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心理学を普及するにあたって考えたほうが良さそうなこと【ミーティングのメモ】

いま行おうとしているとある研究計画書で「心理学を普及するにはどうしたらいいか?」を考えています。

心理学っていろいろな仕事や生活のなかのできごとに対応するための基盤となるスキルだったりします。

しかし、専門的な心理学は普及せず、むしろ血液型占いだとか、HSPだとか、曲解された形で、誤った知識ばかり普及されていく世の中です(エンタメ性があるからね)。

というところを打開するのに、アクティブラーニングを使ったりなんだりして、心理学を普及していって、生活をより良いものにできるようにという研究をしようと思っています。

という話を同僚の先生にしたところ以下のようなアドバイスをもらったので、メモ書きですがここに残しておきます。

アクティブラーニングを通してなにがしたいか?

アクティブラーニングというのは、自分自身が考えて、あるいはいろいろな人の意見を聞くなどして学習を進める方法で、講義形式の一方的に聞く授業と対比して捉えられます。

アクティブラーニングというのはあくまで方法論なので、それを通じて、どういうプロセスが想定され、知識伝達に寄与するというメカニズムを考えたほうがいいという話。

認知的負荷が高いほうが学習が進んだり、他の人の話を聞くことで気づきにつながることで、知識定着が進む。したがって、アクティブラーニングをするという書き方ではなく、上記目標を達するために、方法論としてアクティブラーニングを選択するという流れにする。

方法論を押し出すことで薄く見えてしまうこともあるし、形上アクティブラーニングをおこなうだけでは、意味がないという指摘が多々あるので、アクティブラーニングをおこなうことではなく、そのプロセスに着目して伝えるようにしたほうがいい。

セッティングは?

私の計画書では大学での専門教育で一方的に伝えるスタイル、なおかつ難解であることをテーマにしつつ、方法論では、地域住民を対象にした普及にも焦点をあてていました。

心理学の専門教育を進展させるという文脈では、大学教育の場面での心理学教育に焦点をあてたほうがいい。一方、専門教育は、今のままで良くて、難解なことを理解するのが学問であるという発想もある。

地域住民の心理学に対する誤解を解いていくという文脈の場合、自己啓発やセミナーのようなものが競合になるのかも?あるいはばっちこい心理学が既存で、プラスアクティブラーニングを加えるのがポイントになるのかも。

対象者は?

心理学がベーシックスキルで、就労で必要なスキルというのがあるのであれば、成人の学び直しに使うというよりも、小学生から高校生くらいまでで行っていくのがいいのかもしれない。

高校生では、心の健康教育はもうすでに走り始めている。理科の授業でも条件づけ理論などは学ぶらしい。

小学生から高校生くらいまでがまだ考えが変わりやすいので、なるべく早い対象者に絞るのがいいのかもしれない。

科学的ではなく主観に頼ってしまう

これは心理学に限らず、社会全般の課題であるかもしれない。じぶんの経験に近い事柄であり、納得感の多い現象を取り入れやすいという性質を人間は持っている。

心理も教育もじぶんが経験してきているので、そんなことは知っているとか、正しいことを伝えても、そうじゃないとなりがちになってしまう。

心理学は科学的な学問であるが、実験心理学の手法が作られてから、まだ100年もたっていない。エンタメ色が強いポピュラー心理学ばかりがひとのこころに残り、ただしく、科学的な心理学はなかなか普及していない。

エンタメ色の強い心理学はすべてがというわけではないが、間違った知識もとても多く、それによってトラブルが発生したりする場合もある。

そういったジレンマを直接伝えていくことが必要なのではないか?

心理学のどの要素に注目するか?

心理学と言っても本当に多くの理論があって、哲学的な要素もあるし、行動科学的な要素もある。どこの部分に焦点をあてて、どういった困りごとを解決できるかというイメージをもてると、具体的になにをしてもらえるのか?が理解できる。

心理学はベーシックスキルなので、どんな対象にも役に立つが、拡散し過ぎるとなにをしたいのか?となるので、なんらかのかたちでポイントをしぼっていくとよさそう。

わたしとしては学習理論、行動分析学、コミュニケーション、集団過程、認知バイアス、臨床心理学の認知行動理論などといった要素を駆使して生活を豊かにしていけるのかなと考えています。

今後は、ふだんの困りごとをお伺いしていって、それを一般的にどのように解決していったらいいか?をアンケートをとったり、心理学的な解決策を検討していくということが必要になりそうです。

ご意見をうかがえてとても参考になったので、今後も頑張って取り組んでいきたいと思います。

それでは最後までお付き合いいただいてありがとうございました。

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筆者 あおきしゅんたろうは福島県立医科大学で大学教員をしています。大学では医療コミュニケーションについての医学教育を担当しており、臨床心理士・公認心理師として認知行動療法を専門に活動しています。この記事は、所属機関を代表する意見ではなく、あくまで僕自身の考えや研究エビデンスを基に書いています。

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