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心理学を社会に応用すること【心理学リテラシー】

心理学を使って生活を豊かに!がわたしたち心理学者の情報発信のスローガンなわけですが、「心理学を生活に応用する研究ってあるのかしら?」とふと思いました。

少し調べてみたところ、この手の分野の研究概念として「心理学リテラシー」というのがあるそうです。

リテラシーというのは、当該分野の知識を持ち、それを生活に応用するといった意味合いの用語です。つまり、心理学の知識を持って、それを生活に応用するということです。

本日はこちらのレビュー論文から、心理学リテラシーについてさわりの部分をご紹介します。

心理学リテラシーとは、「個人的、職業的、社会的ニーズを満たすために心理学を適応的かつ意図的に応用する一般的な能力」です。

Miller が、「料理をする人が化学者であるのと同じように、誰もが心理学を実践している」と述べていることと同じように、心理学は「科学的に有効な原則であると私たちが考えていることを意図的に活用するために、心理学をよりよく活用できるように教える必要がある」と述べています。

先日の記事でもお話ししましたが、

心理学で解決できる社会課題は多いと思います。ただし、どれも逸話的なレベルの話で終わっており、研究や実装はなかなかされていません。

海外でリストアップされている心理学で解決できる課題(Psychology Works Fact Sheets)は増え続けていて、メンタルヘルス、運動、ストレスマネジメント、就職面接の実施もそうですし、産業組織心理学やポジティブ心理学の知見も有効活用することができます。

しかし、心理学は専門的・学術的分野としてみなされることが多く、社会実装のために研究者が連携する機会はこれまで少なかったのかもしれません。

それに加えて、医療職の専門家や政策関係者など専門家の間でも、心理学リテラシーが高いとは言えない状況が海外で続いているようです。

さまざまなかたがたの心理学リテラシーを高めていくことが、社会課題を解決していくために重要なことのように思います。

心理学リテラシーのスキルには以下のようなものが含まれます。

心理学の基本概念と原理を理解する
批判的に考える
問題解決能力を持つ
科学研究の実践を理解する
さまざまな状況でうまくコミュニケーションする
個人的、社会的、または組織的な問題に心理学の原則を適用する
倫理的に行動する
文化的能力を持ち、多様性を尊重する
自己と他者の認識と理解を持つ

(McGovernら、2010)

論文の著者らは、これは心理学に限らずに、いろいろな学問にも該当するじゃんという批判的吟味をし、さらに踏み込んだモデルを提案していますので、ご興味がある方は追加で読んでみてくださいね。

今日のところは「心理学リテラシー」という概念があるそうだよというご紹介にとどめておきたいと思います。

わたしたち心理学者はこういった観点から効果指標を取って、研究を進めていくことが、心理学の普及とそれに伴う社会課題の解決につなげていけるんじゃないかなと考えました。

続きは、またどこかで紹介します!では最後までお付き合いいただいてありがとうございました。

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筆者 あおきしゅんたろうは福島県立医科大学で大学教員をしています。大学では医療コミュニケーションについての医学教育を担当しており、臨床心理士・公認心理師として認知行動療法を専門に活動しています。この記事は、所属機関を代表する意見ではなく、あくまで僕自身の考えや研究エビデンスを基に書いています。

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