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教育における「フィードバック」の重要性

どうも、あおきです。医学部にて医学教育とコミュニケーション教育をする心理学研究者です。

この記事では「フィードバック」の重要性について話します。実は私もフィードバックの研究で論文を書いてまして、ご興味がありましたらこちらもご覧ください。

アクティブラーニングは、学習者が主体的に学び、考え、行動することで深い理解を得る学習法です。その中で、学びをさらに効果的にするために欠かせない要素が「フィードバック」です。

フィードバックは、学習者にとって自分の取り組みがどのように進んでいるのか、何がうまくいっているのか、改善すべき点はどこかを知る手がかりになります。

アクティブラーニングでは、フィードバックを通じて学びのプロセスを振り返り、次の行動に繋げることができるため、学習者の成長に大きな影響を与えます。

例えば、ハティのフィードバックモデルでは、効果的なフィードバックは次の3つの質問に答えられるものであるべきとされています。

まず、「私はどの程度うまくやっているのか?」という問いです。学習者は、現在の自分のパフォーマンスが目標に対してどの程度達成されているのかを知る必要があります。

次に、「私はどうやってそれをやっているのか?」という問いです。自分の取り組みや学習方法がどのように進んでいるのかについての具体的なフィードバックが求められます。

そして最後に、「次にどうすればよいのか?」という問いで、改善点や次のステップについて具体的なアドバイスが含まれたフィードバックが、学習者にとってさらなる学びを促します。

フィードバックの理論には、ハティのモデルのほかにもさまざまなものがあります。

たとえば、「360度フィードバック理論」では、学習者が自分の行動について多面的なフィードバックを受け取ることで、自己理解と行動改善につながるとされています。

これは、上司や同僚、部下、さらには自分自身の評価を組み合わせて、より総合的な視点から自分を見直すための手法です。

また、「体験学習理論」では、フィードバックは学習サイクルの中で経験を振り返り、概念化し、次の行動に移すための重要な要素とされています。フィードバックを受けることで、学習者は自分の経験をただの出来事として終わらせず、次の学びへのステップに変えることができます。

さらに、「リフレクティブプラクティス(省察的実践)」では、フィードバックは単なる情報の受け渡しではなく、学習者自身がそのフィードバックをもとに深く考え、自分の行動や思考を再構成するための重要なプロセスとされています。

これは、学習者が受け取ったフィードバックをどのように解釈し、次にどう活かすかを主体的に考えることで、持続的な成長が促されるという考え方です。

これらの理論はすべて、フィードバックが学習者の理解を深め、実践的なスキルを高めるための強力なツールであることを示しています。

アクティブラーニングでは、学習者が主体的に課題に取り組み、実際に行動し、試行錯誤を繰り返します。このプロセスにおいてフィードバックは、学びを深めるための指針となり、学習者が自分の取り組みを振り返るための重要なツールです。

たとえば、学生がグループディスカッションを行った後に、先生や仲間から具体的なフィードバックを受け取ることで、自分の発言の効果や改善点が明確になります。

フィードバックによって、次のディスカッションでどのように意見を述べればより良い議論になるのかがわかるため、学習者はより積極的に、そして効果的に取り組むことができます。

また、フィードバックは学習者のモチベーションを高める効果もあります。ポジティブなフィードバックは学習者に自信を与え、次のチャレンジへの意欲を高めます。

一方、建設的なフィードバックは、課題に対する新しい視点や改善の機会を提供し、学習者が成長し続けるための原動力となります。ポジティブな評価と改善のための具体的な指摘が組み合わさることで、学習者は自分の強みを活かしつつ、弱点を克服するための方向性を見つけることができます。

アクティブラーニングで効果的なフィードバックを提供するためには、いくつかのポイントがあります。

まず、フィードバックは具体的で、行動に焦点を当てたものであるべきです。たとえば、「良かったよ」だけではなく、「具体的なデータを使って説明した点がわかりやすかった」というように、学習者の取り組みが具体的にどの部分で良かったのか、またはどの部分を改善すべきかを明示することが重要です。

また、フィードバックはタイムリーであることが求められます。課題が終わった直後や発表の後など、学習者が内容をまだ鮮明に覚えているうちにフィードバックを提供することで、その内容が効果的に学習者に響きます。

さらに、フィードバックは学習者との対話を通じて行うことも効果的です。

単に評価を伝えるだけではなく、学習者と一緒に振り返り、改善点を考え、次にどうすれば良いかを一緒に話し合うことで、学びがより深まります。対話型のフィードバックは、学習者が自分の学びを主体的に捉え、次のステップへ進むための自信と方向性を与えます。

アクティブラーニングにおけるフィードバックは、単なる評価ではなく、学習者を次のステップへと導くための重要なツールです。

効果的なフィードバックを提供することで、学習者は自分の学びのプロセスをより深く理解し、成長し続けることができます。ぜひ、日常や教育現場でフィードバックを積極的に取り入れてみてくださいね。

それでは最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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