レジという関門
成人式を迎えて何年が経っただろう。
酒もタバコもエッチなビデオも僕はきちんと二十歳を超えてから嗜んでいるのだ。真面目なのだ僕は。
そう、未成年者は飲酒喫煙をしてはいけないのである。お店も販売、提供すると罪に問われるのである。ではどうするか?身分証で年齢確認をするのだ。まぁ、効率よく仕事をするためには明らかに二十歳以上だと思われる人にはこんな工程は踏まないのだが。しかし、こんなご時世になり、外出時マスクをするのが一般的になった昨今、目元だけでの判断を要求されるそのチェックはより厳しくなったと友人は語る。
まあ、どちらにせよ必ずされる僕には関係ないのだが。
二十歳を超えた頃を思い出し、鏡を見れば僕も歳をとったな、なんてちょっと笑えてきてしまう。
だが自分ではあまり自覚がないが、比較的小さめの顔と幼めな顔のパーツで実年齢より若く見られてしまうようで、年齢を確認できるものの提示を求められる。
この1年贔屓にしているスーパーがある。
実家付近にもあるお店の系列店だったこともあり、なんとなく通い始めて早1年だ。食料品に生活用品もそこで買うことが多い。お酒も買う。必ず免許証も出す。あれおかしいな。
マスクをしているとはいえ、そろそろいいんじゃないかな。レジのおばちゃんたちよ、ほろ酔い3本くらいサラッと買っていいんじゃないかな。おい後ろのレジ、明らかに僕より4歳くらい若い大学生グループだろう!何故年齢確認をしない!
若く見られるんだからいいじゃないか。
間抜けな顔で酒を飲む友人は言う。そうだろうか?
お金とカードを分けて持ち歩いている僕にとって、毎回カードケースから免許証を出すのはほんの少し面倒なのだ。おばちゃんたちは声も小さいので、免許証の提示を求める声もほぼ確実に聞き返す。これも少し面倒だ。器が小さいとか言わないでおくれ、別に怒ってるわけではないのだ。
それに若く見られるのはちょっと舐めてかかられることも多い。3つ4つ歳下の子にもタメ口で話される事が多々ある。年齢を言うとちょっと申し訳なさそうに謝られる事も多い。いや、それはなんか僕も悪い感じするからいいって。
アイドルの顔がみんな同じに見える、海外の方々の見分けがつかないなど、人間は普段関わっていない人種や年齢の人たちほど識別するのが難しくなるらしい。スタッフの年齢層が高い近所のスーパーはそれもあって僕に年齢確認を行っているのもあるのではないか。いやきっとそうだ。
まあ別に迷惑を被ってるわけでもないし、なんならスタッフの方々は真面目にレジオペレーションを行っているのだ。大人しく僕は身分を証明するほかないだろう。
ある日、見慣れない若い女性がレジを打っていた。大学生くらい、新しく入ったアルバイトの子だろうか。接客中の眩しい笑顔が素敵な彼女は僕が出したポイントカードを受け取ってレジに読み込ませた後こう言った。
「年齢の確認できるものはお持ちですか?」
どうやらここは教育も行き届いているようだ。
素晴らしいな。ちくしょうめ。
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