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Photo by
yukiwo
ハシビロコウに恋をした⑦
後味の悪い夢の余韻に浸りながら、オフィス街を歩く。
家にいても落ち着かず、早めに出社することで、なんとなく気分を紛らわせたかった。
この時間ならば、まだ誰も来ていないかもしれないな。
誰か来る前に、小腹を満たそう。そう思い、会社に一番近いコンビニに立ち寄った。
パンコーナーを物色し、コーヒーの棚へ移動する。
「無糖ブラックかな、いや、疲れているから今日は微糖!」
人気のカフェとコラボしたアイスコーヒーにはまっている私は、手前の微糖コーヒーを取ろうと手をのばした。
すると、肩越しに、私の二倍の速さで伸びてきた手が、隣に陳列されていた、おじさんの顔が描かれた昔ながらのコーヒー缶をさっと取った。
手の動きの速さで生じた微風に、不穏なものを感じ振り返ると、その男性は橋羽さんだった。
「ぁっ」
思わず小さな声を漏らす。
踏ん張れ、私。もう一度倒れるなんてことがないように。
「あの、橋羽さん!」
裏返り気味に名を呼んだ。私の存在をたった今知ったかのように驚いてこちらに顔を向けた橋羽さんと目があった。
「ひっ!!」
必死で堪えても声が漏れてしまうのは、彼の目を間近で見たからだろう。
彼は彼で驚いている。
その目は、みごとな四白眼だった。
(続く)
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(私だけかな?)
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