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ランニングとメンタル【研究紹介】
福島県の医学部で学生教育をしながら、心理カウンセラーをしたり、研究をしたり、YouTubeの運営をしたりしてるあおきしゅんたろうです。
今日は論文紹介です。運動がうつ症状の改善に良いことは研究結果から示されていますが、どのような運動がいいのでしょうか?
今回の研究では、運動の中でもランニングを取り上げ、うつがどの程度改善するかを調べました。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0165032723002239
うつ病または不安症障害141人が薬物療法とランニング療法を行う条件に振り分けられました(注)。
ランニング療法は、4か月間、45 分間の屋外ランニングセッションで構成されていました。
目標は、参加者がこれらの運動セッションに週に 2 ~ 3 回参加してもらうことでした。
参加者は運動テスト中の心拍数から計算されたトレーニング範囲が個々に割り当てられました。
ランニング療法の開始時に、ランニングセラピストは過去の運動経験について話し合い、食事、水分バランス、疲労、怪我、睡眠、回復に関する情報を提供しました。
ランニングセッションは、資格をもつトレーナーによって実施および監督され、10分間の準備運動から始まり、その後、割り当てられたトレーニング範囲内の心拍数を維持する強度で30分間のジョギングが行われ、5 分間のクールダウンエクササイズで終了しました。
ランニングセッション中、参加者全員が心拍数モニターを装着し、セッションごとに心拍数が 3 回確認されました。
治療開始前と4か月後の治療後評価で、精神的健康指標と身体的健康指標が測定され、効果の基準とされました。
参加者141人のうち、45人が抗うつ薬治療を受け、96人がランニング療法を受けました。
研究結果としては
治療開始前よりも治療後の評価において、抗うつ薬とランニング療法のそれぞれでうつ症状が改善している
ことがわかりました。
運動はメンタルヘルスに一定の効果があり、ランニングでも十分な効果が得ることができそうです。
ただし、この結果は監督付きの治療条件下でのランニングの効果であるため、ランニングをすること自体が治療効果に直結するとは限りませんし、また、お薬による治療の効果を否定するものでもありません。
また、参加者の大半が好きな介入方法を選んでいるため、好みのことをしていることによって効果が得られていることが考えられます。
特に現在、精神疾患をお薬で治療されている方は、お薬を自己判断で辞めることはせず、主治医と相談しながらランニングを併用して取り入れたり、日常の健康維持のためにランニングを取り入れるのが良いと考えられます。
日常生活の中にランニングを取り入れることは、なんらかのポジティブな効果が得られる可能性があるので、私もそろそろ走ってみようかなあなんて思っております。
注 この研究の対象者の一部は無作為割り付けをされていましたが、大多数は自らが望む治療を選択できました。この研究結果をより科学的に検証するためには、無作為化対照試験を行うことなどの追加の研究が必要なことをご理解ください。
それでは、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
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筆者 あおきしゅんたろうは福島県立医科大学で大学教員をしています。大学では医療コミュニケーションについての医学教育を担当しており、臨床心理士・公認心理師として認知行動療法を専門に活動しています。この記事は、所属機関を代表する意見ではなく、あくまで僕自身の考えや研究エビデンスを基に書いています。
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