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ハート配達人の話

突然ですが…
ある人の言葉と、あるミュージシャンの音楽との出会いから、小さい頃から自分のアタマの中にあって変化して来た物語を、一度外に出してみたくなりました。
私は子どもの頃、風と話せると本気で思っていました。「風君吹いて」と3回唱えると必ず風が吹いたから。そして唱える時はいつもちょっと寂しさを感じている時だった気がします。でも風を頬に受けると、私には風がいるから大丈夫!そう思えていた気がします。
だから、これは私の話なのかもしれません。


あらすじ

ヤギの姿をしたハート配達人の”バル”は、その日も人の想い=ハートを集めて、ボロボロのリュックに詰めて、ボロボロの自転車で空を漕いで、集めたハートを誰かの元に届けていた。
少し離れた町にハートを届けに行くため、森の上を飛んでいたところに、一陣の風が吹いて、バルの自転車は空中でひっくり返り、その拍子にリュックからはハートがこぼれだして、あちこちに散らばってしまう。落ちこぼれの風の子、”カゼ”が親兄弟とはぐれ、風を操る練習をしていたところにバルが通りかかって、巻き込まれてしまったのだ。
自分のせいでいくつかのハートが行方不明になった事に責任を感じたカゼは、バルと一緒に残りのハートを探す旅に出かける。
カラダは大きいけれど、ちょっと臆病で心優しい青年バルと、真っ青な髪に大きな青い目、言葉を使わず直接心で会話するカゼという少女?のハートを巡る旅の話。
寂しさを埋めるためにゴミを溜め込むおばあさん、笑顔を封印した双子のお母さん、フツウと違う色が見える少年、性のゆらぎ故に恋愛に自信の持てない女性、カゼと旅をする中で、バルは今まで接する事のなかった様々な人との出会いと別れを経験し、今まで知らなかった自分を知り、気づかなかった自分の想いに気づいていく。

主な登場人物

バル

人の想いを人に届けるハート配達人。思いやり、愛などのピンクやオレンジの暖色系のハートを運んでいる。ヤギの姿をしている。
親の記憶がない孤児で、一緒に育ったチーターのカイともいつしか別れ一人で生きて来た。唯一の友だちは家で育てている植物のミドリさん。
もともとは郵便配達を行っていたが、配達の途中でどうしても我慢できずに大事な手紙を食べてしまうので、そんな心配のないハート配達人になった。カラダは大きいがちょっと臆病で優しい穏やかな性格。困るとすぐに八の字眉毛になる。誰かとほとんど話す事もなく生きて来たので、人見知り。
ボロボロのリュックにハートをつめて、ボロボロの自転車で空を飛びながら配達をしている。

カゼ

季節風のお母さんと兄弟達と一緒に上空を移動していたが、まだうまく力をコントロール出来ず、途中でみんなとはぐれてしまう。透き通ったブルーの髪と大きなブルーの瞳の少女?
風を自由に操り、風の噂をいち早く捉える能力を持っている(風の噂を広める能力も)。感情があるのかないのか、とても冷静にものごとを見て事実をはっきりと口にする(口はないのだけど)。バルと旅をする中で、朧気ながら人の想いというものを理解していく。

カイ

チーターの姿をしているハート配達人
嫉妬や怒り、憎しみなどネガティブなダークな色のハートを運んでいる。
以前はバルと一緒に暮らしていたがいつの日か突然姿を消す。小柄で俊敏。ストリートファッションに身を包み、ピカピカの速いロードバイクを乗りこなす。

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