くなるし、ヘソってバグかよ。
 そんなヘソさえも煌めいている感覚がする。これは本当に快挙だと思う。
 とにかくお笑い芸人という事実は私にとって勇気をもらえるような事柄で。
 私は自分がお笑い芸人だったという誇りを持って、衣類の埃には負けず生きていこうと思った。
 というかお笑い芸人にしては私、美人過ぎでは?
 お肌ツルツルじゃん! シワも全然無いし! インドア派の、ネタ派のお笑い芸人だったのかもしれないなぁ。
 それかまだ売れていないか、売れていないからロケとかなくて、みたいな。
 う~ん、どれほどの売れ具合だったのかな、いや多分売れてはいないと思うな、まだ若過ぎるし。
 でもネタは素人時代から作っていた、みたいな、お笑いオタクパターンかもしれない。
 まあそれも悪くないけどね。今のお笑い芸人って本当のお笑い好きが多いから、御多分漏れず私もそうなんだと思う。
 今は有名になりたかったら、ユーチューバーという道もあるからね。
 ちゃんとお笑いのネタをたくさん所有しているということは、しっかりお笑いが好きでお笑い芸人を志しているんだろうなぁ。
 そう考えると私真面目かも。真面目の発散でショタということかな? それはちょっと怖い方向にいっているなぁ。
 でも幸い、私は記憶喪失になったことにより、ショタへの執念が無くなったから、ショタの憑き物が無くなったから、今後はショタナシでも大丈夫だ。
 というかお笑いという衝動があれば、ショタを拠り所にする必要無いし、ここからは私、よりお笑いに邁進します!
 あぁ、お笑いって最高、最&高、むしろサイ&コウ、角の四つ足とよく分からない鳥の名前を組み合わせた想像上の生き物並に最高、いやそれは別に最高ではないか。
 サイって軽くバカにされている四つ足だし、コウにいたっては名前を知っているだけで顔が浮かばない、全然最高の想像上の生き物じゃなかった。
 想像上の生き物界で最高って、ケンタウロスだよなぁ。
 人間と馬が合わさった上で、弓を標準装備しているって面白過ぎる。
 下半身が馬の時点で『丸出しじゃん』なのに、さらに絶対弓を背負っているって何なんだよ。弓が絶対だった時代、じゃぁないんだよ。
 もう弓はそうでもないんだよ、全然拳銃とかあるから、まだ弓を最高と思い込んでいるのかよ、って笑いがあるから。
 ミノタウロスは斧だし、いや斧て、それは結構怖そうだな、斧はマジで怖い、大木を切り落とすのかよ、ミノタウロスはまだ怖いのほうが勝ってる。
 でもケンタウロスはもう面白いが勝っちゃってるから、上着は何かスーツっぽいんだよな、ケンタウロスって。下半身丸出しなのに正装なんだよな。そこが好き。
 いやそんなことはどうでも良くて。パソコンで自分がブックマークしているサイトでも見てみるか。


・【ネット上のブックマーク】

 相変わらず、全部数字だけのフォルダにカッコつけがイカつく感じ、ない! 何かもう自分がお笑い芸人だと分かったら逆にアートだと思う!
 さっきのネタだって、客に媚びている感じじゃないし、自分の好きなことをやっているという感じでめちゃくちゃ良い!
 さてと、まずこの”01”のフォルダから見ていくか、ふむふむ、お笑いナタリーか、何かお笑いのことを書いているっぽい。
 ちょっとクリックしてみるか……ショタのサイトじゃありませんように……! 良かったぁ、本当にお笑いっぽいぞ。
 ここに私の名前とか載ってるのかな、でもまだ載らないくらいのお笑い芸人なのかな? まあ私ってば若いし、まだまだなんだろうな。
 次! この音楽ナタリーというのを見てみる! さぁ、ショタじゃありませんように、ショタのサイトじゃありませんように……! うん!
 さっきのサイトと系列会社が一緒だ! 薄々感じていたけども一緒のつくりしてるわ! 良かったぁ! ショタじゃない!
 少なくても01の一番手と二番手はショタじゃない! 初日からショタだったら、どうかしているって感じだったけども、大丈夫みたいだ!
 初っ端からショタだったらもう、他に考えること無いんかいって感じだけども、これならまだ見所がある。
 現実の見所がある、もうショタが初手だったら現実の見所ゼロだから。
 ちょっとした性的趣向としてのショタならまだしも、いの一番のショタだったらもうあんまり良くなかった。
 少なくても私はそれじゃダメだと思う。この若さで最初に確認する事項がショタだったらダメだった。
 さてと、次はQJ―クイックジャパン―かぁ……ちょっとショタっぽいなぁ、ショタけがあるなぁ、大丈夫かなぁ。
 ショタとの世界をクイックせよ日本って感じがするなぁ、怖い……クイックジャパンをチェックすることが怖過ぎる。
 そもそも最初にQJと書いてあるところが隠語クサイ。ショタって隠語隠語の世界だから。
 ショタという言葉も隠語だし、そもそもね、QJはヤバイなぁ、ショタを改革したい意気込みを感じてしまう。
 でも。
 でも。
 でも!
 チェックだ! ……! 何か! お洒落! 多分ショタじゃない!
 これでショタなら、この世のショタは既に市民権を得ている!
 ……いや、これ、サブカル情報サイトだ、ショタではない、でもまあいい、これはいい。
 何か私、サブカルチャー好きみたいだなぁ、サブのカルチャーが好きみたい。
 でもお笑い芸人の場合それが仕事に繋がるからなぁ。
 私って主に何が好きなんだろう、いや音楽ナタリーというお笑い以外のモノが二番手にきていたわけだから、音楽?
 結構音楽好きだったのかもしれないなぁ。
 そう思って部屋を見渡すと、そこにはブルートゥースのスピーカーみたいなモノがあった。
 音楽再生機はまだ見つからないけども、もしかしたらそれで音楽を嗜んでいたのかもしれない。
 私の好きな音楽ってどんな感じかな? ショタオンリーじゃありませんように!
 小さな男の子が歌う曲だけとかだったら、めちゃくちゃ嫌過ぎる。
 趣向がどこにでも顔を出す的な、相手の敵陣まで出現する守備的ポジション、リベロ的なのは嫌過ぎる。
 リベロばりにショタがどこにでもある生活をしている人間だったら嫌過ぎる。
 ショタのアクスタとか机に飾ってない? 私? 大丈夫?
 そう思いながら、机の上を改めて確認すると、メモ帳以外に、小さな門松のオブジェが飾ってあった。
 さらにその周りにおみくじや本当に小さな、手のひらサイズの絵馬が無造作に置いてあった。
 何だろう、この絵馬、めっちゃ小さい、親指と同じくらいの大きさと言ってもいいくらい……何か、ユニフォーム着た女性の写真が貼ってある。多分工場製品だ。
 裏面はこの女性の格言というか目標? そんなのが書いてある。私はこの女性のファンだったのかな?
 ……いや! じゃあショタじゃないじゃん! 私と同じくらいの年齢の女性のファンじゃん! ショタじゃなかった!
 というかこれ何のスポーツかな……あっ、さっき私、無意識に、流れるようにリベロとか言ったけども、あういうリベロってサッカーのリベロじゃん。
 バレーボールのリベロは自陣から出られないし、なんなら自陣でも入っちゃいけないラインがあるし。
 ああやって敵陣深く潜り込むのはサッカーのリベロじゃん、あっ! 私って女子サッカーのファンっ?
 じゃあ全然ショタじゃないじゃん! 女子サッカーのファンにショタっていないでしょ! 女子サッカーのファンはショタの真逆!
 男子サッカーならショタ顔のU―18がいたりするからまだ分からない、これからのお楽しみだけども、これは完全にショタじゃない!
 私はショタじゃなかったんだぁ、良かったぁ、いやちょっとした趣向としてなら別に良いんだけども……ならあの『みらい』とか『つばさ』って何っ?
 いやいや、まだ、女子サッカーのファン兼ショタの可能性はありえるな。全然兼任かもしれない。
 女子サッカーとショタの箱推しの可能性はある。どこまで箱なのかは分からないけども。箱の境界線ってどこだろう。人間界?
 もはや私、人間界の箱推し? 全人類大好き? 人間というモノが大好きなのかな?
 人間愛というか、人間の箱推しね、だとしたらめちゃくちゃ怖い、人間が好き、全人間に性的興奮を覚えるって異常者過ぎる。
 否、私の知っている異常者じゃない、異常者ってそんな広範囲じゃない、もっとニッチなことが好きなイメージがあるけど違うのかな?
 人間の箱推しは広過ぎる、全体攻撃三回攻撃のラスボスじゃん、ラスボス一体だけだと思ったらそういうことね、のパターンじゃん。
 じゃあもうサブカルチャーが好きとかも、人間の箱推しの延長線上みたいなこと?
 カルチャーもサブカルチャーも大好きということ? 全カルチャーの確認作業をしているってこと? 怖過ぎる……。
 ちょっと待って、じゃあ残りのサイトも全部そんな感じ? これも! これも! これも!
 このお笑いっぽいサイトも! テレビ局と思われるサイトも! ライブ情報サイトっぽいのも! この素人が趣味で作った感溢れるサイトも!
 全部が全部、人間確認のためということっ?
 ヤバイ! じゃあ私ってもう生きてるだけで人間確認興奮女じゃん!
 こんな人間、生きてていいのっ? 大丈夫なのっ?
 人間がいることを、人間が存在していることを確認して興奮するなんて、もう無敵じゃん!
 でも逆にアンチ兵器ってことだから、めちゃくちゃ平和主義者かもしんない!
 そうだね、自分を愛そう、こんな自分を愛そう、人間に興奮するで別にいいじゃない、広く捉えれば他の人間も人間に興奮しているみたいなところあるし。
 恋愛って結局人間に興奮しているわけだし、エロい特撮も結局は変なコスチュームを着た人間に興奮しているわけだし。
 人間、人間、全部人間、人間に興奮しているでいいじゃない、そんな私を私は愛します。
 きっとそうだったんでしょう、私は私を愛していたんでしょう、ならば記憶喪失の私も過去の私と同じように私を愛します!
 はい! この話、終わり!
 目も疲れたし、一旦ネット見るのやめる! 何かお腹すいてきたから食べます! 人間活動するために、私、私を愛すために何かを食べます!


・【何かを食べる】

 小腹がすいたぁ~、小腹がすいたぁ~、何か歌になりそうだな。
 否、ネタになりそう。
 小腹がすいたソングをまず作るかな。
 フフッ、こうやって何でもネタに落とし込もうとするところがお笑い芸人っぽくて本当に良いなぁ。
 小腹の小って可愛いね~、腹を小にして可愛いね~、腹ってハッキリ言ってグロテスク、肉の段差が怖いけど、小にしたら可愛いね~、まるでショタ……って!
 ネタに繋げるはずがいつの間にかショタに繋げてる! どうした私! ショタが言葉の引き出しの最初にあり過ぎるぞ!
 ヤバイ、マジでショタのことしか考えていないほうのお笑い芸人だったかもしれない。ショタありきの人生だったかもしれない。だから嗜む程度であれ。
 そもそもペンネームやハンドルネームと思われる青空西瓜って、ショタが好きそうな名前じゃん。
 青空ってショタ用語だもんね、青空ってもう小さな子供しか浮かばない単語だもんね。
 ショタを呼び寄せるための単語だもんね、青空って。
 『青空の下で一緒に遊ぼうよ』という時にしか青空って言わないもんね。
 大人になったら青空って言わないから、空でいい、空って言う。
 あと大体天気で言うし、青空って言葉は全然大人は言わないから。
 うわぁ、もう身も心もショタじゃん、もはや私は小さな男の子じゃん。
 ショタだと思われようと必死じゃん、ショタと思われるために青空西瓜って名乗っていたんじゃん。
 いやいやそもそも西瓜も結構ショタっぽくない? 西瓜好きなのってショタじゃん。
 大人はもっと複雑な味が好きじゃん、ショタになりたくて西瓜って名乗ってるじゃん。
 まだ何も知らない五歳児っぽい、青空西瓜って名前。うわぁ、私ってショタ過ぎるじゃん、やっぱり。
 いやでも、まだ自分のことを信じたい、そんなショタまみれの生活をしていたなんて思いたくない。せめて嗜む程度あれ。
 そもそも私はショタを面白いモノだと思っている可能性がある。だからネタの流れでショタと言ってしまったんだと思う。
 ショタを面白単語として扱っているからこそ、浮かんだだけの可能性もある。
 うんうん、何かそんな感じがしてきた、ショタって面白いから、そう! ショタは面白い!
 ショタが好きって面白いと思う! こんな若い女性がショタ好きってウケると思う!
 これは決して自己暗示じゃなくて! 本当にそう思う! そう思おう!
 そう思おうは完全に自己暗示だけども! そうじゃない! 流れでそう思っただけで、本当に自己暗示じゃない!
 ショタは面白い! これだ! これでいこう! だからショタが浮かぶということにしよう!
 ことにしようは完全に自己暗示だけども! そうじゃない! 私は日本語が下手なところがある!
 そういうことだ! いやそれはそれでダメだけども! それはそれでお笑い芸人として致命的だけども!
 でも! でも! 実際そうなんだからしょうがないし!
 そもそも人間が好きなら当然ショタも好きということだし! あ! いや! やっぱこの方向性ナシ!
 人間が好きなら当然ショタも好きという方程式は取り消しで! 誰に言ってるんだ私!
 でも取り消し! ここは取り消し! 何だろう! どうしたらいいのかな!
 別にショタでもいいしって思えるし! ちょっとだけ好きなら別にいいし!
 悪いことしていなければショタ好きでも別にいいし! そう! 別にいいし!
 ただの性的趣向だし! ショタ好きも生きていいし! もういいや! こっち方向に持っていきます!
 私! ショタのことは面白いと思っている上に、ショタでもいいじゃんって思います!
 だってスケジュール帳にあんなショタの予定ばっかり立てているんだもん! ありゃショタだよ!
 あれでショタじゃなかったら嘘だよ! 『みらい』とか『つばさ』とか『ジュニア』とか完全にショタだよ!
 でもそれでいい! ショタも市民権! 略してショタしみけん! ショタしみけんでいく!
 ……何か、略すとしっくりこないなぁ、市民権をしみけんって言うのは止めたほうがいいな、なんとなく。
 まあとにかくそういう所存でいきます。ショタ存でいきます。勿論ショタ損はしない。ショタ得でいく。
 ショタで得した一生だったと最期に言います。いや私に最期なんて全然来ないだろうけども。
 まだまだ若いんで、まだまだ若手のショタ好きとして、いろんなことにトライしていこうと思っています。
 さてと、マジで小腹がすいてきたし、ご飯を食べよう。
 私は私が好きなんで、私はショタのことも自分のことも大好きなんで、とりあえずお腹を満たします。
 満たしウーマンになります。満たしギャルかな?
 うん、どっちにしろ何にも言葉が繋がらないから、結構普通にちゃんと食べることにします。


