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同じ部屋の隣人

財布がない。僕の家の玄関には備え付けのシューズボックスがあり、それの上に財布と鍵の束、カードケースなどを置いている。家に入り電気をつけ、そこにポケットから諸々を置いて行くのがルーティンだ。
でもそこに財布がない。この時点で僕のルーティンは破綻している。結局財布は作業机の上にあったわけだが、こういったことが僕には多々ある。
さっきまで見ていた書類はどこかに行き、残り一杯分残ってたはずのコーヒー牛乳は空っぽになっており、考え事をしながら書いていたnoteもいつの間にかできていたりする。無意識に何かをしてしまっているのだ。

無意識に絵やnoteができていたりは良いのだが、その他は割と困ったものだ。まるで僕以外の僕がいて、いつのまにかそいつは僕の知らない事をやってしまう。別の人格でもあるのでは無いかと思ってしまうほどだ。この6畳の狭い部屋に僕と同じタイミングで同じ仕事をしながら違う事をしてるやつがいるらしい。ややこしいが、なんてやつだ。
いや、僕なんだが。

友人と電話をしてる時にもよくある。
初めて聞く情報にリアクションをとると、「いやいや、前も話したよ」と返される。反応もしてたらしい。全く身に覚えがない。おそらく何かしながら電話をしていたのだろう。無意識に返事をしていたためにきちんと認識していない。気を許してる友人だからこそ起こる事だが、これはいつか本当に困ったことに発展しそうなので気をつけたいものだ。

絵を描いている時も資料や本が机の上に散らばり、毎回大運動会になる。きれいな状態で仕事に臨んでも、終わる頃にはとんでもなくとっ散らかっているのだ。キーボードの位置は90度変わり、出した覚えのない本まで積まれている。僕の中にいる無意識という隣人は、時々外の空気を吸いにひょっこり出てきて余計な事をしていっているようだ。本当に困ったちゃんである。

とはいえこれも僕である。無意識にやってるけれど僕がやった事なのだ。甘受してうまくやっていくしかない。ダメな部分と言ってしまえばそれまでだが、集中して何かをやっているからこそ隣人は遊びに来てしまうと考えれば、ちょっとはいいところがあるからこそのようにも感じる。とどのつまり前向きにやっていくのが一番ということだ。

ひとまず机も片付いたから、休憩がてら飲み物でも買いに行くことする。玄関でいつものセットをポケットへ運ぶ。鍵の束、カードケース。以上だ。
あぁほらまた財布がない!


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