プランクトンの夢

きみには見えないか


都会のアスファルトを歩く
きみの足元におしよせる
時の波、銀河の波が
その目には見えない
波のくりかえし

あたかも砕け散る
海の波のように
押し寄せては引き
引いてはまた押し寄せる

きみには見えないか


きみの目の前の
その空気のひとかたまりを
たとえば
海の水をすくうように
きみの手のひらでつかまえ

そして降りそそぐ
太陽の日差しにかざせば
そこには無数の
目には見えない
プランクトンたちがいる

彼らも
確かにひとつの生命であり
ぼくたちをささえる生命であり
そして
ひとつの夢であり
限りない
その願いをいだきながら
空気中を
あてもなくただよい

いつか食物連鎖という
苛酷な道を通り抜け

彼らの夢は
ぼくたちへとたどり着く
ぼくたちの夢へと
たどり着くんだ

いくつもの涙をこえて

だから
きみには見えないか
そしてぼくたちも
時の波、
銀河の波の一部だと
彼らとぼくたちは
ひとつ、だと

きみには聴こえないか

時の波、
銀河の波のしおざいが

今も空気中を
ただよいながら
みずからの夢を
熱くきみに語りかける
プランクトンたちの声が

きこえてこないか

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?