・【ちゃんと食べることにします】
・ 

 冷蔵庫を開けてみよう。
 この中を見れば、結構私の性格とかも分かるような気がする。
 整理整頓されていれば、マメな性格だっただろうし、適当に入っていて汚ければ雑な性格だろうし……自分が極度のショタと思うと、どっちも嫌だな、と思って冷蔵庫に伸びる手が止まった。
 マメにショタサイトをチェックする人間も何か暇過ぎるし、雑にショタが好きなのは本当に幼稚園に突撃してそうだし、じゃあせめて前者かな。
 前者のほうがサイバー・ショタっぽい、痕跡を残さないサイバー・ショタのほうが今後に影響しない。
 さて、冷蔵庫の中は……何か、少ないっというか、完全なるがらんどうでは。
 いやいや、がらんどう過ぎる、がらん坊やと言ってもいいだろう、がらん坊やがカラッポの箱を虚ろな目で抱いているイメージだ。
 何にも入っていない、いやまあマヨネーズやケチャップの、あのプラスチック容器はあるけども、具材と呼ばれる固形物が無い。
 野菜室は、と思って開けると、そこは全くの無、完全に無い。
 冷凍庫くらいは、と思ったんだけども、冷凍している食品も一切無い、どういうこと?
 冷蔵庫泥棒に遭ったのっ? 冷蔵庫の中身だけ盗んでいくあの冷蔵庫泥棒に。
 冷蔵庫に大切な通帳を隠す人が結構いるから、冷蔵庫から見るようになった泥棒の成れの果てみたいな。
 ただただ冷蔵庫の中身を盗むだけの泥棒になってしまった、泥棒廃人みたいな。
 えっ、あんな料理本を本棚に置いといて、実際はマヨネーズを水で薄めて飲んでいた系の人?
 マヨネーズとケチャップを水道水で割って、ゴクゴク飲んでいた系の人?
 『今日はオーロラソース水だぜ!』と喜んでいた系の人?
 待って待って、じゃあ私のこの痩せ型は病的な痩せ型ということ?
 何も固形物を食べていないからこんなに痩せているということ?
 いやいやいや料理本と整合性がつかないよ、もしかすると料理本を見て、美味しそうだなぁと言いながらオーロラソース水を飲んでいたということ?
 そういう節約術? いや料理本って結構高いから、料理本も節約しろよ、スーパーからチラシを持って帰って来いよ、それで代用しろよ。
 というかこんなことある? だって真冬だよ? こうやって大雪の日は外に出られないわけじゃん、ちょっとくらい食べ物残してない?
 どんな向こう見ずなんだよ、私、お笑い芸人過ぎるじゃん、ギャンブルで借金がめっちゃある昭和のお笑い芸人じゃん。
 女子でこの向こう見ずはヤバイよ、女子のお笑い芸人は一般的な感覚を持ってろよ、ホスト狂いのほうの女性お笑い芸人じゃぁないんだよ。
 えぇー、マジでマヨネーズを水で薄めていた飲んでいた感じ? ならトマトケチャップだなぁ、トマトのほうが自然由来だから。
 トマトジュースになるから、マヨネーズのジュースは無いから、じゃあトマトケチャップを水で薄めて飲むか……いや! そんなことしないわ!
 マジかよ! こんなんしかないのなら、もうあのラムネ食べようかな! 居間にあったヤツ!
 でもラムネって甘いだけで喉が渇くんだよなぁ、トマトケチャップ水道水のほうがまだマシかも。
 実際トマトケチャップ水道水は絶妙な薄め加減ならめちゃくちゃ旨い可能性あるよね。
 マヨネーズは分離の一途をたどるだけで、美味しい可能性は皆無だけども。
 いやでもマヨネーズもあるということは、トマトケチャップ水道水にマヨネーズを軽く浮かべるとお洒落みたいな感じなのかな?
 紅白でめでたいし、来年もよろしく! って感じがするかも。
 オーロラソースみたいにトマトケチャップとマヨネーズを対等に扱ったら多分ダメだと思う。
 マヨネーズは本当劇薬というか、ちょっとの添え物、お地蔵さんにおけるワンカップ大関だと思う。
 多すぎるとお地蔵さんが酔っぱらっちゃうから的な、お地蔵さんにはお饅頭多めでしょ、って感じで。
 いやお地蔵さんで今の状況例えるの、カオス過ぎたな。
 とにかくトマトケチャップ水道水をメインにマヨネーズを御香のように置こう……いや何この急な駄洒落。
 ちょっとお地蔵さんに引っ張られているし、御香は結構置いていいし、お地蔵さんだったら。
 まあそんなことはどうでもいいんだ、トマトケチャップ水道水にはちょっとのマヨネーズで……いや! やっぱ無理!
 不健康過ぎる! 不健康組曲だよ! 複雑に不健康だよ! いやトマトケチャップに水道水だからあんま複雑でも無かったよ!
 でも状況が複雑だよ! こんな寒い部屋で、冬で、冷蔵庫カラッポって何だよ! 私、食に興味が無さ過ぎるよ!
 だからラムネで糖分補給するだけだったのかよ! でも私ってあんまラムネ好きだった記憶無いんだよな!
 実際問題、本当にちゃんとした料理していた記憶が薄っすらあるんだよ! でもこの状況はどういうことっ?
 マジで冷蔵庫泥棒に入られたのか! 私が倒れているうちに!
 ちょっと冷蔵庫はいいとして……ほら! キッチンに! フライパンと鍋出しっ放し! あとIHのコンロ! 何かこだわってる感じがする!
 アパートは狭くてもいいけども、多少小奇麗で、IHというこだわりを持っていたような気がする!
 フライパンと鍋がある時点で料理していたこと確定でしょ! あっ! キッチン台に塩も常備している!
 でも食材が無いって何だよマジで! もしかするとフライパンでマヨネーズを焦がして、トマトケチャップを溶かしたお湯に入れて、スープにしてたっ?
 調理するけども使う食材はマヨネーズとトマトケチャップだけとかだったのか!
 いや! 人参とか食え私! 人参とかタマネギとか! キャベツとかでいい! 簡単に美味しい料理作れるから!
 むしろ料理するな! キャベツ買ってきてドレッシングでいいし! どこの工程が面倒だったんだよ!
 野菜を切ることがナーバスだったのかよ! でもキャベツならちぎるだけでいいぞ! おい!
 包丁は……あった! キッチン台の下の棚に包丁あった! 使ってる感じがなんとなくする!
 じゃあ今日どうしたんだよ! 今日は晴れの予定だったのかよ! 青空の予定だったのかよ! ショタ風に言えばね!
 思い切って食材使い切ったら、大雪の日だったのかよ! 計画が良くない! 私は計画の立て方が下手過ぎる!
 お笑い芸人らしい向こう見ずさがここで出てる! 計画の下手さで出るなよ! いらない豪快さだよ!
 そうだ、ゴミ箱を見よう、人参とか大根の皮を剥いていたら、その皮を食べよう。
 今の時代、確かSDGsとか言っていたはず、いける、徐々に記憶も良い感じになってきてると思う。
 そうそう、SDGsよ、時代はSDGsだったはず。
 よしっ! 捨てた皮を食べよう!


・【ゴミ箱】

 どこにゴミ箱があるか、まずは鼻でチェック。クンクン。
 クンクンって擬音、これもショタっぽいなぁ。
 そもそも擬音って子供っぽいから、つまりはショタっぽくなるんだよなぁ。
 ちょっとショタに敏感になり過ぎているかもしれない。
 いやいいんだ、軽度のショタは趣向だからいいんだ。
 ネットのブックマークを見ても、一番最初にショタのサイトじゃなかったから、ならば別にいいんだ。
 ちょっとくらいのショタ好きの若い女性、可愛いもんでしょ。
 ショタである自分を肯定しよう、そっちのほうが精神衛生上、良いような気がする。
 それも含めて人間好きというかね、そういう自分も大好きな人間好きでいようと思う。
 いやまずはクンクンの時間、略してクンジだよね、クンクンとクンジを重ねていこう。
 クンジの逢瀬を重ねていこう。私のクンジでメロメロにしてやる、みたいな感じで。
 いやそんな、クンジ・テクニカル人間じゃなくて、単純にゴミ箱がどこにあるかないか、うん、無理、匂いで識別は不可能だ。
 というかこの部屋、妙にクリアなんだよなぁ、匂いがね。
 何もクサくないというか、だからって香水の香りもしないし、ちょっとくらい金木犀の香りがしていてもいいのに。
 金木犀の香りってめちゃくちゃ良いよね、甘いお花って感じ、あれが最良。
 次がお肉、お肉を焼いた香りも最高に薫風、まあ薫風、クンクン……プゥ的な、いやこれはオナラじゃん。
 香ってる人の前に行き、オナラをするイタズラをする人じゃん。
 こういうことする人間になりたくないと思う反面、そんなことをしていたような気もする。
 ほら、ベンチに座っている人の顔って、ちょうど私のお尻くらいの位置にあるから、そこへ向かって歩いていき、そこでオナラするみたいな。
 特に子供だと座高が低いから、なおダイレクトにオナラを浴びせられるというか……いや! 屁ショタ界隈だったのっ? 私!
 ショタにオナラ浴びせる界隈だったかもしれない! これは良くない! 法律じゃなくてモラルの範囲だけども、あんまり良くない!
 それとも法律の範囲じゃないからマシなのか! いやでもこれは相当良くないモラルを発生させていたと思うな……。
 よしっ、これ、今までしていたら今後はしない! 絶対にしない! 屁ショタ界隈はバレた時のショックが大きい!
 『屁ショタしてましたね』って名探偵に腕を掴まれたら、泣き崩れる!
 泣き崩れる拍子にオナラこいて、それから泣き崩れてちょうど自分の顔の位置に前・こいたお尻がきて、クサがりながら後悔するような気がする。
 これは良くない、そうか、私って屁ショタだったのか……じゃあもうショタとかじゃないのかもしれない、アンチ・ショタだったのかもしれない。
 ベンチショタに屁をかけるヤツはアンチ・ショタじゃん、あのスケジュール帳の予定って嫌いなショタに屁をかける予定だったのかもしれない。
 そっかぁ、逆に私、アンチ・ショタだったのかぁ、だとしたらもはやショタのほうが博愛主義じゃん。
 というかじゃあ私の人間好きとはどういう整合性が? 独善的な人間好きだったの? いやいや訳分からん。
 どこかがおかしいのか? 推理をミスってるのか? まだまだ記憶喪失の謎は深まるばかりのようです……何かニュースキャスターみたいな言い方をしてしまった。
 私ってニュースキャスターのネタするお笑い芸人だったのかな? いやあの見たネタが全然そんなんじゃなかったしなぁ。
 謎は深まるばかりのようです……同じこと何回も言うニュースキャスターみたいな言い方をしてしまった。
 まあいいんだ、今はまずお腹がすいているから、ゴミ箱を漁って皮を食べるんだ、何だその絶望的な食事、改めて考えると絶望的過ぎる。
 もっと良いモノが食べたいなぁ、でも冷蔵庫の中には全然無くて。
 あんなん減量中のサガットじゃん、スト2のベガが率いている四天王のムエタイ戦士・サガットの減量中じゃん。
 まあムエタイって減量とかするのか知らんけども、でもまあ若干痩せているし、多分減量とかもあるんだろうなぁ。
 サガットはタイガーショットと言いながら、波動を飛ばすけども、私も元気なタイガーショット飛ばしたいよ、旨い肉食べてさ。
 でもゴミ箱に肉の皮とかは捨ててないだろうなぁ、肉の皮ってマタギしか所持してないもんね、肉の皮をそのままゴミ箱に捨てることもないし。
 しかるべき場所で処理するからね、肉の皮って。でも鳥皮の脂肪過ぎる場所は捨てることもあるから、それがあったらラッキーだなぁ。
 ん? これがゴミ箱かな? 開けてみよう……!
 私は愕然としてしまった。もうそのまま膝から崩れ落ちる直前にオナラをこいて、崩れ落ちたところで自分のオナラを嗅いで泣くくらいに。
 なんとゴミ箱と思われる箱の中には何も入っていなかったからだ。
 この、足で踏んで開ける箱こそゴミ箱の箱だと思うのだが、そこには本当に、何も、ビニール袋さえ入っていなかったのだ。
 ……完全無欠のSDGs?


・【ゴミが無い】

 ちょっと、ゴミが無いなんて、生きた証が無いようなもんじゃん。
 ゴミって人生だから、ゴミがその人を物語るわけだから、それが無いって完全無欠のエスディージーザーだったってこと?
 エスディージーザー過ぎるよ、これは、地球の守り神として機能しちゃうよ、SDシーサーだよ、小さいサイズのシーサーくらい守ってるよ、これは。
 小さいサイズのシーサーだから家の中しか守れないけども、一人ひとりがそういう意識でやっていけば、未来はきっと良くなるよ。
 私って、意識高い系のロールモデルだったの? 確かに何か、担ぎ上げられていたかもしれない、最年少エスディージーザーとしてサンデージャポンに出ていたかもしれない。
 サンデージャポンってよく分からない肩書の女性タレントが未来ヅラしてコメンテーターやってるから、私もそれなのかもしれない。
 えぇー、私がもはや、摂取キッシュキッスの賢い系クール美女枠だったということ? リア充系お笑い芸人だったってこと?
 ありえるわ、だって私って美人だし、そっかぁ、嫌だと思っていた摂取キッシュキッスの賢い系クール美女って私のことだったんだぁ。
 だからそんな言葉が浮かんだわけか、そうだよね、普通、摂取キッシュキッスなんて言葉浮かばないもんね。
 それがすんなり浮かんだということは私がそうだったということかぁ、うわぁー、私はリア充かよー。
 でも不思議と全然そんな気はしないなぁ、私はあんまリア充じゃなかったような気がするんだよなぁ。
 えぇー、キッシュ摂取してたかなぁ? 投げキッスをクールにかましていたかなぁ? あんまそんな記憶は無いんだよなぁ。
 それよりも青空西瓜というクソダサ芸名の、うだつの上がらない万年デイズだったような気がするんだよなぁ。
 何か最近、特に滑った記憶もあるし、いやいや、サンデージャポン系女子じゃなかったような気がする。
 そこまで売れている感じじゃないと思う。だってここどう見ても雪国じゃん。この窓の外の風景的に。
 じゃあ東京じゃないじゃん。サンデージャポンは東京で収録している爆笑問題の番組だから。ひろゆきとか出る番組だから。
 未来ヅラとひろゆき型と売れかけのお笑い芸人が出る番組だから。私がその未来ヅラ枠とは到底思えない。
 そういう未来ヅラのことをバカにしているくらいの感じがする。もっと泥臭い感じで……泥、それだ、キッチン台の泥こと下部に何かあるのでは?
 いやいや、キッチン台の下部の棚を泥って表現しないけども、でも今はこうインスピレーションしてしまったんだから、しょうがない。
 キッチン台の下部組織をチェック! U-18は育っているかなぁ! ……! 育ってる!
 缶詰あった! これ食べよう! うわぁぁあ! 最高! 缶詰あった! キッチン台の下部組織、キッチン山雅FCのU-18、飛躍の年です!
 ツナ缶に、コーン缶に、焼き鳥缶まで! やったぁ! 全部マヨネーズ付けて食べるヤツじゃん!
 つまりトマトケチャップはスープで、マヨネーズは缶詰に付けるモノ枠だったんだぁ! これは納得だわ!
 早速そのまま開けてマヨネーズ……は、ちょっと貧相な暮らし過ぎるから、軽く料理するか。
 まずコーンを開けて、フライパンにワッと入れて、と。
 醤油あるかな? キッチン山雅FCのU-18に……居た! 醤油居た! 安定のボランチ! 醤油が居ました!
 じゃあコーンを醤油で焦がすように炒めて……香りがいいぞ! 何が金木犀だ! あんなん秋に薫ってくるだけじゃん!
 こちとら焦がし醤油の香りだぞ! J1民よ、清水が通るぞ、ばりに焦がし醤油の香りが通るぞ!
 何だ! 何かサッカーの知識が溢れてくるな! 私ってサッカーが大好きだったのかっ? 確かにそんな感じの工場製品の絵馬もあったなぁ!
 そっか! そっか! アンチ・ショタでサッカー好き、別段人間好きってわけじゃなさそうだな! お笑い芸人でまだまだこれからのランクって感じ!
 こっから駆け上がるぞ! 富士山を駆け登る! 否! まずは丘を駆け上がるぞ! ちょうどいいサイズの丘を駆け上がって、そこそこの満足感を得てやる!
 おあがりよ! 焦がし醤油コーン! そこに台無しってくらいマヨネーズ掛けて完成! 旨そう! これは絶対旨い!
 でもまだまだ、私の料理は終わらない、ツナ缶を……鍋に入れて……トマトケチャップと醤油で味付けしてスープにします!
 おっしゃぁ! 人間のスープ力(りょく)を見せてやる! これぞ人間のスープ! 人間スープだ!
 トマトと醤油は旨味の方向性が似ていて、非常に合うんだ。
 具としてのツナは思い切って、二缶使ってやる! ツナ二缶だ! イカ二貫風に言えば! 全然韻踏んでないから醍醐味が台無しだけども!
 でも味は最高! そうだろ! そうだろ! 私の中の食欲筋肉、そうだろうぅっ?
 喉筋ね、喉筋が唸るぜ、喉筋が妙に野太い声で『う~ん、やってますねぇ』と言ってる! 美食家の喉筋がねっ!
 トマトケチャップと醤油を加えて煮た上で、最後に醤油をさらに一垂らしして完成!
 最後の醤油は風味のための醤油! 熱した醤油は味の醤油!
 火を止めて完成ってところで、今までの繊細な味付けを無視するほどにマヨネーズを掛ける! これだぁぁぁああ!
 よしっ! 食べるぞ! これはもうバクバク食ってやる! 否! こういう時こそ冷静に!
 私は食リポ魔人だという気持ちで、食リポしながら食べるぞ!
 自分のお笑い力(りょく)がどんだけあるか感じたい! そのために自分を試すんだ!


