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中国福州隔離日記【DAY5】夜

きょうは日曜日。だからといって特にかわったこともない。

窓の外はきょうも曇り。この地方の秋は毎日が曇り空なんだろうかと思い、よくよく見てみると、窓に黒いスモークフィルムが貼ってある。窓の隙間からカメラを出して空を見ると、真っ青ではないけれど雲の隙間青い空が見えた。そんな朝。

朝食は7時40分に、体温測定は8時20分頃にくる。

体温さんがめずらしく言葉を発した。「サンスーリョウ」まできこえたのでもう1回聞き直すと、「サンスー・リョウ・ディエン・リョウ」みたいにいって、体温計を見せてくれた。つまり36度6分か、とききとれたことがすこしうれしく、同時に体温を教えてくれようとしたひとははじめてだったのでかげながら感謝する。そうだった。南の発音ではShi(10)はわりと単純に「スー」なるのだった、と懐かしく思い出す。

毛布をかぶってもうひとねむり。朝ごはんは、ダウンベストと毛布でくるんで保温しておく。

10時起床。
授業の録画を2本したほかは特別かわったできごともなくすぎた日曜日なので、本日の献立等、まとめておく。お昼は11時半に、夕ごはんは17時すぎにきた。

本日の献立一覧。

朝:白粥600cc程度。ザーサイ、茹で卵、ピーナッツ、バター卵蒸しパン(市販品)、牛乳。

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昼:冬瓜のニンニク炒め、厚揚げの煮物、筑前煮、レンコンの天ぷらオンライス、ついでに豚足の甘煮みたいなもの on ライス、ザーサイ、スペアリブスープ、ミニリンゴ的果物(昨日の残りか)。

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夜:焼きそば(ついに! 別パターン)、豚肉の巨大カツ on 焼きそば、魚丸スープ(福州名物)、リンゴ。

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焼きそばは特別おいしいわけではないけれど、あの緑パッケージのお弁当でないということで5割増しのおいしさに。じっさい、中華でよく食べるミニセロリが実においしい。

夜は、出所の日に滞在する福州の宿を探したり、新幹線のチケットを手配したり。自由に旅をするイメージは、それだけで楽しいものだ。

録画のあいまに、戸塚ヨットスクールのプロパガンダ映画と、東日本大震災の記録ドキュメンタリーなんかをみた。プロパガンダはほんとうにひどいものだった。家で暴れまくる青年が超暴力的スクールで打ちのめされ、なにが契機かはまったく描かれないまますなおちゃんになり、校長役の伊東四朗とじゃれあって冗談をいいあっている一方で、逃走を試みてたたきのめされ自殺した入所者に対しては、あの子の精神は最初から死んでいた、死んでいたものを生き返らせることはできない、なんて言葉をしみじみと口にする。狂気。かつて学校にいっていなかったじぶん自身の経験を思い出すと、ふとしたはずみでこういうところに送られてしまったりするのだから、教育や「矯正」をめぐる言説はほんとうにおそろしいものだとつくづく思う。

映画をみるなんて日曜日らしいこともした一日ももうすぐ終わりです。

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