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(詩)桃源郷

少女が笑う
春の予感

背中にかくした羽根が
うずうずしている

はじめて会った時のきみは
天使に見えたよ
だから思わず
デートに誘ってしまった

春の予感
だけど
まさかこんなになるなんて
知らなかったから

どうして人は
涙の泣きだめも
笑顔の笑いだめも
できないのだろう

冬の間に
もっといっぱい
泣いておけばよかった

初恋が失恋で終わった時
あんなにいっぱい
泣いたのになぁ


きみが笑う
春の中で

だけどもう
その背中のどこにも
羽根は見つからない
ぼくが
むしり取ってしまったから

それでもきみは笑う
人波の中で
ぼくを見つけたきみが
あの日の天使のように

すぐにもう
涙があふれそうになること
知っているくせに
それでもきみは

めぐり会った瞬間から
定められたさようならの
影におびえる癖を
覚えてしまったきみ

それでもぼくに向かって笑う
天使のように
きみの笑い顔だけが
さいごの楽園

きみのその笑顔だけが
ぼくの桃源郷だと、教えてくれる


※シーズンに合わせた再投稿です。

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