・【食リポ】

 まずは焦がしコーンのマヨネーズ乗せから頂きます。
 う~ん、食べる前から美味しい。食べる前から旨過ぎてコラッ! 叱ってしまいました、ねぇ~……何か違うな……入りを失敗してしまった。
 テイク2というわけで、ここからもう一回やり直します。
 まずは焦がしコーンのマヨネーズ乗せを頂戴しちゃいますね。
 若い芽を刈り取るように、新しい世代が伸びてこないように、じっくりいたぶりながら食事していきましょう……キモい大御所になってしまった。
 これは良くない、キモい大御所のおもんないユーモア食リポになってしまった、キモい大御所のいたぶる発言はガチが透けて見えるから。
 まずは焦がしコーンのマヨネーズ乗せを食べちゃうわぁ。
 あらま、マヨネーズが白いわねぇ、こんなに白いと逆に食べられるかどうか不安になりますわぁ、怖いですわぁ……全然違う。
 白い食べ物って全然怖くないし、牛乳とか豆腐とか、むしろ有難いくらいだし。
 白いと怖いという概念の世界、無いし。やり直そう。
 まずは焦がしコーンのマヨネーズ乗せがっ、出現したっ、喰うぞっ!
 これはっ! 真剣にっ! なるなっ!
 あぁダメだ全然違う、私の脳はなんなんだ、食リポできない呪いにかかってる?
 お笑いし過ぎ病? いや全然お笑いしてなかったけども、ただただダメだったけども。
 何かもう普通に食べてしまおうかな、食リポすると自分で自分に宣言したことにより、緊張しちゃってるのかもしれない。
 ここはもうフラットに、フラット3で食べてしまおうかな、昔のサッカー用語、フラット3で食べてしまおうかな。
 フラット3が何なのかは全然思い出せないけども、記憶の中のサッカー用語だけども。
 いやいや、もうどうでも良くて、普通に食べよう。
 マジで人間スープも冷めてしまうし。そもそも冷蔵庫のマヨネーズを直掛けしたから、それでもうちょっと冷めちゃってるんだもんな。
 まずは焦がしコーンのマヨネーズ乗せからさっさと食べちゃおう。菜箸も普通にある家で良かった。
 うんうん、思った通りの味だなぁ、THE 思い通りの味だなぁ、馴染みのファミレスくらい思い通りの味。
 もっと進化しなくていいんですかっ? と一瞬思ってしまうくらいの馴染み。
 地元に帰ってきたら、いつも散歩している、謎の老夫婦くらい顔馴染み。
 いやいつも散歩していて何故か風貌が一切変わっていない謎の老夫婦はちょっと怖いか。
 生まれた時からずっと老夫婦でした? って人、たまにいるよね。
 それとは一線を画す、普通の味でした、このコーン。
 次は人間スープを鍋のまま頂きます。あーぁ、マヨネーズが強いですねぇー、ちょっと、さすがに掛け過ぎましたね。
 マヨネーズの主張がここまで強いと、もう左遷させたいですね。
 ここまでマヨネーズの主張が強いと、遠方に左遷させたい味ですね。
 だって、マヨネーズなんて、ギリギリ合格のヤツだったのに。
 何か、部長と不倫し出したことにより、すごい顔がデカくなって。
 有望な同僚をアゴで使うようになって、もういるだけで邪魔みたいな。
 部長も何か疎ましく思ってきたところで左遷、いやその場合はクビか。
 その場合のマヨネーズはもはやクビか。
 じゃあ有望な同僚の横領くらい左遷、いやその場合もクビか。
 横領するヤツに温情なんて掛けたくないからね。
 どのくらいが左遷なのかな、私よく分かんないかも。
 左遷分からない芸人でアメトーーク出るしかないかも。
 左遷が分かる、左遷された芸人からいろんな話を聞く会にしたい。
 ほら、あの、住みます芸人ってつまり左遷された芸人だから詳しいと思う、って、先輩芸人に言ってしまったら、私ってば可愛いから、軽く頭を撫でられてから、ワッハッハ、サイコクラッシャーなんだろうなぁ。
 まあサイコクラッシャーで攻撃されて、後方にぶっ飛ぶんだろうなぁ、私は。
 お笑い芸人界って縦社会だから、いくら可愛くてもサイコクラッシャーでぶっ飛ばされるんだろうなぁ、言わないようにしなきゃ。
 さてと、まあお腹も満たしたところで、これからどうするか考えるか。
 そうだ、外に出たら私のことを知っている人がいるかもしれない。
 聞いて回ればいいかも。

第三部 状況


・【外に出たら?】

 ……いや! 外は雪がすごい! 出たくないわ! マジで記憶喪失は夏の浜辺であれよ! 全員が外に出たくなる日になれよ!
 雪がすご過ぎて、外に出ることは現実的じゃない! というかマジで何この雪っ?
 絶対北国じゃん! 北国でお笑いやっているってダメじゃないっ? 実は私は左遷された芸人ということっ? それはありえる! マジでありえる!
 ネットでお笑いナタリーというヤツとかクイックジャパンというヤツで『都会良いなぁ』と言いながら都会味を摂取していたということっ?
 摂取キッシュキッスになりたかったヤツってことっ? でも左遷されてオワタって感じっ?
 まず雪国でお笑いしている時点でメインストリームじゃないよなぁ……あーぁ、何かちょっと落ち込んできた、記憶喪失前の私、もっと頑張れよ。
 落ち込ミニストになってきた、落ち込みミニストップじゃん、落ち込みつつソフトクリーム食べるヤツじゃん、あー、ソフトクリーム食べたい。
 もっと真夏にソフトクリーム食べるような生活していたかったわ! それなのに激寒部屋で記憶喪失って何っ? そういうドッキリ?
 いや『まずターゲットを記憶喪失にして放置します』なんてドッキリ、コンプラアウト過ぎて犯罪じゃん!
 マジでこの大雪何っ? もう大雪の日ってお笑い要らないじゃん、お笑い要らない土地でお笑いすな。
 除雪機の免許のほうがいるじゃん。除雪機の免許天下じゃん。私、免許とかも無いのかなぁ? どうなのかなぁ。
 免許があれば名前分かるのに、でも実際名前分かったから何なのって感じじゃない?
 もっと即効性の高い私の情報って何かな? まあまだ全然家の中も調べられていないから、こっからの私に期待って感じだけどね。
 でも雪よ、この雪よ、こんな銀世界でお笑いって、マジで要らないんじゃないの?
 インフラを訴えかけたほうがいいんじゃないの? 未来ヅラして、青少年をインフラでたぶらかしたほうが金になるんじゃないの?
 インフラでたぶらかす、そう、インブラしたほうがいいんじゃないの? 陰部らに市民権を与えたほうがいいんじゃないの?
 略して、陰部らにしみけん与えたほうがいいんじゃないの? 何かめっちゃ良い気がしてきた! 陰部らにしみけん与えるって!
 よく分かんないけども、すごくピッタリくる語感のような気がする! 語感というか股間というか!
 何だろう、この記憶! ちょっとだけワクワクする! 市民権をしみけんと略すとワクワクしてくる!
 いやでも何か漠然とワクワクするだけだから止めるか、というか雪、雪過ぎる、この国、雪過ぎる、いや町だけども、それとも村? 分からん。
 こんなところでお笑いライブしても人来ないでしょ、雪の日は外に人が出ないでしょ、冬はお笑いライブできないでしょ。
 お笑いライブできない季節がある町に、何の文化があるんだよ、サブカルチャー不毛の地でしょ、毛布の地過ぎる。
 もう全部毛布、全部全部毛布、毛布の地、毛布無きゃ生きていけない、毛布ナタリー作ろうかな、私が。
 毛布ナタリーという毛布の情報サイトを始めて、毛布の良し悪しをライターに徹底討論させようかな、流行るんじゃないの?
 もはや私がメディア女王になって……って! お笑い! 私はお笑い芸人でしょ! 未来ヅラしてメディアを始めない!
 未来ヅラしてメディアを始めるヤツって大体、セックスカルチャーを取り扱うイメージある! それがダサい!
 まずは”あえてタブーに挑戦”ってツラして、みんながやったルートを辿るから良くない! もっと独自性を持つべき!
 とは言え、毛布の情報サイトはセックスカルチャーに繋がらないのでは……いやいや、毛布の下で男女が繋がろうになるからダメだ。
 そんな安易な企業案件はしない! 私は毛布を安易に売らない!
 いやそんなセルアウトしない毛布ラッパーはどうでも良くて、あと毛布なら売れ。
 この雪国感よ、雪国過ぎてお笑い芸人という職種、やっていけるのかなぁ。
 何かサブ業、じゃなくて副業やってるのかな、ついサブカルチャーという言葉が頭にあって、副業のことサブ業って言っちゃった。
 何だよ、サブ業って、流行らなかった言葉かよ、打ち負けたほうかよ、何か兼任でユーチューバーとかしていたのかもなぁ。
 冬の季節はネットにネタ動画を上げて、再生数で稼いでいたみたいな。
 じゃあ私がお笑い芸人なら、何か小道具を持っているんじゃないか?
 棚とか開けてみて、小道具があったら、まずは私がお笑い芸人確定ってことになるんじゃないか?
 私がお笑い芸人で確定すれば、徐々に全体像が見えてくるような気がする。
 いやまあパソコン内にネタがある時点で、お笑い芸人はほぼ確定なんだけども、小道具の種類で自分の型が分かるんじゃないの?
 ネタ見る限りピンネタって感じだったし、ピン芸人って小道具いっぱいあるイメージあるし。


・【ピン芸人】

 どんな小道具持っていたら、どうってことをまず最初に考えておくか。
 まず服がいっぱいあったら一人芝居のコント師スタイルだろうなぁ。
 いやさっき見たピンネタがそういう感じのネタじゃなかったから、そうじゃない可能性もあるけども、ネタっていろんな種類あるし。
 じゃあ今からそれを考えたところで、それで確定はしないかぁ。
 やっぱり考えるより、まずは今、分かるモノを見るってところだな。
 もう一回パソコンを見て、どんなネタの型が多いのか見ていこう。
 パスワードを入力して、と、この数字名前のダサフォルダを開けて、これを見てみようかな、元気ハツラツくん、と。

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

やぁっ、ボクは元気ハツラツくんだよっ!
気軽にパン買って来いと言ってね。おいしいパン屋さんを知ってるからね。
二次発酵という言葉も知ってるよ。
「物知りなんだね、元気ハツラツくんは」
そうなんだよ、ボク物知りなのさっ!
すごいよ、すごすぎるよ、ジャムパン買って来てよ。
いいよっ、サービスとしてジャムパンを股に挟んでスライディングしてから渡すよ!
じゃあ、早速ボク、パン買ってくるよ。

スタコラッサッサー。

おはようございます。今日もパンをもらいに来ました。
はいっ、そうです。食パンの耳をいつももらいに来る子です。
うん、そうなんです。大変なんですよ、デッサンって。
あっ、食パンの耳を消しゴムの代わりに使う話しましたっけ?
しましたかぁ、ありがとう、昔のボク。
では、また明日もよろしくお願いします。
(プー)
えへへ、オナラしちゃった。

スタコラッサッサー。

はいっ、ジャムパン買って来たですスライディング!
「ジャムパンじゃなくて、食パンの耳だろ、これは」
あっ、いいえ、これはジャムパンです、食パンの耳じゃないです。
そんな耳て、大学病院じゃないんだから。
おいしいおいしいジャムパンですよ、これは。
デッサンに使うほうのジャムパンです。
なんせ、中にジャムが入ってるんで色付けが出来るんです。
本当ですよ、ボクの買って来たのはジャムパンです。
食パンの耳じゃありません。だって十万払いましたもん。
高級なジャムパンって、逆に貧相でホッソリ……そう、ヒンソリしてるんですよ。
だから、食パンの耳じゃないですって。
イタイッ、拳殴りを腹に喰らわせないでっ。
やめてー、熱した油をかけないでー。
元気ハツラツくんからハムカツくんになっちゃうよー。

《なりました》

どうも、ハムカツくんです。
丸い丸いハムカツくんになっちゃった。
このボディの薄さっ、これは安物だっ!
でも大丈夫。ボクがハムカツくんになっても、みんなのシンボルマークだよ。
主に青少年のシンボルマークだよ。青少年も案外、脂っこい連中だよ。
そもそも、この丸みがシンボルマークとしては、良い味出してるよね。
この味はモチロン旨味とかの味とも掛けてるよ、すごいだすね……ですよね。

《なりました》

どうも、カツゼツくんです。
滑舌の悪さのせいで、こんな目に遭ってしまいました。
みんなも、かまずに生活したいものですよね。
「そう、かまずに生活したい」
うん、そうだよね。
ありがとう、ボクの発言に答えてくれただけで勇気が出るよ。
(プー)
えへへ、オナラしちゃった。
どうも参ったね、こりゃ。
カツゼツくん改めオナラくんになっちゃうよ。

《なりませんでした》

だよね、パターンに合わないもんね。あっ、ボクはカツゼツくんのままだよ。
安心してパン買って来いと言ってね。それ以外にも出来ることなら何でもやるよ!
八方美人だからね。
じゃあ、早速ハムカツ買って来るよ。

スタコラッサッサー。

すみません、ジャムパンください。
「ここはハムカツ屋なので、ジャムパンは置いていないです」
はいっ、知っています。ここがハムカツ屋さんということはっ。
だからこそのジャムパンじゃないですか。人が悪いなぁ、店長おじさ~ん。
あるんですよね、ジャムパン。ハムカツなんて誰も食べませんからね。
「ジャムパンなんて無いし、ハムカツは全員食べるだろ!」
ちょっ、ちょっと怒らないでよ。
やめてー、熱した油をかけないでー。

《なりました》

どうもハムカツくんです。Back Againです。
ついにこの日が来ました。ボク自身をお客様に提供する日が。
おいしく食べてくれるかなぁ、心配だなぁ。
(プー)
えへへ、オナラしちゃった。

スタコラッサッサー。

ボクを食べてください。
「それは無理だよ」
そっか、友達だもんね。じゃあ、ボクは元気ハツラツくんに戻るよ。
元気いっぱいモリモリ山盛りご飯!

《なりました》

どうも、元気ハツラツくんだよ!
今日も元気に戻れました。みんな、ありがとう。
いつも応援ありがとう、サインは後で書くよ、ファンレターは槍で刺して、槍ごと土の中に埋めるよ。
八方美人の裏はこんなもんだよ。
では、また明日!
お天気にな~れっ!

《なりませんでした》

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 これは一人コントって感じかな?
 ちょっと最初に見た『東京マラソン』というネタとは毛色が違い過ぎるなぁ。
 いやお笑いの方向性というか感性は似てるというか、私が書いたって感じだから間違いないんだけども。
 何かちょっとだけ違和感というかなんというか、私、これ演じられるかな……正直ちょっと自信が無い。
 なんというかこの演じられる演じられないの感覚が私にあって、このネタはちょっと演じられないような気がするんだよね。
 好きじゃないとかじゃなくて、演じる技量が無いというか。
 でもネタとしてあるわけだから、これは私が演じていたネタなんだろうなぁ。
 まあ他のネタも見てみるか、この底無しというネタも見てみよう。これはちょっと短いかな?

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「底無し沼は深いのか」

  行ってみた

意外とぬるい もう少しお湯を入れるべきではないだろうか
これでは底無し沼の中で寝てしまうではないか 溺れたら大変だ
絶対 お酒を飲んでから入ってはいけないな
ゆっくりゆっくり落ちる僕は思う ズブズブとズブズブと
もう大分落ちたのだろうか なんせズブズブしているのでわからない
落ちる速度は多分 体感よりも遅いだろう
まだ士農工商でいうとこの工だろう 食物連鎖のピラミッドでいうとこの魚だろう
いや十分か これだけ落ちれば十分か うん そうだ いや 本当に十分なのか
体感だけではなく 脳内も狂わせる 底無し沼は何故こんなにズブズブしているのか
ここまでズブズブしているとあまり良くない 誰も喜ばないであろう
片栗粉の入れすぎではないか これでは中華職人になれない
料理長に食べ物で遊ぶなと怒られる程度じゃ済まないだろうし
下手したら減給である そのことをわかっているのだろうか この底無し沼を作った職人は
僕が料理長なら厳しく破門だ いや それだけじゃない
根回しして 知り合いの寿司屋でも 雇わないようにしてやる それ程の罪だ
片栗粉をなめるな 片栗粉をなめるな 片栗粉をなめるな
片栗粉をなめると 舌にぷるんぷるんのコーティングをされてしまい 味覚が悪くなるぞ
僕が口を酸っぱくして 舌をサラサラにして 言っていた事だとわかっているよな
オマエなんか破門だ よし 根回ししに行かなければ

  行ってみた

「寿司屋のおやっさん アイツを雇わないでくれ」
何をキョトンとしている アイツのことだよ アイツのこと
僕が料理長をしている中華料理屋の若いやつさ
アイツが片栗粉の無駄遣いをしやがって 底無し沼をバカにしやがって
本当にダメなやつで 破門してやったから雇わないでくれ アイツの性格だ
片栗粉だけでなく シャリも無駄遣いしやがるだろう
シャリを握りすぎるに違いない シャリをもてあそぶだろう
アイツの農産物への思いは行動にすぐ表れるんだ 大切にする気が見えない
わかったな おやっさん 頼むよ 本当
あういうやつが料理人になっちゃいけんのよ 本当
食べ物を粗末にするような 食べ物が服に付いたらすぐ払ってしまうような
料理人と食べ物は一心同体という感覚が足りなすぎる
服に付いたら子のように扱い 後で食べろ
士農工商の農の厳しさを 一から知らしめてやらないといかんのだよ
アイツに カタクリシャリカタクリシャリ リリリーリーだ
アイツのためにもいい農家を紹介しないとダメだな

  行ってみた

「アイツを雇ってください」
そんなキョトンの繰り返しは望んでいない やるならもっと別の反応を
片栗粉とシャリを無駄遣いするアイツに 農業の大変さを
汗血を流し 築き上げて作った物を売られる悲しさを
教えたやらないと 僕の気が狂ってしまうんです
どうか アイツに片栗粉かシャリを作らせてやってください
片栗粉かシャリ つまり 粉か粒でいいんです どうかアイツに どうかアイツに
いくら破門したとはいえ アイツの腕は買っているんです
あっ アイツには今のセリフ 言わないで下さいね
アイツには一人前の中華沼職人になって欲しい親心です
早く適度の片栗粉を覚えて欲しい一身です
お願いします お願いしまーす お願いしまーーす

  その後 僕はその場で三年寝た その後 底無し沼へ行った

底無し沼はサラサラになっていた
これだ 中華にもサラサラ料理は必要だ ついに片栗粉がわかったか 嬉しい
僕は底へ向かった いつ到達するかわからないが サラサラと サラサラと
料理長は深みを究む

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 いや多分私のネタなんだろうけども、これも演じられる自信が無い……あれぇ? これって私のネタ?
 もしかするとこれ私のネタじゃないかもしれない、こんなネタはさすがに演じられない。
 えっ? 誰かのネタを一緒に作ったのかな? 一緒にというか、これも私が書いたっぽいけども、感覚で言うと、私が誰かのために書いてあげたネタっぽいというか。
 構成作家みたく、誰かのためにネタを作ってあげた感じがする、少なくてもこれ絶対私が演じる感じじゃない。
 じゃあ私ってそういう活動もしていたということかな、それなら雪国に住んでいることも理由がつくかも。左遷以外で。
 冬の寒い時期はこうやって構成作家の活動をして、誰かに自分のネタを売っていたのかもしれない。
 ちょっと、他のネタをもう少し見てみるか、この玉の輿ってネタも見てみよう。

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あぁ、ヒマだわー、もうペーパークラフト飽きたぁー、そうだ、玉の輿でもしましょうっと。

(しました)

まあまあ男前の家庭に玉の輿したけども、彼ったら忙しいからやっぱりヒマだわー。
何で忙しいんだろう、仕事のしすぎよ、もっと家庭を顧みて欲しいわ、
顧みて欲しい気持ちが結婚生活三日目にしてそう思えてくるんだから相当よ、相当顧みない人なんだから。
あぁー、ヒマだわー、ちょっくらヨガ教室でも開いてみましょうかしら。

(開きました)

あらヤだ! その日に出会ったばかりの男性に股を開いてしまったわ!
どうしましょう、玉の輿の身なのに、稼ぐ能力はまるで無いのに、どちらかと言えば×なのに、
あぁ、バツイチにはなりたくないっ!
どうにかして彼にはバレないように、ちょっくらアリバイ工作でもしてみましょうかしら。

(しました)

しまった! またあの男性と一夜を共にしてしまった!
というか一夜って相当! もうアリバイのしようが無いわよ!
あぁ、どうしましょう、彼からの着信がたくさん着ているし、
いっそのことあの男性と愛の逃避行にしゃれ込みましょうかしら。

(しました)

しまった! 特に逃避せず、また近間で一夜を共にしてしまった! というか連続だから二夜よ!
テレビ局が力を入れているドラマじゃないんだから二夜も連続だなんてダメ!
でももうしちゃったのはしょうがないから、次の手を考えようかしら。

(考えました)

……ふぅ、なんとか彼から二億の慰謝料をぶんどることに成功した。
もう本当賭けだったけどもね、全面的に私が悪い状況から、なんとか彼の友達に誘拐されたことにしたからね。
そのせいで二夜も家にいなかったことにしたからね、彼の友達には悪いことをしたなぁ。

(本当にしました)

……誰っ? 今私に対して『本当にしました』という相槌をした人、誰っ?
というか要所要所、結構聞こえていたけども今日は特にバッチリ聞こえた……。
でも何だか人間の声じゃなかったような……何というかちょっとエコーが掛かっていて……もしや神様?

