見出し画像

(詩)冬の弁当

冬の公園で
少女が弁当を頬張っている
膝小僧震わせながら
唇だって震えているかもね

居場所のない者に
誰がやさしい
この世界の中で

これで雨や雪でも降ったら
あの子は一体
何処へ行けばいい

この世界に
居場所のない者のために
この世界に
居場所のない者は

生まれてきたことを
恨むしかないか
居場所もないのに
生きろ、とは
殺生でっせ神様
生きる、とは
居場所を探す旅ですか
この肉体という
重い荷を背負いて

ならば体は、からだとは
かなしみの
かたまりでしかない
持て余した
あまりにも不器用な

人は心だけですら
かなしみで
いっぱいだというのに

冬の公園で
少女が
弁当を頬張っていた
寄って来た鳩に
向けた彼女の微笑みが
あまりにもやさし過ぎて

凍えたわたしの魂を
救うのに充分でした

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?