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(詩)見て見ぬ振り

ホームレスのおじさんが
路上に座り込んでいる
目の前を何人もの人が
通り過ぎてゆく

おじさんは
目の前を通り過ぎる人に
気付いている
通行する人々も
そこにおじさんがいることを
知っている

けれど互いに互いを
見ることはない
視線と視線とを
合わせることはない

その時視線は沈黙し
世界は無力と絶望とに覆われる
大人になっても
たやすく泣けたらいいのに、と
時に人は願う

視線が沈黙する時
瞳は
人には見えない
涙を流している

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