(妖精です)

妖精なのかよ! ちょ、ちょっと! その妖精とやらが私に何か用なのっ?

(天罰を与えにきました)

ちょっとちょっとぉっ! ただでさえバツイチなのに店から×だなんて、何店よ!
中華料理店なのっ? それともブティック店なのっ? どこのお店からの×なのよ!
というか私、別にお店に恨まれるようなことしていませんけどもっ?
あ、でも彼のお店や、彼の友達のお店には恨まれることをしたか……というと、
彼のお店である豚足専門店か、彼の友達のお店である安くて長いカーテンのお店のどっちかね……。

(天罰のテンはお店の店じゃなくて天空の天です)

えっ? てんくうのてん?
天ぷらを食うを略して天食う?

(えぇー、もう何この人、どういうことなの)

こっちの台詞よ! 私に天ぷらを食わせたいってどういう意味なのよ! 餌付けっ?
太った私のほうが好みなのっ?

(えっと、じゃあこうしよう、とりあえず貴方に罰を与えますから、ちょっとじっとしていて下さい)

嫌よ! じっとしていたら何かされるということでしょ!
私はその日出会ったばかりの男性とする時も、異常なほど積極的なんだからじっとするわけないじゃないの!
さらに妖精が相手ならなおさら! 人間のすごさを思い知らせてやるんだから!

(ゲスめ)

はぁ? ゲスだって?
ゲスってどういう意味の言葉なのよ! 教えなさい!

(何なのこの人)

むしろ私が教えてあげる! 教えてあげるからとりあえず隣に来なさい! いろんなこと教えてあげる!

(教えてもらいました。
 それがとても、とても素晴らしく、今までずっと天から見ていたので、だいたいの内容は知っていたのですが、
 自分が受け手になるとそれは別物というほどに変わり、何だか、
 桃源郷というのは、彼女の隣なんだなということを知りました。
 それから一年後……)

ちょっと! 早く起きなさいよ!

「なんだい、まだ寝ていてもいいじゃないか」

ダメよ! 今日もまた一生懸命お金を稼ぐのよ! お金はあるに越したことないんだから!
ほら! いつもの貴方の天から見る行為で、インサイダー取引しましょうよ!

「……うん、そうだね、お金はあるに越したことないもんね」

じゃっ! 私はパソコンの前で構えているから!

(僕のやっていることは決して正しくはない。
 でも今が幸せなのだから、僕はこれを続けようと思う。
 妖精という立場を利用した犯罪、卑怯極まりない、ゲス、だけども続けようと思う……いや続ける。
 断言する、続ける。
 だって、
 だって、
 お金はあるに越したことないんだから……)

私の心の中
『彼の心の中の台詞って、丸聞こえなんだよねぇ。でもそこが正直者みたいでかわいいっ。
 それにしてもゲスという言葉の意味は何なんだろう、枕詞みたいなものかな?』

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 一人二役……? でもこれならまだ演じられる感じがする。
 でも一人で演じ分けるって感じじゃないなぁ。もしかするとパソコン内にネタに使う音声とかある感じ?
 それで一人二役やっていた、とか、それならありえるかも。
 もう一本ネタ見たら、パソコン内の音声を検索してみようっと、拡張子で検索掛けたら出てくる感じかな?
 まあまずは一応、これで最後のネタっと、何か気になるタイトルだからこれは見てみたい、2年B組 無言演劇台本『パンツを履かない浦島太郎』っと。

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2年B組 無言演劇『パンツを履かない浦島太郎』台本

ナレーション
「これから2年B組、無言演劇『パンツを履かない浦島太郎』を始めます」

■シーン1『歩く浦島太郎』■

(誰かの生尻を叩く音と共に幕を上げる)
>生尻役は、
 私達クラスの内容を盗み聞きしていたA組の斉藤くんが、
 「俺がやる、情がうつった」と言ってくれました

(浦島太郎、上半身Tシャツ・下半身肌色のスパッツで登場)
>肌色のスパッツは、林くんが趣味と仕事を兼ね備えた有意義なことにより約五十枚持っている

 注:その有意義なことの内容を詳しく聞こうとすると、林くんの顔が徐々に青ざめていくので、
   カキ氷のブルーハワイ味が無い時、青代わりにその林くんの顔を見ながら食べましょう

(浦島太郎は『マニュアル高校』と書かれたプラカードを持ちながら行進)
(パンツが落ちているところで一旦足を止める浦島太郎)
(パンツを地面に埋める動作をして、墓標として、そのプラカードをそこに立てる)

(ややご満悦な表情をする浦島太郎)
>嫌いなヤツの消しゴムが汚いことを想像すると、より良い顔になる

(ゆっくり暗転し、幕を下げる)
>暗転し始めたら、浦島太郎は今一番面白いと思う漫才師の一発ギャグの動作をする

 注:ウケてしまったら、スベるまでやり続けること

■シーン2『浦島太郎と亀』■

(誰かの生尻を叩く音と共に幕を上げる)

(亀をいじめているパンツ一丁の男三人)
>モチロン肌色のスパッツを履いている上からパンツ
 林くんに「あのビデオに出演したことを先生に言うぞ」と言うと、いくらでもスパッツをくれます

(浦島太郎は、今一番面白いと思う漫才師が袖から登場する時を真似して登場)

(亀をいじめている男達のパンツを剥ぎ取り、自分の股間にパンツを合わせ、首を横に振る)
>この時の横の振り方は、嫌いなヤツに口臭をかけられた時、激しくふるい落とす様に

(剥ぎ取った三枚のパンツを客席に投げる)
>効果音、酒で喉を荒らしたおっさんの声での「鬼はー外ー」を鳴らす

 注:効果音係の腹の調子が良い時はエコーにすること
   エコーではなかった場合、打ち上げの会には消化の悪いイカは出しません

(亀が「君はー内ー」と大きな声で言う)
>観客に、
 『あれ? やっぱり冒頭の無言演劇って聞き間違いかな?』と思わせるくらい自信満々で言う

(浦島太郎、亀にまたがるが、パンツが無いせいか甲羅に乗りにくく一苦労する)
>ここでこの劇全体の持ち時間の調節をする
 最大で五分くらい、このくだりをやること

(一気に暗転し、幕のロープがちぎれそうになるくらい一気に下げる)
>切れてしまった場合、たとえ効果音係の腹の調子が悪くても、安いイカを打ち上げの会に使います

■シーン3『竜宮城』■

(幕を下げた状態で効果音、タバコで喉を荒らしたおっさんの声での「君はースター」を鳴らす)

 注:効果音係の田中くんは腹の調子が乙女心のように変わりやすいので、ここで最終確認
   これ以降、悪くなったとしても絶対、絶対にもう、絶対にもう田中くんの調子は調べません

(誰かの生尻を叩く音と共に幕を上げる)

(ギャル風の格好をした姫が恥らいながら、浦島太郎にブーメランパンツを渡す)

(浦島太郎、ブーメランパンツを手に取り、客席に投げる)

(亀が「戻ってこないじゃん、ブーメランじゃねぇのかよ」と小声で言う)
>観客に、
 『今何か言った? 言ったよね?』と思わせるくらいさりげなく言う

(ギャル風の格好をした姫が恥らいながら、浦島太郎に玉手箱を渡す)

(浦島太郎、玉手箱を手に取り、中身をチラっと確認しニヤニヤする)
>嫌いなヤツの消しゴムが転がり、女子のスカートの前という取りづらい位置にいき、
 自分はその消しゴムになったつもりになり、女子のスカートの中を想像すると、より良い顔になる

(ゆっくりと暗転し、幕を下げる)
>亀は「何これ? えっ? 何これ? 暗くなっていく!」と言って下さい

■シーン4『浦島太郎、玉手箱を開ける』■

(誰かの生尻を叩く音と共に幕を上げる)

(浦島太郎、玉手箱を開ける)

(浦島太郎、中から黒いブラジャーと黒いパンティを取り出す)

(黒いブラジャーをテキパキ着けて、黒いパンティは客席に投げる)

(亀が袖から走って出てきて「セット! それセットだからぁっ!」と全力でツッコむ)
>観客の表情を、
 冷酷な暗殺者のような表情にさせたらこの演劇は成功です

(ゆっくりと暗転し、幕を下げる)
>この時に効果音「良い」「悪い」のどちらかを、
 効果音係は自分の腹の調子によってどちらを鳴らすか決める

ナレーション
「これで2年B組、無言演劇『パンツを履かない浦島太郎』を終わります。
 今回の出来をナレーターの私が客観的に言わせてもらうと○○です」
>この○○には、
 浦島太郎が今一番面白いと思う漫才師の個人的な評価を正直に言う

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 これも……音声必要な感じがする……けども、演じられるかな?
 私が書いたネタではあると思う、正直悲しさもあるけども、特撮のエロいヤツって言い出すヤツの文章だ。
 でもこんなん舞台上で演じられないような気がするけども、でもネタなんだから舞台ありきだよね。
 それともユーチューブの動画用って感じなのかな? それでも何か違和感ある作りになるような……。
 まあとにかく、音声無きゃ絶対できないネタだから、パソコン内に一人で演じるための音声が絶対あるよね、これは。
 じゃあ早速検索掛けてみよう。


・【パソコン内の音声】

 おっ、パソコン内に音声あったわぁ、このタイトルの感じ、アーティストの曲ではないな。
 『私の話01』なんて絶対曲じゃないと思う、そのあとに続くように『私の話02』も『私の話03』もあるからシリーズモノのコントとかなんだろうなぁ。
 それか基本的にフォルダ名を数字だけにしているクソダサの私だから、話がネタのことで、こうやっていろんなネタの音声を保存しているのかも。
 まずはこの『私の話01』から再生だっ。
「えぇー、皆さん、おはごきげんよう」
 スタートの挨拶、キモッ。
 というか、えっ? 何これ。
「おはごきしてますか?」
 ごきげんようをごきって言うな、日本人はごきが苦手なんだよ。嫌な虫を思い出すんだよ。
「私は絶賛のおはです」
 ごきしろよ、大トロの部分だけしてるんじゃないんだよ。
「今日から始まりました、私の話。ディスクジョッキーのまいみぃです」
 いや! 何かラジオの音源っぽい!
 声も全然私じゃないし! 私の透き通る声じゃなくて、変にウィスパーダミ声の知らない女性だ!
「初回から野菜の話をしてしまいます」
 別にいいよ! 初回に野菜は通だなぁとか思わないよ! 全然野菜から始めていいよ!
「レンコン、って、知ってますか?」
 知ってるよ! 有名だわ! というかレンコンから始めるのなら、ちょっと通だな!
「穴に何入れるといいと思いますか?」
 知ってる前提の話しぶり! じゃあ最初のワンクッションなんだったんだよ! ワンクッション生かしならレンコンの説明をしろよ!
「からし、って、知ってますか?」
 からしレンコンだろ! オマエが話したい話はからしレンコンだろ! じゃあ野菜じゃない! トピックは野菜じゃなくて熊本だよ!
「黄色い、うねりです」
 時代みたいに言うな! うねりって言ったら時代みたいになるだろ!
「黄色い声援じゃぁ、ないんですよ」
 知ってるよ! 黄色い声援がうねるアイドルステージだと思ってないよ! 誰も!
「食べ物です」
 ザックリし過ぎている! 香辛料とか! 存在がわさびに似ているとかあるだろ!
「そんなモノよりも、レンコンの穴にアレ、入れたいと思いませんか?」
 ワンクッション好きだな! サッと言えよ!
「そう、白子」
 豪華だな!
「白子をチューブから絞り出して、ササッと入れちゃいましょう」
 いや! 白子ってマヨネーズみたいにチューブに入ってねぇだろ! 白子をチューブに入れて保存する家庭、聞いたことないから!
「それをサクッと衣を付けて揚げて、食べてみましょうか、あ~ん」
 あ~んじゃねぇんだよ! オマエの演技、ちょっとキモいよ! あ~んって言うディスクジョッキーはキモいよ!
「あらま、白子が完全に溶けてしまって、無い」
 無いことないだろ! 白子は液体じゃないんだから!
「白子じゃなくて、マヨネーズだったようです」
 じゃあマヨネーズだろ! チューブの時点で! というか実際に作ってるわけじゃないだろうから、マジでなんなんだよ!
「私の話01、ここらで終焉となります」
 終焉っ? そんな言い方するっ?
「いいや、完了です」
 それもちょっと違うだろ!
 ……終わった! 何このミニラジオ! もしかするとこの人の音源をただ保存しているだけっ?
 いや私のネタじゃないんかい! 何だよこのラジオ! ツッコミどころしかないよ! そういうネタだったのかっ?
 知らない人のラジオ音源にツッコむという、私のネタだったのかっ? これぇっ?
 だとしたら台本はもう今日の通りだよ、今日の通りでお届けするよ。
 何だろう、他にパソコン内の音声は……いや! 私の話シリーズばっか! 100まであるじゃん! いや100以上ある!
 せめて何かYOASOBIとか入れておけよ! ずとまよとか入れておけよ! 私は偏食家か!
 もしかすると作ったネタ音声とかは全部CDみたいな記録媒体に入れてしまって、パソコン内には保存していないのかも。
 確かに舞台上でネタをする時って、CDで流したりするらしいし、私の作ったネタって音声の部分が多そうだから、もうその音声を流しっ放しにして、それに合わせてコントをやるみたいなことなのかもしれない。
 よしっ、じゃあ音声を再生する機械を探し出そう。それは絶対にあるはず。だってあの無言演劇とかって絶対音声無いと無理だもん。
 全部自分一人で演じ分けるとか不可能だと思う。ということは音声を鳴らす機械が家のどこかにあるはず。探し出そう。
 私は押し入れの中を見てみることにした。
 開けると、そこには段ボールがいっぱいあって、蓋は開いていて、その中を覗くとノートがいっぱい入っていた。
 押し入れの中はそんなにクサくなく、最近開けて何かやっていたのかなとか思った。
 ……とにかくノートが多い! 勤勉なネタ作りマニアじゃん! 私! まあ確かにネタはいっぱいあったけども!
 でもあんないっぱいのネタ、いちいち覚えて演じられるものなのかなっ? やっぱり誰かの分も構成作家として作っていたとか?
 ん? ガムテープで厳重に閉じられた段ボールがある……何でこの段ボールだけこんなギチギチに……。
 ちょっと気になるなぁ、こういうものこそ気になる性分でございます。

第四部 ガムテープの段ボール

 

