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中2理科の化学反応式を【理解】する(11) 化学変化と熱の出入り その1

長らくお待たせしました,中2理科の教科書の化学反応式の部分をさらに読み進めていきましょう。

前回のおはなし↓

まとめページ↓


化学変化と熱の出入り

1 熱を発生する化学変化

【発熱反応】 酸化カルシウム + 水 → 水酸化カルシウム

【実験】かいろの成分(食塩水,活性炭,鉄粉)を混ぜて温度変化を記録する。

【発熱反応】 鉄 + 酸素 → 酸化鉄

2 熱を吸収する化学変化

【実験】アンモニアを発生させ,温度変化を記録する。

【吸熱反応】 水酸化バリウム + 塩化アンモニウム →
塩化バリウム + アンモニア + 水

化学変化が進むと熱が出入りする。その熱を反応熱という。


熱の理解はかなり難しい

 「熱とは何だろうか?」という問いに答えることは,正直かなり難しいです。熱力学は物理学の分野の中でもかなり抽象的な学問なので,何度本を読んでもなかなかわかった気にはなれないです。少なくとも私は。

 熱はごく身近にある自然現象の一つであるにもかかわらず,その熱を理科で教えることは難しい。実は,小学校の理科の教科書を読むと,熱という言葉がなかなか出てきません。私には,あえて熱という言葉を使うのを意図的に避けているように思えます。

 小学校の理科にも「熱する」という動詞的な言葉はあったのです。「熱が・・・」という主語的な言い方が初めて出てくるのが,この中2理科「化学反応と熱の出入り」なのではないかと思います。ですから,この部分は,熱についての理科的な学びのスタート地点でしょう。

熱という概念

 ここでは,温度変化が大きくてわかりやすい発熱反応と吸熱反応の実験を行って,化学変化と同時に熱の出入りが起きることを体験を通して学ぶ,ということが主なねらいです。

 私たちは,熱を物質に出入りする「何か」であると捉えます。「何か」が出入りしていることは,まずは皮膚感覚によって確認されます。人間は感覚を通して,心の中に「熱の概念」を作るのです。

 私たちは日常生活の中から「熱さ」と「冷たさ」という二種類の概念を得ています。かいろを触ると「熱く」感じますし,氷を触ると「冷たく」感じます。

 アリストテレスなどの古代ギリシャの哲学者たちは,世界を「対立するもの」の中間に生じるものとして捉えました。空は太陽と月が支配しているし,個性を持った人間は理想的な男性と理想的な女性の間のどこかに位置します。同様に,「熱」と「冷」の混ざり具合の違いが物質の状態を決める,と考えることもできます。

 しかし,理科ではそのような考えは取りません。小4「ものの温度と体積」で温度計の原理を知り,小4「すがたを変える水」では,その温度計を使って,水を熱すると水蒸気に変わることを確かめます。

 何度も何度も温度計を使う実験をすることによって,熱の「量」によって熱さと冷たさが決まることが,なんとなくわかってきます。

熱と温度の混同

 温度計の使用は,熱という,捉えどころのない「何か」を数値で表現する定量化の始まりです。これによって,自然を理科的に考える第一歩を踏み出せたのですが,同時に混同も生まれます。それは熱と温度の違いがよくわからなくなる,ということです。

 皆さんは,熱と温度の違いをハッキリと説明できますか?ネットを検索しても,難しすぎる説明が出てくるだけで,理解はできません。熱は分子の乱雑な運動,温度は分子の平均運動エネルギー,などという断片情報を得たところで,それで理解したことにはなりませんよ。

 なぜならそれは,話題になっている3時間の超大作映画を見に行かず,結末だけをネット検索で知るのと同じだからです。理解するということは,自分の心の中で能動的に「ストーリー=おはなし」を創ってゆくということです。私も,今まさに,熱についての長いおはなしを自分の中に作っている途中なのです。

 今回は長くなってしまったので,続きは次回にしましょう。次回は,私なりの,わかりやすい熱と温度の違いについての説明にチャレンジしたいと思っています。それまで,皆さんも熱と温度の違いについての説明を自分で考えてみてくださいね。それではまた。

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