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(詩)星景色

いつも見上げていたはずの
おやじとおふくろの背丈を
いつのまにか追い越して
その分世の中のことも
見渡せるようなつもりになって

あんなに大きくて
眩しかったはずの世界も
今はただ薄汚れ
せこせこして醜い
人間たちの集団に過ぎない、なんて
悟ったような
ふうをしてみてもむなしい

今はただまっ直ぐに見上げる
灰色の夜空のむこうの星の瞬き
それさえも
いつか見下ろしたり
見渡したりする時はあるだろうか
例えば
この肉体を脱ぎ捨てる時

砂漠のような宇宙のまん中で
ただひとりぼっちで見下ろす
幾千万年の星の群れ、星の海は
どんな眩しさだろう
星々の奏でる潮騒は
そしてどんな寂しさだろう

星景色
夜空の星なら
ただいつまでもじっと
見上げているだけでよかった

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