・【ガムテープの段ボール】

 まずは押し入れから引っ張りだして、部屋に置いて、と。
 押し入れの中は寒いから一回閉めて、よしっ、そこそこ温まってきた部屋でじっくり開けてやる。
 ガムテープの始まりはどこかな? 始まり、始まり……めっちゃガムテープ、すごっ。
 上部だけじゃなくて、下部までというか一周させてるじゃん。ぐるぐる巻きのミイラ状態じゃん。
 段ボールのガムテープミイラなの? 高貴なお方だったの? さるお方の段ボールじゃん。
 絶対何かあるじゃん、これがアドベンチャーゲームだったら絶対何かあるし、アドベンチャーワールドだったら絶対にパンダだし。
 アドベンチャーワールドだった時はマジでパンダだし、パンダがタイヤでめちゃくちゃ遊んでいるだろうし。
 アドベンチャーワールドのパンダって何であんなにアクティブなの? やっぱ近くに浜辺があるから? 夏の浜辺の効果はすごいということ?
 記憶喪失になるなら夏の浜辺だし、パンダがハシャグのも夏の浜辺が近くにあったほうがいいってことなんだねぇ。
 というか記憶喪失ならマジで夏の浜辺であれよ、クルーザーに乗ってイケメン大統領が介抱してくれよ、むしろ解放してくれよ、人種差別から解放してくれよ、イケメン大統領が。
 まずイケメン大統領が夢を語ってくれよ、人種差別も戦争も無い、輝かしい未来を語ってくれよ。
 そして私も介抱してくれよ、私、デッカイ声でサンキューって言ってあげるから、まあデカい声で言うから。
 一山越えるデカい声でサンキューって言うよ、そりゃ、それくらいの常識人だよ。
 でもこんな冬の寒い部屋での記憶喪失は死んじゃうでしょ、下手したら死んじゃうよ、死んじゃうとか絶対ダメだから。
 死ぬことはアウトだから、死んだら終わり、死んだら負け、死んだら病欠だから、マジで。
 いやそんなことはどうでも良くて、まずはこのガムテープ段ボールを開けることに勤しもう。
 まあ勤しもう、いそしむけんみたいな、アイーンといそしむけん、大丈夫だぁといそしむけん……これただのしむけんだわ。
 志村けんだわ、あっ、志村けんと市民権としみけんって似てるなぁ、いやしみけんって言葉無いけども。
 仮にしみけんという言葉があるとしたら、私はもう使わないけども、あくまで市民権をしみけんって略すと面白いでしょってことだから。
 しみけんに変な意味があったら誤差が出ちゃう、市民権を略すって何なんだよって笑いだから。
 しみけん自体に何らかの色と艶があったら困るんだよな、しみけんは私の色で染まっていてほしい、しみけんは私のモノ、私が作った言葉でいてほしい。
 でも何か、でも何か、しみけんという言葉はしみけんであったような気もする、じゃあ使わない、そう思い出したらもう使わない。
 私が知らないしみけんがあるのならば、私ももうしみけんと決別する。
 さよなら、しみけん。
 さよなら、しみけん。
 涙は流さないよ。
 詩人になってしまった……つい現代詩人になってしまった……私の感受性が感傷的なせいで。
 感じちゃった、しみけんに。
 いろんなところが感じちゃったんだ、しみけんに。
 しみけん。
 しみけん。
 有難う、市民権。
 ……いや、現代詩を完成すな、未来の言葉を残すな、教科書に乗せるな。
 全く、現代詩って隙あれば教科書に乗ろうとしてくるんだから。
 教科書の隙間に入り込んで来るんだから、ちょいとよろーって感じで、4649とか言ってくるんだから、現代詩って。
 私はそんな簡単に現代詩を許さない、現代詩の侵入を許さない、サッシの隙間から入ってくる黒蟻ばりに侵入してくるけども、私はそんな簡単に心を許さない。
 むしろ私は侵入する側だし。このガムテープ段ボールの中に侵入してやるんだからっ。
 ささっ、ガムテープを外して……いやマジでガムテープのはじまり、どこぉっ?
 ぐるぐる巻きにし過ぎだろ! 呪物かっ? 呪物でも入っているのかっ?
 開けたら深淵がこっちを見ているのかっ? ちょっとマジで何なんだよ!
 ここにマジで私の手掛かりが入っていると思う! そんな感じがする! この段ボールの中身が希望の光だ!
 仮に入っているモノがエロい特撮のDVDだけだったら泣いちゃうけども! 号泣に次ぐ号泣だけども!
 よしっ! ガムテープのはじまりはもう諦める! ここはもうカッターだ! カッターで切る!
 この部屋、カッターは……何か無さそうだな……でもハサミがあった!
 ハサミをまず思い切り段ボールにぶっ刺して! 穴を開けてそこから切っていく! そう! 私は豪快忍者!
 豪快過ぎて一切隠していない忍者だ! 隠すな! 隠すな! 私の記憶を全ておっぴろげしな!
 おっぴろげマシーンに乗せて、おっぴろげさせてやるぜ! エロい特撮ばりに変な、仰々しいマシーンのシーン! ただおっぴろげさせるだけなのに仰々しいマシーンのシーン!
 いやそんなのがあるかどうか知らんけども! 想像で言ってるけども!


・【段ボールの中身】

 段ボールを開けるとそこには大量の封筒が入っていた。
 同じような封筒、同じ会社のヤツ? と思った時、私は鳥肌が立った。
 何故ならその封筒には『KADOKAWA』の文字が書かれていたからだ。
 わっ! わっ! わたぁっ! わぁっ! わぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
 はぁ、はぁ、はぁ……いや!
 わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああたぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああしぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!
 大物だぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
 私大物だぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
 もう体が一気にアツアツになるくらい叫んだ! もうストーブ消そうかなぁぁぁああああああああああ!
 私! 大物じゃん! KADOKAWAから小説出版するくらい大物の芸人じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん!
 KADOKAWAって超一流出版社で! そこから小説出版するほどのお笑い芸人って大物じゃん! 私ってめちゃくちゃ大物だし!
 飛び級じゃないっ? こんな若い女子のお笑い芸人が小説を出版しているって! えっ? 私って未来ヅラしているコメンテーターだったのっ?
 訳も分からず実績を積んでいる系女子だったのっ? もはや摂取キッシュキッスって私のことだったんじゃん! やっぱり!
 夏の浜辺かよ! もうこのリア充さは夏の浜辺でしかないじゃん! マジ! マジ! ちょっとマジで! おい!
 今すぐネット検索して私への賞賛コメントを見たい! 封筒の中身とかは一旦置いといて、ネット検索しよう!
 自分の名前というか芸名はまだ分からないけども、ネット検索したらもう出てくるんじゃないかっ?
 いやいや頭に浮かんでいた青空西瓜が私の芸名っ? でもそうと思いたくないからそれで検索はしない! 何故なら青空西瓜はカッコが悪過ぎるから!
 今はそういうカッコ悪いテンションじゃないんだよ! 小説を出版するランクの女性お笑い芸人の話だけをしたいんだよ!
 青空西瓜は素人時代のラジオネームだと勝手に確定させて、今はとにかくネット検索だ!
 ネット検索する前に封筒の中身をじっくり見る! とか合理的なことは今できないよ! もうテンションがマックスなんだよ!
 あと、封筒の中身をしっかり見たとて、こういうのに書いてある文章って正式なヤツだろうから、芸名は書いていないでしょっ!
 多分本名しか書いていないはずだから、それを見ても仕方ないから、とりあえずネット検索だ! もうそういうノリだ!
 ハハハハ! お笑い芸人が出した本みたいなサイトを見れば、私の顔とか載ってるんじゃないのっ? だからその作戦でいく!
 そこから調べる作戦いく! でも! でも! 私ってば最高! ワッハッハ! サイコクラッシャーじゃん!
 ベガ過ぎる! 私の人生はベガ過ぎたんだ! すげぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええええええええ!
 早く! 早くネット検索したい! パソコンまたすぐに立ち上げて! いや立ち上げっ放しだった! オンしたつもりで変な電源オフしちゃった!
 早く起動し直して! あっ! 変な電源オフをしてしまったから、ちょっとよく分からない画面が一瞬表示された!
 でも気にしない! 今はそういうこと気にしているテンションじゃない! 早く! 早く立ち上がれよ、おおぉぉおおおおおおおおおおおおおい!
 ついパソコンを怒鳴ってしまった! いけない、いけない! まるでいつもやっていることのようにパソコンを怒鳴ってしまった!
 私ってパソコンを怒鳴るほうだったのかもしれない! いやそんなこと今更分かってもだよ! それよりも私は自分への賞賛コメントを知りたい!
 うぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
 ネット検索! 出版したお笑い芸人の一覧表のページ、あれぇぇぇぇえええええええええええええええええええええええええ!
 あった! なんと都合が良いことにお笑い芸人の写真も無断転載している! 無断転載最高!
 ふむふむ、ここに書いてあるお笑い芸人たちが私の先輩であり、時には後輩であり、と。
 でも本を出版した仲間だよね! いやいやいや! 私KADOKAWAってすご過ぎない?
 KADOKAWAなんて超一流じゃん! そこから本を出すなんて私って本格派なのっ?
 うわぁぁあああ! 本格派だとは! 私は本格派だったとは! そうだと思った! 絶対そうだと思った!
 私の才能なら本格派待ったナシだよ! その通りだよ!
 ……ん? ……まあまあ……ん? ……無いな……何かよく知らないお笑い芸人もいるのに、私の写真は無いぞ……いやでもKADOKAWA、KADOKAWAやぞ!
 ちょっと興奮し過ぎて関西弁になっちゃったけども、こちとらKADOKAWAなんだよな、じゃあいいよ、まあいいよ、KADOKAWAのホームページ見るから。
 そこからお笑い芸人が出した本を検索するから、そういう検索できるかな、KADOKAWAのトップページに移動して……えっとぉ……できそうにないな。
 一から見ていくことはちょっと効率的じゃないな。
 よしっ。
 ちょっと落ち着いたから、改めてあの封筒の中身をチェックするから。
 もしかしたら印税の封書があって、そこに本のタイトルが書いてあるかもしれないから。
 というかそれじゃん、絶対それ確認するべきじゃん、ちょっと気が動転&興奮していたな。
 動転興奮、もはや童貞興奮だったな、処女作という言葉にバキバキになっていてしまった。
 なんだ、処女作って言葉、そもそもキモいな、出版業界ちょっとだけキモいユーモアが流行ってたな。
 今はあんまり言わない感じがするけども、でもまだまだキモいヤツが言っているイメージがある。
 あえて言って相手の反応伺う型の変態が多用しているイメージがある。
 いやそんなことはどうでも良くて。
 そんなことはどうでも良くて、って、私の口癖だな。
 いやマジでそんなことはどうでも良くて。
 封筒チェックしようかなぁっと……でも何で封筒を封印していたんだろう、あんなガムテープでぐるぐるに。
 もしかすると私ってKADOKAWAと喧嘩別れしていたっぽい?
 いやいやいや! それは嫌だ! KADOKAWAとは一生仲良くしていきたいよ!
 カ! ド! カ! ワ! やぞ!
 また関西弁になってしまった、良くないハッスルを発してしまった。
 とにかくKADOKAWAとは良い関係でいたいのに、何でマジで封筒を封印する感じになっているんだ、ちゃんと中身を確認するかぁ。


・【KADOKAWAの封筒】

 KADOKAWAの封筒、とりあえずこれでいいか、一個一個見ていこう。
 印税の話だといいんだけども……何これ、一次選考落選? 妹が下ネタピン芸人になりたがっているそうです? マジで何なんだ……思い出せない、というか、思い出したくないって感じもする。
 えっと、何か書いてあるな……。
『一生懸命書いていることは伝わってきました』
 まあ、そう。何が?
『でも我々はネタの台本ではなくて小説を拝読したいと考えております』
 小説、小説? やっぱり私、小説書いているんだ。
 でも何か、えっ?
『文字だと分からないです。こちらはあくまで物語を評価していきたいです』
 ……何か丁寧な言いっぷりだけども、拒絶している感じがするなぁ。
 で、文章力がCで、設定もCで、いや全部Cじゃん、Cって良いほうなのかな?
 でも何か、何か、採点されてる……? いやいや私って小説書く依頼があって、書いているんじゃないの?
 何このサッカーのセレクションに呼ばれたけども、いざ呼ばれてサッカーやったら落とされたアンタッチャブル・柴田みたいな感じ。
 依頼があって投稿したら落とされたって感じ? そんなことあるぅ?
 別の封筒も見るか。
『一次落選』
 これも一次落選っ? どういうことっ? せめて気を遣って最終選考落選とかにしろよ!
『タイトル、お笑いのネタで僕を取り合っている』
 うん、タイトルも何かダサいな、まあいいや、文章読んでいこう。
『一生懸命書いていることは伝わってきました』
 それは有難う。
『しかしながらネタの台本のような文章だけを送ってこられても、正直困惑してしまいます』
 困惑しちゃうんだぁ。
『私たちは物語を読みたいと思っています。是非、少年が面白いと感じるストーリーを作ってきてください』
 ……これで終わり? 書くスペースまだまだいっぱいあるけども。
 でも丁寧な文章ということは結構好印象って感じなのかな? ギリギリ一次落選みたいな。
 でも、でも一次落選なんだよなぁ、次、見てみよう。
 また別のKADOKAWAの封筒の中身を確認した。
『一次落選』
 めっちゃ一次落選するじゃん。
『タイトル:お笑い百物語』
 何か面白そうじゃん。
『残念ながらこれは小説じゃありません。ちゃんと小説というものを分かっていますか?』
 丁寧な書き方だけども何か酷い物言い。そんな言い方しなくていいじゃん。いや内容分かんないけども。覚えていないけども。
『まず一から小説を勉強してください。お笑いの台本を送ってこられても正直分からないです』
 お笑いの台本、を、送ってるの? 私? 私? 私なの? これ……というか、さっきからこの丁寧な文章ってもしかすると、こっちがキレないように対策している?
 せめて丁寧な文章で書いて恨みを買わないようにしている? ということはこの小説を書いてきたヤツは頭がおかしいヤツだろうからキレ散らかすと考えている?
 それくらいおかしい小説ってこと? というかそもそも小説じゃない系? えっと、えぇぇぇ……何かちょっとヒいてきた、というかドン引き。
 そんな風に思われるなんて、依頼があって投稿しているのに……いや、依頼なんてもしかすると無い?
 ……あぁぁあああ! 何かMFって書いてある! スケジュール帳にあった”まったりふんわり”じゃん!
 ということはショタのレーベルってことぉぉおおおおおおおおおおおっ?
 じゃあダメだよ! ショタ専門レーベルにお笑いのネタみたいな小説を送ったらダメに決まってるじゃん! カテゴリーエラーじゃん!
 なぁんだぁ……違うか、違うのか、もしかすると違うのか、MFって、まったりふんわり、の隠語じゃないのか?
 そう言えば、さっき、KADOKAWAのホームページ見た時にMFって言葉、あったかもしれない。
 パソコン、もう一回、よしっ、立ち上がりっぱなしだな、このままKADOKAWAのホームページを改めて見て……何か気になる。
 この作品公募というページが何故か気になる、というか何か確認したことあるような……ちょっとクリック……うわぁぁぁあああああああああああああああああ!
 MF文庫! 電撃大賞! つばさ文庫小説賞! あのスケジュール帳の言葉がいっぱい書いてあるぅぅっぅうううううううううううううううううううう!
 MFとか! 電撃とか! つばさって! 小説コンテストのタイトルだったんだぁぁあああああああああああああああああああああああああ!
 富士見ノベル大賞! 富ノって富士見ノベルのことか! じゃあ対になっていたように集ノってヤツも……あっ! 思い出したかも!
 集ノは集英社ノベル大賞だぁぁぁああああああああああああああああああああああ!
 あれ、あれあれあれ……ショタ用語だと思ったヤツ、全部、全部が全部、小説のコンテストのタイトルってこと? ……あっ、小学って、もしかすると小学館?
 ジュニアも何かジュニア向けの小説コンテストっぽいし、じゃああのGAとかオーバーとかも、そういうことなのっ?
 ショタじゃないんだ、いやそもそも子供向け小説のコンテスト名ならショタ感が出ていて当然だ……みらいも、きっと、子供向けなんじゃないの?
 何かさ……コンテストをスケジュール帳に押さえているってまさしく投稿者っぽくない?
 ただの投稿者っぽいじゃん、えっ、私、依頼されていない……? そう! 依頼されていないじゃん! ただの投稿者じゃん!
 というと私ってもしかするとお笑いのネタを小説に入れ込んだお笑い芸人だったってこと?
 まだ売れていないお笑い芸人で、いろんなことしなきゃと思って、お笑いのネタを入れ込んだ小説を投稿していたということ?
 あっ、MF文庫のコンテスト、一次落選でも評価シートを送ってくれるコンテストなんだ……そういうことだったんだ……じゃあこのKADOKAWAの封筒の山って、全部そういうことぉっ?
 全部が全部一次落選でそれが苦しくて、ガムテープで封印していたってことぉぉおおおっ?
 うわぁぁぁ……そういうことか……何か元気無くなってきた……いっそのこと太ろうかな、元気無く不健康に太ろうかな、お菓子でも食べるか。
 ちょうどあそこにお洒落な瓶に入ったラムネあるし、でもラムネの量も量だし、たかが知れているな。
 太るならマヨネーズを直に摂取するしかないか、いやもういいや、口に味を広げたくない、そういう気分でもないんだ、本当に……。
 何か適当にパソコン内のファイルを見ていくか、あーぁ、数字だけの名前がマジでダサい、マジでダサい人生だ、これ……ん?
 テキストメモじゃなくてエクセルがあった、見てみるか、なんとなくだけども。


