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2秒間止まった世界を生きている

鬼のひとりっ子、鬼の母子家庭の僕は昔から部屋で考え事をするのが好きでした。

小学2年生のある日、僕は部屋でピタッと2秒間動きを止めました。
まばたき、呼吸、視線、全部を止めました。

今、2秒間止まったことでこの先の人生何が変わるんだろうとワクワクしていました。
人生を使った実験です。

小学5年生、母の車で買い物に出かけた時にコンビニで担任の先生がエロ本コーナーを眺めている姿をみかけて爆笑しました。
これは確実に小学2年生のときに2秒間止まったおかげです。
そんなシーン、人生を2秒間止めずに進めてた場合には見れなかったかもしれないです。
なんなら2秒間止まっていなかったら買い物に行くという展開にもなってなかったかもしれません。

高校時代。下校中の僕はポンチョを着た女性を見かけました。物珍しさとフワフワとした雰囲気に魅了され少しの間、その女性を眺めていると車に撥ねられました。
幸い怪我はなく、運転手からは5千円を貰いました。

そんなことより5千円て舐められたもんやなと思いますが、そこでもっと要求できないのが僕というか2秒間止まったせいなんだと思います。
2秒間止まっていなかったらボロカス言ってると思います。

大学時代には家に帰るとアパートの鍵穴を接着剤で固められていました。
そのとき僕は買い物に行っており、帰ってきたら鍵が刺さらなくなっていました。
すると背後から「僕がやりました。」と犯人が現れました。

それは隣人。
この告白がめちゃくちゃ怖かった。
刺されるかと思った。

偶然、帰宅のタイミングが犯人と同じだったそうで、鍵が刺さらない姿を目の当たりにした罪悪感から名乗り出てきたそうです。
お詫びで3万円と修理代を貰いました。
これも2秒間止まっていなかったら買い物のレジが混んでいて帰宅が遅れてしまっていたり、タイミングがズレていて犯人と出会えなかったかもしれません。

嫌なことは多いですが2秒間止まった人生で良かったなとも思います。
それは適当に入ったお店のご飯が美味しかったり、レコード店でなんとなく手に取ったCDが大当たりの曲ばっかだったり。
でもこれは運だと思います。

ただ、運に限っては2秒間止まったことが大きく関係してる気がします。
例えばお店でご飯選ぶ時でも全ご飯の前ではルーレットが回ってて、どのタイミングでルーレットを止めるかで何を買うかが変わると思います。
ぐるぐる回ってるルーレットなんか2秒間タイミングがズレただけでアタリもハズレもコロコロ変わります。
書いてて自分でも意味が分からないですが、そんなことをずっと考えてるので目も回って体調も悪くなります。

ちなみにこの実験は「2秒間止まった人生はどんなものになるのか」を検証しているので最終的な結果は死んだ時に分かります。
ただ検証結果が出る時には死んじゃってるので分かりません。
2秒間止まってなかったらもう少し長く生きれたかもしれませんし短かったかも知れません。
どっちにしろ検証結果は分からず終いです。

そして小学2年生のとき2秒間止まっていたからこの文章を書いたんだと思います。

ただ、2秒間止まっていなかったときは何を書いていたんだろうと考えてしまいます。

それも2秒間止まったせいなんだろうなと思ったらまた体調が悪くなりました。

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