突然ですが… ある人の言葉と、あるミュージシャンの音楽との出会いから、小さい頃から自分のアタマの中にあって変化して来た物語を、一度外に出してみたくなりました。 私は子どもの頃、風と話せると本気で思っていました。「風君吹いて」と3回唱えると必ず風が吹いたから。そして唱える時はいつもちょっと寂しさを感じている時だった気がします。でも風を頬に受けると、私には風がいるから大丈夫!そう思えていた気がします。 だから、これは私の話なのかもしれません。 あらすじ主な登場人物バル 人の想
2018年頃、私はいつも駅前に現れる大きなピレネー犬のドキュメンタリー映像を撮ろうとしていた。ふさふさの長い白い毛、誰が撫でても大人しくて包み込むような優しい雰囲気を纏っていて、会った人は老若男女問わず誰をも笑顔にしてしまうアイドル犬だった。 実はのんびりした風貌からは想像もつかない壮絶な過去を背負っていたのだが、その動じない姿に、その前年に生死を彷徨った私自身が強く惹かれていたのだと思う。 GENちゃんという名のそのピレネー犬は311の時福島で被災し、飼い主を失い痩せ衰えた