ストーブの石油を入れながら

冬の夜が好きだった
夢ばかり食べて
居眠りしていた頃

澄んだ星座を見上げては
ひとりぼっち
だれもみな
帰る星がある、と信じた

だからただかなしいのは
会えなくなることだけ、だと

はじめて
自分用の部屋をもらって
はじめて
自分用のストーブをつけて
くもった窓ガラス拭いては
星ばかり見ていた

だれもみな
いつか会えなくなるのが
辛くなるよな誰かと
めぐり会えると信じていた

ふりしきる粉雪を
よりそいじっと黙って
見ていたいよな誰かと
めぐり会うこと
夢見ていたあの頃

ふとさむさに気付いて
目を覚ますと
ストーブの油が切れていて

こごえそうな真夜中にひとり
油を補給しながら
わけもなくつぶやいていた

かなしくなるために
人は誰かとめぐり会うのだ
いつかさよならするために
人と人とは出会うのだ、と

まっすぐに
まっすぐな星座を見上げながら
つぶやいていた、冬の夜

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