・【パソコンのエクセル】

 えっと、ネタのタイトルかな? その横に、481キロバトル、と。
 481キロバトル? キロバトルって何だ? そんな単位、聞いたことないけども。
 でも何か覚えているような、変な感じ、キロバトルってマジでどういう単位だ?
 まあとにかく点数っぽいなぁ、ネタのタイトルと点数が書かれた表計算って感じだ。
 マメだな、私って。
 まあマメ、おまめさんだね、おまめさんがあだ名って何だか恥ずかしいよね、おまめさんは避けたいよね。
 小さいとおまめさんになりがちだけども、おまめさんってちょっとバカにされている感じするよね。
 豆って美味しいけどもね、そもそも食べ物の名前がついている人ってバカっぽいよね。
 だから青空西瓜という名前もめちゃくちゃバカっぽいよね……そろそろ、この青空西瓜で検索してみる……?
 いやいや、止めよう、何か嫌な予感がする、これ検索したらヤバイことが起きるような気がする。
 でもそれは私が忘れようとしているだけで、これこそ本当に大切な記憶ということ? 記憶喪失が治るくらいの魔法の言葉?
 ……何か、何故か、うわぁ……現実が近付いてくるほどに胸が苦しくなってきた……一体何なの……何か気分が悪くなってきた……つらい……。
 記憶が戻ったら、戻ってしまったら、何か不幸が起こりそうな予感さえする……どういうこと? どういう状況?
 青空西瓜で検索すれば、記憶が戻りそうな予感もしてきた、どんどんしてきた、なのにしたくない、脳にロックが掛かるような感覚。
 私ってどうすればいいの? 素直に青空西瓜で検索すればいいの? せっかく部屋は完全に温まったのに、何だか震えてくる。
 背筋が凍るような、そんな気持ちになってきている、最初から青空西瓜で検索していれば良かったのかな、でも最初はパソコンも使えなくて。
 スケジュール帳見て、ショタだと間違って考えてしまって、でもそれは小説コンテストの名前で、私はお笑いのネタ台本を小説に組み込んで投稿する、ただの投稿者で。
 KADOKAWAの封筒がいっぱい届いていたけども、それは封印していて、ガムテープでぐるぐる巻きにしていて。
 何か未来というか過去というか現在も不安でいっぱいになってきた、変な黒いモヤが心臓にかかっているような感覚。
 でもまあまずキロバトルって何だろう、キロバトルで検索してみよう……青空西瓜で検索すればいいのかな。
 でもしたくない、それだけはしたくない、まるで自分で捨てた言葉のように、でもすぐに拾い上げてしまって。
 要らない言葉なのに、ずっと残っているみたいな、忘れたい気持ちと残したい気持ちがせめぎ合っているような謎の言葉。
 ラジオネームだよね? 素人時代のラジオネームとかハンドルネームとかそういうことだよね? 私のプロの芸名じゃないよね?
 もし私のプロ活動がバッと目の前に出てきて、出てきたところで全く実績の無い芸人だったら何か、死にたくなるかもしれない。
 怖い……何か嫌だなぁ、もし私が何も実績の無いお笑い芸人だったら本当に嫌だ。
 まだそれは知りたくない、でも、でもエクセルで見てしまった481キロバトルという数字、大丈夫かな?
 千点満点だったら全然少ないし、でも五百点満点だったら高得点だ。
 五百点満点だと思いたい、そうだったら私は多分、お笑いのネタバトルか何かで高得点ということだから。
 つまりは実績のある芸人ということだから。
 キロバトルで検索してみよう、まずはキロバトルで検索して、そこから判断しよう、自分の人生を。
 キロバトル、っと……爆笑オンエアバトルというお笑い番組の単位? あっ、じゃあやっぱり私はプロのお笑い芸人ということは確定なんだ。
 何かそこは安心した。
 もし私がプロのお笑い芸人でも無ければ、本当に気落ちしたというか、じゃあプロのお笑い芸人でもないのに、お笑いのネタを書いているって何ってなるから……NHK! めちゃくちゃ大手のテレビ局じゃん!
 いやNHKを大手のテレビ局って言い方しないけども! NHKのお笑い番組だったんだ! うわぁぁあ! そこで481キロバトルってどういう点数なのかなっ?
 えぇぇえ! マックスが545キロバトルぅっ? じゃあ結構得点高いほうじゃない? やったぁ! 私って面白いお笑い芸人ではあったんだ! 良かったぁ!
 なぁ~んだ、そのなんだ、ちゃんと面白いと認識されているお笑い芸人だったんだ、私って。それならまあまあ安心……えぇっ?
 爆笑オンエアバトルって十四年前に終わってる番組なのっ? じゃじゃあ! あのエクセルって十四年前の記録ってことっ?
 というか、私……若過ぎない? 十四年前に終わった番組に出ていたってことでしょ? じゃあ私ってピチピチの二十代ではないってこと?
 めっちゃ若作りじゃん! 美人過ぎでしょ! 美魔女コンテストに出たほうがいいでしょ! 絶対に!
 そっちのルートから売れたほうがいいって! 私って自己プロデュース力が低っ!
 待って! じゃあ私って、自己プロデュースが悪過ぎて、この美人さを使わずに、お笑いのネタの台本を小説に入れ込んで、小説コンテストに投稿していたってことぉっ?
 ちょっとぉぉおおおおお! 見た目だよ! 見た目だよ! 結局この世は見た目が十割蕎麦なのにさぁ!
 まあ見た目が十割蕎麦だよね! 十割蕎麦って言えばもう十割蕎麦だから! どんな粉を使っているか分からないから!
 言ったもん勝ち! 見た目を見せたもん勝ち! というかまだ売れていないんだったら、ここから十代って偽って活動しようかな!
 いやそれは自己プロデュース力が低過ぎる、歳を食ってるからこそ美人が映える! この作戦でいこう!
 まずはネット上で簡単なダンスから見せていこうかな! 軽くおっぱいを揺らそうかな!
 結局軽くおっぱい揺らせば正義だから! 人間ってプライドを捨てて軽くおっぱい揺らせるかどうかだから!
 私はもう軽くおっぱい揺らすよ! 売れてないんだもん! 売れてないなら軽くおっぱい揺らしてやるよ!
 まずどういうネットのアカウントを持っているから改めてネットのブックマークをチェックするか!
 えっと、じゃあこっちのフォルダを確認して……あっ! エブリ! なろう! エブリスタって小説投稿サイト! なろうは小説家になろうってサイトだ!
 全然ショタになろうとかそういうことじゃなかった! 小説家だったんだ!
 ……これ! これってあれじゃないっ? Xってそういうことだよね! 日本の一番のSNSだよね!
 ここに青空西瓜って書いてあったら……いや書いてあってもいいじゃん、だって私はプロのお笑い芸人ということは確定なんだから。
 別に悲観するような状況じゃないでしょ、だって私はNHKの爆笑オンエアバトルで481キロバトルという高得点をマークしているんだから!
 ……見れないわ、ログインしないと見れないみたいだ、あれ? パスワードを書いたノートにXなんてそう言えば無かったような。
 もう一回このノートを確認してっと、うん、Xは無いわ、あーぁ、この魔法って魔法のiらんどね、はいはい、この辺はブックマーク通りって感じ。
 何でXは無い……いや、何かぐちゃぐちゃにして消しているところあるなぁ、もしかするとここにXのパスワードが書いてあったんじゃないかな。
 でもこんなに消しちゃっていて、もしかするとアカウント消したのかな? 何で? 別に消さなくてもいいのに。
 まるで記憶喪失になることを分かっていたみたいに……否、KADOKAWAの封筒みたいなこと? 封印って感じ?
 Xのアカウントは封印したかったってこと? 何で? 本当に何で?
 だって私はプロのお笑い芸人なんでしょ? プロのお笑い芸人が自分を発信するSNSを持っていないと今の時代、ダメなんじゃないの?
 何かそんな気がする。今の時代はそうだと思う。
 何で私はXのアカウントを消してしまったんだろう? どういうことなんだろう?
 もっといろんなブックマークのフォルダを見ていくか、ここにヒントがあるような気がする……いや、もういいや、青空西瓜で検索しよう。
 今の私はプロのお笑い芸人という肩書を持っているという余裕もあるし。
 今こそ検索しどきでしょ。


・【青空西瓜】

 青空西瓜で検索っと……一番最初に出たページでも押してみるか、でも何か個人のサイトっぽい……青空西瓜の文字はあるけども、まずはサイトのトップページを見て、と!
 ここ! さっき見た! 結構前だけどもこのサイト見た! 最初にブックマークを確認した時に見た、個人が作ったサイトだ!
 というと素人時代にこのサイトで遊んでいたということかな? いや何か更新履歴が最近だな、少なくても爆笑オンエアバトルの十四年前よりもずっと最近、2023年だ。でもまあ私が参加しなくなっても続いているってだけか。
 ん? オンエアバトル勝負? 何このページのタイトル、オンエアバトルって爆笑オンエアバトルのこと? まだやってるの?
 いやいや、これ有志でやってるんだわ、あっ、爆笑オンエアバトルオマージュ企画って書いてある。
 えっと、つまり、素人というかアマチュアが有志だけで運営している、非営利企画って感じ?
 最新の結果発表のページがあった、クリックしてみよう……何か、何か……すごく嫌な予感がする……どんどん見ていくと、最新の、2023年結果発表のページに青空西瓜の名前がある……あっ、青空西瓜が333キロバトル取ってる……エクセル、エクセルで確認……あった、一番下、というか最近に追加しただろう位置に『高速餅つき 333キロバトル』って書いてある……ちょっと、ちょっと、待って……ネタ帳のフォルダ、パソコン内のネタ帳のフォルダに、検索、かけて、高速餅つきって……あった……あぁ、あってしまった……もしかすると、もしかすると、私って、こういう真似事をしていただけで、プロのお笑い芸人でもない……?
 いやいや! タイトルとか! 全く同じだけで! これが私って証明にはならないよね! まずはこの高速餅つきというネタを確認しよう!

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高速餅つきをされた
私の目の前で
《臼の中の餅を二匹の天狗が鼻で高速突きしている、絵》

あんな辱めを受けたことは無い
あんな目の前でペチペチと音を立てられるなんて
《バスローブの天狗が恥ずかしそうにホテルの廊下を歩いている、絵》

咀嚼音じゃん ヌーハラじゃん
攻撃的じゃん 放ってるじゃん
劇場型じゃん 巻き込むじゃん
《芋煮会の大きな鍋の中に落ちてしまった天狗、の絵》

周りは盛り上がっている
私がおかしいのかな
《拍手している大勢の人たちの手はいちごジャムでベタベタ、という絵》

私がおかしいから 嫌に感じるのかな
だったら嫌だな
私はおかしくありたくないから
《いちごジャムベタベタの手で草むしりをしている町内会、の絵》

この世は誰基準で行なわれているの?
ちゃんと気持ちを平均化されているの?
《天狗の鼻の長さが全部揃っている町内会、の絵》

何で町中に門松なんて飾られているの?
門松なんて設置したら竹の中に壊れた傘を捨てられても文句言えないよ
《門松の竹の中に天狗のお面が捨てられている、絵》

私の感性ってズレているのかな?
だったら嫌だな
私はこの世で一番一般的な存在でありたい
《いちごジャムまみれの天秤、の絵》

ブレたくない
ズレたくない
フレたくない
《いちごジャムまみれの天秤の両皿に天狗がアゴを乗っけている、絵》

真ん中の位置に留まりたい
個性なんていらない
いる個性があるとしたらそれは一般的だけ
《一般的な天狗、の絵》

普通になりたい
普通でありたい
《一般的な天狗が軍手をしながら草むしりをしている、
 周りの町内会はいちごジャムベタベタの手で草むしりしている、絵》

高速餅つきに対して盛り上がることが普通なら私はそれがしたい
でも今はどう考えても辱め
目の前であんなペチペチペチペチ
《臼の中の餅を二匹の天狗が鼻で高速突きしている、絵》

ペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチ
ペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチ
ペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチ
ペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチ
ペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチ
ペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチ
ペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチ
ペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチ
《絵無し》

苦しくて泣いていた
《顔にいちごジャムをぶつけられた天狗、の実写》

16小節のペチペチ音の圧に負けてしまった
《芋煮会の大きな鍋の中に落ちてしまった天狗、の実写》

何これ
正月なのに
正月から何なの?
無礼講過ぎじゃない?
《姪っ子に吹き飛ばされて、おせちに座ってしまった天狗、の実写》

私はこんなことまで認めていない
こんなことも認めないといけないならもう普通なんていらない
《夜の東京タワーに天狗の面が刺さっている、合成写真》

逃げ出した
三が日から
富士山は逆さになって
初日の出は線香花火のように黒くなって落ちていった
門松はロケットになって宇宙の果てに飛んでいき
鏡開きのおじさんたちが溶けだした
終わり 終わり
全部終わり
《新宿の夜景、航空写真》

だから始まるんだ
《天狗がいちごジャムで滑って転ぶ映像の逆回しGIF》

一年の計は元旦にあり
私は生まれ変わるんだ
《町内会レベルの芋煮会、の実写》

なりたい自分になれなかった自分も生きている
心臓が高鳴っている
《つきたての餅が階段からずり落ちそうになっている、絵》

めでたい色に染まっていく
《練乳をゆっくり顔の上から垂らされている天狗、の実写》

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 で、このオンエアバトル勝負というサイトに載っているネタの内容も確認して……。

第五部 私の正体


・【ネタの内容】

 全く一緒だ……ダメだ……そうか、そうなんだ……私ってプロのお笑い芸人じゃなかったんだ……こういう真似事で遊んでいるだけだったんだ……じゃあ、趣味で、お笑いのネタを書いて、それを小説に入れ込んで、ずっと一次落選しているだけで……何これ……何この人生……私って、私って、何者でもないんじゃん……。
 そりゃそうだ、ただの台本で完成なら、演じる必要無いもんね……そっか、この文字だけの状態で私の中では完成していたんだ……。
 演じるための音声装置なんて無いはずだよ、だって文章をネット上に投稿しただけで完成なんだから、演じるための余白なんてないわけだよ……。
 というかさぁ、お笑いのネタを小説に入れて一次落選ってさぁ、もう一回投稿したら分かることじゃない、何回やってんの? 何回KADOKAWAさんを煩わせているの?
 そんなに諦められないんんだ、そんなに諦められないくらい、こういうお笑いの台本みたいな文章が好きなんだ……へぇー、ドン引きだよ、未来の私はドン引きですよ……。
 あーぁ、何か分かったかも、全部分かっちゃったかも。
 冷蔵庫のさ、食べ物が無いってあれ、もう食べ物を食べる気無いってことでしょ?
 あんな料理本がいっぱい本棚にあるのに、食べる気が無いってつまり死ぬ気だったんでしょ?
 じゃあさ、じゃあさ、あのラムネって、つまり毒薬ってことでしょ、毒薬飲もうとしたところで何か転んで頭をぶつけて記憶喪失になったってことでしょ。
 Xのアカウントを消してさ、評価シートも封印してさ、ゴミ箱も一応処理してさ、毒薬飲んで死ぬ気だったんじゃん、あーぁ、私ってそうだったんだぁ。
 お笑いの台本を入れ込んだ小説を投稿しても上手くいかなくて、もう人生終わりにしようって思ったってことじゃん。
 毒薬ね、こんなん買う行動力はあるんだね、と、お洒落な瓶に入ったラムネ、じゃなくて毒薬を眺める。
 ふと俯いてしまうと、床に白い結晶が落ちていた。
 何だろう、これ……ここって確かビショビショになっていた場所だよね、ビショビショになっていた床から白い結晶ができている……?
 なるほど。
 なるほどね。
 この結晶、つまりは塩だね。
 ビショビショな床の正体って涙じゃん。
 やっぱり死にたくなくて泣いてんじゃん。
 涙で床をビショビショにして、その涙でビショビショになった床で転んで、頭を打って記憶喪失になったんじゃん。
 うん、そうだね、私って足汗すごくて、自分の足汗で転びそうになったことあるから、それを考えれば涙で転んでもおかしくないか。
 私はまたパソコンの前に座って、自分の作ったお笑いの台本を見始めた。

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

ふぅ、
四月あたりになると妙に『さくら』というタイトルのCDが売られているような気がするかもしれん。
僕も作って駅前で売ってみたいかもしれん、
そしてすっごい売れたらどうしようか迷っているかもしれん、カルビが食えるかもしれん。
カルビ肉食いすぎて、カルビ太郎というあだ名が付けられるかもしれん。
カルビ肉から産まれたカルビ太郎なんてキャッチフレーズ付けられるかもしれん。
どうしよう、カルビ肉から産まれた雰囲気を醸し出してみようか迷っているかもしれん。
否、醸し出したいかもしれん。
そして
『オマエ、まさかカルビ肉から産まれたんか! そうかもしれん!』と驚かれてみたいかもしれん。
……というわけで、カルビ太郎と呼ばれるためにも、さくらという曲を作ってみたいかもしれん。

”曲名:カルビ太郎  作詞・作曲:カルビ太郎”

おっと、カルビ太郎のことばかり考えてしまっていたかもしれん。
曲名もカルビ太郎だなんて、とんだ自己顕示欲を晒してしまったのかもしれん。
ちゃんと作るように脳へ指示するかもしれんし、もしかしたら芋焼酎のことを考えるかもしれん。

”曲名:さくら咲け  作詞・作曲:カルビ太郎”

うむ、芋焼酎のことは全く考えなかったかもしれん。
そして良いタイトルが出来たかもしれん。
早速このタイトルで作ってみたいかもしれん。
うむ。

 *
 さくら咲け より 芋の酒
 花見で飲みたい芋の酒
 さくら咲け より ゴマの和え
 花見で食いたいゴマの和え

うむ、あの時から既に芋焼酎のことを水面下で考えていたのかもしれん。
そして今、芋焼酎が芋の酒という名前となり、出現してしまったのかもしれん。
さらに何故か、ゴマの和え物を食いたい欲も出てしまっているかもしれん。
でも花見の歌は花見の歌でいいのかもしれんので、このままいきたいと思っているのかもしれん。

 *
 さくら咲け 満開の海 ピンクが転がる丘の上
 さくら咲け 満開の海 ピンコロガシいる丘の上

うむ、あのままでいきたいと思っていなかったのかもしれん。
そしてピンコロガシという造語を披露したくてしたくて仕方なかったのかもしれん。
でもピンコロガシって泉ピン子の土地転がしみたいな感じで、あまり良くないかもしれん。
もっと新しい歌詞にするべきなのかもしれん。

