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パンデミック時にどんな人が孤独を感じたか?【論文紹介】

感染症流行時期には、感染症自体による健康問題はもちろんのこと、感染症やその対策にともなって、さまざまな問題が起こります。

その1つが「孤独」です。人間は社会的動物なので、ひとりで生きていくことはなかなか難しいです。孤独が心身に悪影響を与えることはさまざまな調査で明らかになっています。

今回は、「パンデミック時期に孤独を感じやすい人の特徴」と「孤独を感じる人は専門家に相談する傾向があったか?」についての研究論文をご紹介いたします。

今日の論文紹介「”孤独の流行”のリスクと助けを求めること」

3,722名のカナダ人を対象にオンライン調査が行われました。調査ではUCLA孤独感尺度などのアンケートへの回答が依頼されました。

その他、性別、同居家族の有無、年齢など、社会的状況についての属性情報についても尋ねられました。

ロジスティック回帰分析という手法を利用して、孤独を感じやすい人の特徴を検討しました。

研究の結果

若い年齢 (15 ~ 24 歳) 、女性、 COVID-19 の理由による休職、一人暮らし、周囲に仲間が少ない

といった要因が、孤独感と関連していることがわかりました。

決定木分析という手法を利用して、もう少し細かく見ていくと、COVID-19による休職をしている人の場合は、移民であることが孤独を増加させていました。

一方、「COVID-19による休職をしていない人の場合は、周囲に仲間がいないことが孤独を増加させる要因」でした。さらに、周囲に仲間がいる場合は、若年者であることが孤独を増加させる要因でした。

そして、孤独感とメンタルヘルスの相談をすることの関係性の分析では、「孤独を感じている人ほど、専門家の相談を受けやすい」ということがわかりました。

結論:社会的つながりは大切である

研究の結果から、さまざまなことがらが複雑に絡み合って、孤独を感じやすい状況ができあがっていることがわかりました。

ロックダウンの影響により、毎年恒例の友人や家族との時間を過ごせなかったことや、パンデミックによる疲労やCOVID-19による政策の変化が孤独を悪化させたのかもしれません。

仕事をしていたとしても、ソーシャルディスタンスや自己隔離をすることで、周囲とのつながりが制限されると孤独を感じやすくなる可能性があります。

仕事を休まざるを得ない要因には移民であることが関係している可能性もあり、社会的なつながりが少なくなっていることも考えられます。

そして、孤独を感じやすいほど、メンタルヘルスの専門家への相談が増加しているため、やはり孤独はメンタルヘルスには悪影響があることが考えられそうです。

こういった知識を、今後なにかあったときの備えとして、頭の片隅にとどめておくことが重要かもしれません。

どんな形でもだいじょうぶです、なんらかの形で、誰かと繋がっておくことはだいじなことなようですよ。

最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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筆者 あおきしゅんたろうは福島県立医科大学で大学教員をしています。大学では医療コミュニケーションについての医学教育を担当しており、臨床心理士・公認心理師として認知行動療法を専門に活動しています。この記事は、所属機関を代表する意見ではなく、あくまで僕自身の考えや研究エビデンスを基に書いています。

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