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ショートショート| 伝説のリモコンサバイバル

天井に吊るされたリモコンがくるくる回っている。

教室に残った女子は11人。
皆、あのリモコンが欲しい。
あれは、好きな人をコントロール出来る、伝説のリモコン。
つまり、尾崎ゆうやのコントローラー。

「ね、協力しよう。あれを取らないことには始まらないから」
そう言ったのは私。
数人の女子が顔を見合せて不信感を顕にした。
無理もない。この中で唯一、私は尾崎の元カノなんだ。

その時、尾崎が教室に入ってきた。
真っ直ぐ私に向かってくる。
そして言った。
「明美、やり直そう」

女子たちが尾崎の後ろで集まり始めた。

体の大きな女子が4人、四つ這いになった。
その上に3人、2人と重なり、ピラミッドを作っていく。

「私とやり直すなら皆に言って!でないと……」

そのときだった。小柄なバスケ部のユミが、一気にピラミッドのトップに上り詰めた。

リモコンを手に取り、叫ぶ。
「こわれろ!」

ユミはリモコンのボタンを全て押した。
そしてリモコンを窓の外に、思い切り投げてしまった。



[完]


#毎週ショートショートnote

今週の課題↓

【行列のできるリモコン】のお題で、【青春の香る】ショートショート

よろしくお願いします°・*:.。.☆

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