 *
 さくら咲け より 芋の酒
 花見で飲みたい芋の酒
 さくら咲け より ゴマの和え
 花見で食いたいゴマの和え

うむ、一回目の歌詞でいいという判断になったのかもしれん。
全くもって自分の脳の傾向が読めていないのかもしれん。
もう三十一歳なのに、未だ自分のことが分かっていないのかもしれん。
まあ、この歌詞の続きを作るべきだと思っているのかもしれん。

 *
 さくら咲け より 芋の酒
 花見で飲みたい芋の酒
 さくら咲け より ゴマの和え
 花見で食いたいゴマの和え

 マジで愛してんだよと思っているのかもしれん
 もう一度でいいからデートしてくれと思っているのかもしれん
 でももしかしたらもうワシは君のことを愛していないのかもしれん
 でもデートがしたいのかもしれん 愛していないけどもデートをしたいのかもしれん
 それはもう仕方ないのかもしれん 人として仕方ないのかもしれん

 *繰り返し

うむ、なかなかゲスな歌になっているかもしれん。
そしてワシの口癖は歌詞には合わんかもしれん。
でも今思っていることは全部出し切れたのかもしれん。
離婚調停中の家内ともう一回デートしたいかもしれん。
CDが売れたらカルビ肉デートをしたいかもしれん。
でも多分、この曲じゃ売れないかもしれん。
せっかくサビは文字数を合わせているから、メロディつけやすいかもしれんのに、
Aメロは気持ちをそのまま吐露してしまっているせいで、全然メロディがつけられないかもしれん。
でもまあ弾き語りみたいにすればアリかもしれん。
そう考えると、弾き語りという手法は怠け者のワシにピッタリなのかもしれん。
……弾き語りという手法を考えた人とデートしたいかもしれん。
たとえオッサンだったとしても、向こうが費用を持ってくれるのならデートしたいかもしれん。
そして女性だったとしても、向こうが費用を持ってくれると有り難いかもしれん。
うむ。
そう考えるともう、CDなんか売れなくてもいいのかもしれん。
向こうが費用を持ってくれるほうのデートができれば何でもいいと思っているのかもしれん。

 *
 さくら咲け 満開に、満開に
 さくら咲け 天国の君にも見えるくらい大きく
 さくら咲け 満開に、満開に
 さくら咲いてくれ 君にもこのさくらが届くように

 君がいなくなってから もう十五年に
 僕は一人前の大人になりました
 君がいなければ何も できなかったのに
 僕は一人だけで何でもできるよ

 でも一人だけで何かしたいことなんてないよ

 ずっと、ずっと、いてくれたなら
 ぐっと、ぐっと、涙を堪え
 
 子供の時に 一緒に植えた 記念のさくら

 *繰り返し

うむ、CDを売りたいのかもしれん。

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あ「秋の味 愛せないのさ アケビしか」
い「いちじくを 犬に投げつけ 一大事」
う「嘘みたい 旨すぎアケビ 雲丹とする」
え「エノキダケ 偉い人らの エサとする」
お「オナラ出す お尻アケビは オナラ出す」

か「柿食えば 鐘が鳴るなり カナダ寺」
き「キリン見た きっと斑点 キクラゲだ」
く「悔しいが クサい菊しか くれなくて」
け「蹴る栗の 研究している 毛深びと」
こ「このかぼす こんなに緑 高価そう」

さ「猿回し 秋刀魚焼いてる 寂しそう」
し「しいたけを 信じすぎてる シマウマだ」
す「酸っぱいな すだちの果汁 すぐ捨てる」
せ「西洋の 戦士がシメジ 背負ってる」
そ「空の下 ソロの里芋 素質無し」

た「タンバリン たけのこいもで 叩こうぜ」
ち「躊躇無く 珍とんぶりを 散らかして」
つ「爪先で 妻のとんぶり 掴み、捨て」
て「天才が 寺のとんぶり 天井へ」
と「とんぶりを 遠くに飛ばす 年寄りが」

な「長芋と 涙合わせて 流し込む」
に「煮たナメコ 二階の床の ニスとする」
ぬ「塗るナメコ ぬるぬるだから 沼とする」
ね「練るナメコ ねちゃねちゃだけど 寝床にし」
の「飲むナメコ 飲んだら乗るな 野良で寝ろ」

は「早腐り 破格ビートに 半笑い」
ひ「ひらたけを 貧相イヌに 拾わせる」
ふ「ぶなしめじ 武士に投げつけ 物騒だ」
へ「屁匂いの 変なビートが 辺境に」
ほ「豊作だ ホント、ビートが 細いけど」

ま「松茸を まつ毛に乗せて 舞い踊る」
み「三つ編みが 味噌まいたけを みじん切り」
む「ムッツリが むかごを茹でて 無理をする」
め「召し使い 飯にむかごを めりこませ」
も「モチ米で もぐらの穴に 猛攻を」

や「やまといも やや無名だが 安らぐよ」
ゆ「湯豆腐に ゆずを垂らして ゆるく踏む」
よ「要するに 夜通しゆずを よく踏もう」

ら「乱暴な ライオンにこそ 落花生」
り「理由無く リンゴ砕いて リスに掛け」
る「留守宅に 瑠璃色ライム ルーに混ぜ」
れ「冷蔵庫 レモンを入れる 練習し」
ろ「ロボットが 露骨にライム ロストする」

わ「私から 忘れさせてよ 和の秋を」
を「ををををっ をどろく栗は をっくりだ」
ん「んっ旨い んー秋の味 ンジャメナに」

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出家キング、肩パッド所属・村上五重塔さんの
”本来ならばこのタイミングで出家だ!”のコーナー!

Aさんの相談
「僕は貧乏な家庭に生まれ育ちました。
 満足に食べることさえできず、
 小学生がなめくじにかけようとしていた塩を譲ってもらって生きていました。
 なのでキスまで甘さということを知りませんでした。
 そのキスさえも甘酸っぱいという味で、本当の、
 ただただ砂糖の甘さを知るまでキスから二十年かかりました。
 僕は小三でキスを経験し、
 『キスだけは神龍並にしているね』と友達から言われるくらいキスをしていましたが、
 砂糖にだけはなかなかありつけず、
 『佐藤さんとキスしてみたらどうだ』と知り合いのパティシエに勧められ、
 佐藤さんとキスしたこともありましたが、その佐藤さんとのキスが一番クサかったです。
 くさやのクサさでした。
 でもまあやっと二十九で砂糖を食べ、やっと甘さを経験し、その経験談を話した話『甘み王子』が、
 今流行りの都市伝説である『砂糖を食べない男』の原型になっているわけです。
 なのでですね、都市伝説になっていると知った時、
 本当驚いて”本来ならばこのタイミングで出家だ!”何かちょっと泣けてきました。
 僕の喜びを何か怖い話にされたというこの言いようもない怒り、
 どこにぶつければいいのでしょうか」

―肩パッド所属・村上五重塔の答え―
「おしいです、ちょっと見逃してしまいましたね、
 でも大丈夫、貴方ならまた出家するタイミングがあるでしょう」

Bさんの相談
「僕は今剥製を作る職人をしています。
 しかし最近、この和菓子を剥製にして欲しいやら、私の分身を剥製にして欲しいやら、
 この県で八区制を導入したいのでお金を補助して欲しいやら、
 『ハックセイ』というクシャミをして下さいやら、”本来ならばこのタイミングで出家だ!”
 僕ができる範囲を超えている依頼が多く、非常に困っています。
 なのでどうやったらそのような技術が習得できるか教えて下さい」

―肩パッド所属・村上五重塔の答え―
「良いタイミングを逃してしまいましたね。
 あのタイミングならその依頼をした人と共に出家ができたのに、惜しいです。
 でも貴方は出家するタイミングを引き寄せる人だと思うので、
 人生を悲観せず生きていきましょう」

Cさんの相談
「俺は今、野球選手をしています。
 まだ二軍なんですが、最近好調で一軍の監督から飲みに連れてってもらえることになりました。
 しかしその飲みに行く場所がちょっと変わったお店で、
 パソコンにUSBメモリーを抜いたり刺したりしながらお酒を飲むお店なんです。
 抜き差しする動作は夜の一塁審判に繋がるところもあり、大変興奮させて頂いているのですが、
 お店でUSBが刺した状態で提供されるということがおかしいと思います。
 やはり刺しがあるから抜きがあると、俺はそう思って二十年間きたので、
 もし今度お店に行った時も、USBとパソコンを別々で渡されるのではなく、
 USBがパソコンに刺さった状態で提供されたら、暴れ出しそうで自分が怖いです。
 どうしたらいいでしょうか”本来ならばこのタイミングで出家だ!”、よろしくお願いします」

―肩パッド所属・村上五重塔の答え―
「十分間に合います。今すぐに出家しましょう」

Dさんの相談
「私は男兄弟に生まれ口が悪いです。
 こうやって文章にしていれば大丈夫なのですが、
 普通にしゃべっていると汚い言葉使いをしてしまいます。
 『うんち』を『うんこ』と言い、『おちんちん』を『ちんぽこ』と言い、
 『ハゲ』を『例の人』と言い、『下呂温泉』を『ゲロ野郎』と言ってしまいます。
 どうやったらこのような言葉使いが直るでしょうか。
 どうか教えて下さい」

―肩パッド所属・村上五重塔の答え―
「貴方は多分これからも出家するタイミングが来ないでしょう。
 諦めてひっそり大都会に住みましょう」

Eさんの相談
「ヘロウ! どうもこんばんは!
 相談のお便りを送りたいと思います! ”本来ならばこのタイミングで出家だ!”
 ボクはいつも、飲み会でテンションを上げ過ぎるとメガネにヒビを入れてしまいます。
 何か派手にピキーンといけばいいのですが、地味に、
 みんなが便所タイムの時に割れてしまいます”本来ならばこのタイミングで出家だ!”
 こうなるといつもボクは大きなため息をつきます”本来ならばこのタイミングで出家だ!”
 どうしたら、もっと派手に、笑いをとれる感じでメガネにヒビが入るでしょうか」

―肩パッド所属・村上五重塔の答え―
「こんなにタイミングがある人は三年前にあったルージュの女性以来です。
 またいつも通り飲み会をすればもう出家し放題です。
 さらに貴方の場合は僕にお便りを送ろうと思っただけで
 出家するタイミングができるのでラッキーですね」

Fさんの相談
「私は男兄弟に生まれ”本来ならばこのタイミングで出家だ!”口が悪いです。
 どうやったら言葉使いが直るでしょうか」

―肩パッド所属・村上五重塔の答え―
「もうだいぶタイミングから過ぎてしまいましたね。
 でも貴方なら大丈夫、きっと出家するタイミングが現れるでしょう」

Gさんの相談
「僕は出家がしたいと常々思っています。
 時にはお尻がかゆい時も、時にはルーブル美術館でおっきなオナラをした時も、
 時には見知らぬ人の大根畑にイノシシを放した時も、
 時には友達を崖の上から突き落とした時も、出家したいと思ったことがあります。
 僕はどのタイミングで出家したらいいでしょうか」

―肩パッド所属・村上五重塔の答え―
「正直こういう真面目なお便りが一番困ります。
 もう勝手に出家したらいいと思います」

/相談はまだまだ募集中! みんなよろしくね!/

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 段々自分の作ったお笑いの台本が読めなくなってきた。
 目の前が滲んで、もう何も見えない。
 未来が見えないんだ。
 また泣いてる。
 私は面白いと思う。
 だからきっとこれのプロになりたいんだ、私は。
 でもそんな職業はこの世に存在しなくて。
 物語、物語って何だろう、物語れば物語、物語って恋愛が無いとダメなの?
 恋愛が無いと物語として成立しないの?
 私って多分、この趣味に恋をしていて。
 人間じゃないものを愛した人って共感できないか、できないよね、こんな趣味、知らないもんね、感情移入できないよね。
 もし私が最初から小説を書いている人間だったら。
 この世にアジャストするような趣味を持っていたら。
 でもまあ私に人を傷つける趣味は無い。自分の性的趣向が法律に反する人は大変だなと思う。
 自分なんて変えられない。
 でも自分を変えられることができるのは自分だけだ。
 今から小説の世界にアジャストすることなんてできるかな?
 ちゃんと小説として認められるような文章を書くことができるかな?
 ストーブはまだ付けっ放しのはずなのに、何だか手の先や、足の先が寒い。
 私ってスリッパ履いてる人じゃなかったんだ。
 でもそのおかげで滑って転べたわけで。
 まだ死んでいない。
 まだ死んでいないという事実。
 私はこれから自殺を遂行する?
 自問自答。
 いやしないと即答。
 死のうとする行動力があれば、同時に生きようともできるはずだから。
 どうせ記憶喪失したんだ。
 本当に辛かった記憶は幸い戻っていない。
 プロのお笑い芸人じゃなかったというショックはあるけども、そんなのはぬか喜びなだけだから。
 生かそう、この記憶喪失を。
 また最初からやり直そう。
 評価シートに書かれた通り、小説の勉強をすればいいじゃないか。
 窓ガラスに映った自分を見ると、まだまだ若そうだ。
 諦めるにはまだ早いんじゃないかな。
 いや仮に年齢をとっていたとしても、諦める必要なんてなくて。
 私は一からまた始める。
 記憶喪失になって一になったから。


・【その後の私】

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突然だけど石油が高騰すると、どんな弊害が生まれるのか知っているかな?
……あのね、
今僕はどんな弊害が生まれるか聞いていたんだ、
「ガムちょうだい」は時と場合によって使い分けようね。
じゃあ何も知らないバカ丸出シストの君に石油が高騰すると何が起きるか教えてあげよう!
ちなみに分かりづらそうなところに《説明》がつくので安心してね!

『第1話 哀~ちょっと立ち寄ったファッションセンターで4個当たりました~』
1.石油が高騰
2.石油高騰専門チャンネルが、
  ナマコをなかなか食べられない女子アナの映像から石油高騰のニュースになる
3.それを見ていたオッサンが「石油高騰したー!」と叫ぶ
4.そのオッサンの妻が、
  「うるさい! そんなこと言っている暇があったらパンツ一丁になりなさい!」と言う
5.オッサンがパンツ一丁になると、妻は「さぁ、食い込ませるのよ」と言う
6.オッサンが泣きながら食い込ませ、妻は「しっかりセンターに!」と檄を飛ばす
 《その時妻は少し暇なので、ダーツの矢をティッシュで磨いています》
7.しっかりセンターになったら妻はそれをデジカメに撮り、現像し、
  その写真をハガキに貼って、その県が募集していた『新・県のマーク』に応募する
8.妻は応募の時の余った切手をオッサンの体に貼り付けて「今日の服はそれね」と言う
9.オッサンはその格好のままポストへ投函しに行く途中で、5個のカラーボールを投げつけられる
10.投函完了と共にファンファーレが鳴って「えっ、僕へのご褒美?」と思うと、
   ゆっくりと地面からモグラが顔を出してきたので「このための音か……」と残念がる
  《この時の表情は、指毛の濃さを友人から指摘された時の聖徳太子みたいな顔をしています》

『第2話 彩~ドア自体は木目を生かしたデザインに~』
1.新しい県のマークを決めるその係員は、ちょうど出家先から逃げてきたばかりで女に飢えている
2.その係員は「すごく美しい尻だ!」と選んだハガキが、あのオッサンだった
 《ちなみに候補の中には、『行書体で書かれた”美脚でヤンス”という文字』があった》
3.県知事はそれを見ると「文明開化の音がする」と大絶賛の風
 《その県知事はあまり人気が無く、大絶賛の嵐とまではいかなかった》
4.正式にそのマークが、食い込ミュニティを目指す我が県に相応しい的な空気になる
5.決定する
6.食い込ミュニティを促進する部署、その名も、ミクイィー(miqi)が出来る
 《その部署のドアノブを橙色にする》
7.その係員は責任者となってしまい、重圧のストレスにより、またデカい声で一人猥談をしてしまう
8.係員の一人猥談がSNSで話題になり、係員は「三遊亭猥談になる」と言って退職。
  その部署を継ぐ人も出てこず、部署は無くなり、跡地に桜の木を植える
9.そこが告白の名所になる
10.さらにテレビでも話題になり、
   各局でナマコをなかなか食べられない女子アナの映像からその話題に差し替えられる

『最終話 戦~傷口に鰹節をかけたほうが勝利というルールで~』
1.その桜の木が世界的に有名になり、日本にたくさんの告白したい人達がやってくるようになった
2.しかし告白する相手がなかなかやって来ないので、宿泊費がかさむ
3.「ホテルに泊まるより住んだほうが安い」ことに気付き移住する
4.日本在住者の割合で日本人が50%を切り、切り餅があまり売れなくなる
5.何がどう日本なのか分からなくなり、紛争が増える
6.でも石油が高騰しているので、みんな殴り合いの紛争
7.日本の首相の「もう、静かにご飯が食べたい」発言により紛争は収束していく
8.世界各地でも同じ理由から紛争が消えていき、世界が平和になった

つまり、石油が高騰すると世界が平和になるんだよ。
えっ? なんだい? ……あぁ、ガムが欲しいのか、うん、あげるよ、もう根負けしたよ。

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 これを小説風に変えるなら、ちゃんと説明書みたいな形式にしたほうがいいかも、というか子供向けの教材みたいなイメージかな?
 会話形式にすると良いかもしれない、そっちのほうが分かりやすいかもしれない。
 そりゃ自分のやりたい方向性というのは覚えていなくても、透けて見えて。
 きっとこうやってボケの洪水を脳内に流し込みたいと思っていたんだろうけども、やっぱり会話形式にしたほうが分かりやすいかもしれない。
 ちょっとずつ合わせていく作業。
 妥協と言うと言葉が悪いけども、やっぱり商業でやりたいのなら、自分を殺していくしかない。
 少しずつ変わっていこう。
 きっと変われる。
 少しでも良い方向へ。

