「ハシビロコウに恋をした」第②話
「あ…、あ、そう。田代さん、詳しいんだねぇ」
びっくりした様子のパート従業員の女性に私は、すみません、と小さく言った。
私、なにを興奮してるんだろう。
今日は早く帰りたい。
17時ぴったりに退社して、その日は街をぶらついた。
ハッピーアワーのあるカフェに入り、一人で三種盛りのオードブルをつまみながら、海外の軽いビールを飲んだ。
まだ込み合う前の店内。カウンターの中の男性従業員と目があった。
仕事をしながらチラとこちらを見ただけだが、その上目遣いの視線から、昨夜の夢を思い出した。
体が急激に熱くなる。
あの人が、あの目が、私を捉えたまま…
ビールもつまみも半分ほど残して急いで店を出た。
昨夜の夢が蘇る。
恐怖と恥ずかしさでいっぱいになった。
どうして私、あの人に抱かれたんだろう。
(続く)
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