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サトルのクラスのみんな、今日はサトルの家に集まってもらってありがとう。
どうも、おじさんは、サトルのお父さんだ。
みんな、これを聞いて欲しい。
これがうちの子の、いやサトルが最期に残した遺書代わりのテープだ。

(ポチッ)

『あぁん! ……何か違うな……あぁん! あァ! アァン!
 ……これかもしれないな、これが一番女性が電撃を喰らった声に似ているかもしれな(カチッ)』

みんな、スマン。このテープじゃなかった。
置き手紙にはこのテープだと書いてあったのだが。
確かにその側にもう何個かテープがあったので、もしかしたらその中にあるのかもしれない。
では多数決を取ります。この妙にハナクソでまみれているテープだと思う人……なるほど、満場一致か。
その元気すぎる手をおろして下さい……ハナクソまみれテープが遺書と思われるサトルって一体……いやまあ、
流しますね。

(ポチッ)

『愛してる~♪ ホントに愛してる~♪ ……ダメだ! Amのコードがうまく弾けない!(カチッ)』

さて困ったぞ、どういうことだろうか。
えっ? ちなみにハナクソはクラス全員でつけた?
あぁ、なるほどね、あれですね、サトルはいじられキャラだったのかな、ツッコミの達人だったのかな、
でもそのボケに対してはもうツッコめないからおじさんから言っておくよ、そんなことしたらダメだよ、ってね。
それにしてもいつの間につけたんだ……でも何でだろうね、
何でサトルは置き手紙に”クラス全員呼んで”と書いたのか、何か勘違いしていたのか。
まあね……って子供達! おじさんの部屋に入っちゃダメ!
特に机の上とか見ちゃダメだからねっ! ……ってもう遅いかぁ、男子が全員そっちに行ってしまった……。
エロ漫画家、どうして俺はエロ漫画家に……ホントは少年誌でバトル……ん……女子も結構いないっ!
あれだよね! 俺の部屋とかじゃなくて、台所の冷蔵庫とか見に行ったんだよね!
エコ度チェックをしに行ったんだよね! いやぁ最近の女子は家庭的ですねぇーっ!
……誰だ今、エロ度チェックって言ったのは……も、もぅ! おじさん泣くぞ!
あっ、そうか遺書テープな。
ここにいるみんな、それを楽しみで来てくれて有り難う。
いやでも楽しみって、その楽しむという考えがもう、いや何でも無い、流します。

(ポチッ)

『というわけで、アラシィでダム・ソー・スイートでした(カチッ)』

これは普通にラジオを録音したテープでしたね。
突然女性の声がしたので、すぐ消そうと思いましたがサトルを信じて良かった。
あっ、いや巻き戻してダム・ソー・スイートを聴きたいじゃなくて、ここが始まりだったのでね。
うわもう、アラシィの人気すごい、どの世代にも人気がある。
いやおじさんの漫画もどの世代も興味津々とかね、そういうのは冗談でもやめたほうがいいからね。
さて、残ったテープは一つ、どうやら当たりは最後というわけで運が悪いおじさんですね。

(ポチッ)

『あっ、あっ……はいっ! サトルのひとりラジオ! 僕のバナナボートに乗ってくれ、スタート!
 というわけでね、僕ですね、最近ファッション誌を買い始めたんですよ、モチロン女性モノの。
 いやぁ、カワイイ子ばっかりですね、モデルって良いですねー、というわけで次の話にいきましょう。
 この前初めてサウナに行ったんですけども……あっ、この話は面白くないからいいや。
 えっとですね、僕のお父さんはエロ漫画家なんですよ、
 代表作は”JAM”っていう女子高生ストリートファイターが(ポチッ)』

違う、違う、全部違う……いやひとりラジオの時点で気付いていたんだけども、もうこれしかなかったから。
これしかなかったから……えっと、その、あの、どれだぁっ! どれなんだぁっ!
……そうだ、どれか一つをもっと聞き続ければ入っているというのもあり得るな……いやっ! いやいやいや!
ラジオDJのやつが良いとか違うから! アラシィ特集かもしれないからとか違うでしょうがっ!
えっと、そうですね、あっ、あの弾き語りのやつかなっ?
愛してるってみんなへのメッセージ的な意味で、いつまでも忘れない的な意味なのかな?

(ポチッ)

『いやぁ、うまく弾けない、でもやるしかない!
 愛してる~♪ 愛してる~♪ ……これだ! これをメグちゃんの下駄箱に入れよう!
 ……、……、……(カチッ)』

もう続きなかったね……いや渡すにしても編集とか、いやそれ以前に自前の歌って……というか、
何で渡したはずのモノがここに、結局下駄箱にさえ入れられなかったのかな……えっ?
メグちゃんがついでに返そうと思って持ってきた? 
なるほど、元々ここにあったテープじゃなかったのか、だからハナクソをつける機会もいくらでもあって……。
告白のテープへクラス全員でハナクソつけて……というかそのメグちゃんという子はどこに?
……あぁ、おじさんの部屋にか……そういう子を好きになっちゃうんだねぇ……というかもうテープが無い!
えっ? 最初の? そうか、最初の、いやでも最初のって電撃の……確かに、
置き手紙の一番近くにあったテープはそれだけども……よしっ。

(ポチッ)

『いなぁ……アァん! これこれこれぇっ!
 ……ザーッ……ブッ、
 はい、これが僕の遺書です……みんながね、僕のテープを聴いているということは(カチッ)』

ちょっとね、おじさんちょっと怒りたいことあるから、ちょっと待ってね……何故上書きしない!
そして何でジャストで頭出しをしない! 適当に最初まで巻き戻しすんなやぁっ!
テンションが! テメーのテンションが違うだろうがぁっ!
……はい、おじさんはもう大丈夫だから、そんな怯えなくていいよ、
あっ、おじさんの部屋に行っていた子も何事かと戻ってきたね、ちょうど良かった、
今からテープ流す、流すからぁっ! おじさんの部屋に行こうとしてんじゃねぇよクソガキどもぉっ!
……はい、座ってね、ねー、みんなが泣いてもおじさんが怒っていることには変わりないですよーっ。

(ポチッ)

『僕はもう死んでいると言うことですね。
 みんな、僕のために泣いてくれてありがとう……知ってるんだ、みんな、みんな、
 僕のことが、僕のことが大好きだったこと(カチッ)』

クソムスコがぁっ! どこがだぁっ! どこがだぁっ!

(ポチッ)

『気付いていたよ、メグちゃんの気持ち。
 僕と最初で最期のキスは冷たいキスでゴメンね(カチッ)』

クソムスコがぁっ! ハナクソテープにされてんぞ、おい!

(ポチッ)

『寂しいなら、このラジカセにキスしても良(カチッ)』

クソムスコがぁっ! あぁぁぁあああああ!
ラジカセのどの部分だゴラァッ!
まさかここまでとはぁっ! あぁぁああ! ……あぁ……。
おじさんも泣いていいかな、そっか、頷いているのか震えているのか分からないけども、おじさんも泣くよ……。

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 これはちゃんとコント小説形式にして、他の子供たちの台詞というか野次があると分かりやすいかもしれない。
 子供たちの台詞を入れることにより、小説としての深みも出るかもしれないし。
 でも下ネタっぽいネタが結構多いんだよなぁ、私の昔のネタって。
 そっちのほうがアングラでウケやすかったということなのかな?
 まあ今の時代、もうちょっとやんわりしたほうがいいよね。
 この辺のラインもアジャストしていけるようにしよう。

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……! やっぱり! 吾妻さんですよね! あれ以来ですね!
僕が自分の家で焼き豆腐に生きた蜂を埋めようと四苦八苦していると、
「揉ませてやろうか!」と言いながら、窓を開け、ふんどし一丁豆腐一丁でやって来たのが吾妻さんだった
頭に乗せた豆腐を申し訳程度に揺らしながら、
「さぁ揉むんだ揉むんだ」を連呼してきた時はもう僕は死を覚悟したよ
でも何か違うと感じて、そっと僕が吾妻さんの肩を揉んだら、「もうちょっと下ぁっ!」と言ったよね
だからお尻を揉んだら、「あぁ! 触覚と聴覚で楽しめるなぁ!」と言って 僕はもう吾妻さんの虜になったよ
蜂のことなんて忘れて一生懸命揉み続けたら、最近のJ-POPのタイトル風に言えば、モミツヅケ→ル、
吾妻さんの頭の上の豆腐が床に落ちて蜂を潰していたんだよね もう本気で吾妻さんを殴ろうと思ったよ
風水的に焼き豆腐じゃないとダメなんだよ 焼き豆腐じゃないと、家出した妹が帰ってこないんだよ
早く帰ってきて欲しいよ、みりんとか買ってこなくても良いから、あぁ、帰ってきた妹にソフトタッチしたいよ
昔のJ-POPのタイトル風に言えば、いもふとタッチしたいよ
いもふとタッチって、芋をふと思いタッチするんじゃないよ
「芋って、教師のアゴにソックリですごい……」と思い、ちょっとテンション上げてタッチするんじゃないよ
と、僕は吾妻さんのお尻の穴に向かってこうしゃべったよね でも吾妻さんは新種のウォシュレットだと思い、
「もっと悪口でキレイにしてー!」としか言わないで、仕方なく僕は「教師のアゴは色が悪い」と言って、
吾妻さんは、「ちょっ、父さんの悪口はやめてよ! お尻の穴がピンク色からシルバーになるよ!」と言って
で、よくよく吾妻さんのお尻の穴を見ると、徐々に輝きだして、
「これが金色の太陽と対の存在、銀色の月か……」と思った瞬間、
僕は狼みたいな気分になって、僕はもしかしたら狼男かもと思った時にはオシッコをもらしていたよ
ただ股間がゆるい子でした
そのオシッコは床を満潮にしながら、豆腐蜂、最近のJ-POPのタイトル風に言っても、豆腐蜂、
とあるバンドのセカンドアルバムのタイトル「豆腐蜂」、豆腐蜂自体は十二曲中九曲目で、
打ち込みのストリングスとか一切無い、まさにこのバンドここにありというような曲で、
ライブでは一番人気の曲で、実はインディーズ時代からライブだけは既にこの曲は唄っていて、
セカンドアルバムでついに初の音源化、さらにその曲を唄ったライブDVDも入って三千五百円で、
三千五百円と言えば、ちょうど、去年の僕が妹の財布から抜き取ったお金の最低額で、
「お兄ちゃんじゃないよね? もうホント犯人分かったらぶん殴りたいっ!」「やった! 僕を殴って!」
そして、妹は僕を殴らないまま家出して、これじゃ殴ってくれたお礼のソフトタッチもできないよ
でもでも豆腐蜂にオシッコがかかったことにより風水的にすごく良くなったよ
黄金の豆腐蜂になったよ、そのセカンドアルバムには運が良いと『黄金の豆腐蜂チケット』が入っていて、
それがあると発売記念ライブに行けて、そのライブに行ったファンの前だけに弱みを見せるメンバーの僕
「妹が家出してしまって、もし良かったら情報が欲しいんだ……」、そして百万人のファンが捜査員に
捜査員からは、情報と共にたくさんのミカンが送られてくる 「このミカンおいしっ」と言うバンドリーダーの僕
「この情報は有力だぞ」と言うドラム 「どのテニスラケット買えばいい?」と言うベース
「なめるとグリップが甘いやつ」と言うギター 「このミカンおいしーっ」と言うヴォーカルの僕、良い声で
そして「今の声、九十七点だ」と言うベース さらに「声の大きさは百一デシベル」と言うギター
最後に「おい! お前の妹は今熱海の旅館で働いているぞ!」と言うドラム、空気を読まないなぁ
寒い中、外に出る僕
列車に乗り、座席に座る前に、まだ青っぽくて不味そうなミカンを敷いて座り、嫌がらせ
そして熱海に着く お尻についたミカン汁は乾くと思ったら全然乾かず、
「ハイリスクハイリターンに負けた」ともらしながら、乾かないという衝撃の展開に興奮してオシッコをもらし、
その辺の子供に「汁人間コンテスト」と言われ、その子供の母親とキスして、ファンだったからね
そしてその子供はその光景に泣きそうな顔をしていて、僕はニッコリと微笑み、
「こういうことなんだよ」と言ったりしながら、目的地を目指し、熱海の旅館に着く
そこの玄関を掃き掃除している女性……すっごい美人、モチロンキスして、
ファンじゃなかったから多少強引になっちゃったけども最後は根負けさせてキスして、
受付の女性……あんまり美人じゃなかったけど僕のファンらしいからキスして、
そこの料理長……やっぱり教師よりアゴがキレイだと思いながら、アゴから上へなめるようにキスして、
あっ、妹だ、仲居だったんだ 妹に話しかける、「やっと迎いに来てくれた!」と言って抱きつかれる
あれ、殴らないのか でっ、でも、これも良いなぁ、と興奮して、でも妹の前だけはオシッコをもらさない!
そして一緒に家へ帰る、女将が僕の妹を止めたが、もう僕はキス疲れをしていたので、
「こんな旅館に働かせられるか!」と一喝して、事を荒立てて
家に着き、またいつもの生活、これが幸せなんじゃないかなってね……

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 これはもうこのままでいいのでは?
 まあ小説形式に直すにしても、あとは描写を時折混ぜたらもういいような気がする。
 私の中でもかなりトリッキーなほうだから、そういう夢想小説みたいな感じにしたほうがいいのかもしれない。


・【諦めず】

 今日も自分のお笑いと向き合って、小説を書いている。
 本当はお笑いのネタ丸出しの小説を書いてみたいけども、まあたいした物語を書けそうにないので止める。
 ふと思った、主人公が記憶喪失になる物語。
 記憶喪失を謎として、物語の引きにして、いろいろガラクタのようなことを考えていく、ピンネタのような小説。
 でも何かありそうだなと思って発想していくことを止めた。
 仮にそんな小説があるのならば、主人公がちょっと可哀想だなと思うし。
 私はとにかく人が笑顔になる物語を書きたいんだ。
 ただただ笑ってほしいだけなんだ。
 そんな物語のために、人が不幸になるのは何か嫌なんだよなぁ。
 ずっと読者が一人で笑ってくれているような、アホの小説だけを書きたいんだ。
 だってお笑いって要素は需要があるはずだから。
 だからお笑い芸人のエッセイというジャンルもあるわけだから、私は自分のお笑いを信じていきたい。
 その自分のお笑いが文章で表現できたら、これ以上のことはない。
 そんなことを思いながら、また過去のネタを小説の形にリライトしたり、長編のタネに変えたり、ある種妥協していく。
 でもその妥協は別に悪いことじゃないと私は考えている。
 だって自分の気持ちを伝えるために、言い方をその人へアジャストしていくって当たり前のことだから。
 独りよがりじゃしょうがない、それ以上に私は貫きたい今の想いがあって。
 誰かに自分の作った物語を読んでほしい、笑ってほしいという気持ちが一番だから。
 『こっちの世界に寄り添ってくれよ』なんておこがましいと思うし……と思いつつも、やっぱり我が出てしまう部分もあって。
 そのせめぎ合い、まあせめぎ合い、攻めと防御のせめぎ合い、防御の“御”の『ぎ』をとって、攻めぎ合い。
 いや防御の割合が少ないな、だからこうやってお笑い癇癪が出てしまうところがあるんだろうなぁ。
 まあいいや、たまにはお笑い癇癪が出て、自分のスタイル全開の小説を書いてしまうこともあるさ。
 とにかくいろいろ書けばいい。
 たくさん試行錯誤すればいい。
 まだまだ時間はある。
 著名な小説家だって、デビューが五十歳のお方もいる。
 私は全然諦めるようなタイミングじゃない。
 どんどん書く。
 ただそれだけ。
 面白い小説が書けるようになれればいいなぁ。

(了)

あとがき

ステキブンゲイ大賞に投稿中です。
これ最初に書かなかったのは勿論、
序盤の”ステキ”で『ステキブンゲイ大賞』だと
気付く人がいると思ったからです。

私は昔からピンネタを書くことが大好きでしたが、
全編ピンネタだけの小説って書いたこと、
長編では無かったので、書いてみることにしました。

モチーフは、私本人です。
勿論キャラクター像との乖離はありますが。

途中で出てくる333キロバトルとかは、
もうまんまそういう参加型お笑いサイトがあります。
2023年の私の結果は333キロバトルの敗北でした。
今年、頑張ります!

記憶喪失ネタで、自殺しようとしていた、は、ベタだと思うのですが、
スケジュールのミスリードや、
ネット長文というものをしっかり知っていないと
そこもミスリードをしてしまうところなど、
仕掛けは一応自分なりに入れたつもりです。
MF文庫から『KADOKAWA』の封筒が送られてくるところも、
仕掛けの一つでしょうか。
今はもうメールになったのかな?
実はMF文庫には6年前に一回しか投稿していないので、
その後どうなったかは分からないんですよね。
封筒のままだと有難いんですが。

まあ細かいところはちょいちょい違ったりもするんですが、
最終稿にするところで、
KADOKAWAホームページの『作品公募』のところは、
一応調べました。
『コンテスト情報』と仮で打っていたのですが、
ちゃんと調べて『作品公募』に変えました。

QJとか厳密にはQJWebなのですが、
まあそこはいいかな、と。
ホームページのお気に入り欄の文字って、
私はイジるほうですし、
【QJ クイックジャパン】で登録していても、何もおかしくないので。

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