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人と比べて落ち込む【心理学】
「隣の芝生は青く見えるという言葉があります。どうしても自分を比べて不足しているものや持っていないものがあることを意識して落ち込んでしまう時があります。比較しても幸せになれないことは頭で分かっていますがついつい考えてしまいます。そのような時の心の持ち方やおすすめの行動があれば教えていただけないでしょうか」
お便りいただきありがとうございます!
(音声で聞きたい方はこちらからどうぞ)
比較して落ち込んでしまうという話はよく聞きます。このnoteにいただく質問でも高頻度でこの話題が出てきます。
以前noteで書きましたが、比較がないとその良さがわからないということがあります。
逆に言うと、比べるポイントが優れている場合、自分けっこういけてるじゃんって感じのポイントでも比較しないとわからないので、比較しなくするっていうのは難しいと思います。
社会心理学者のレオン・フェスティンガーたちの研究グループは、たくさんの比較の仕方を心理学的に研究しています。下方比較、上方比較、ポジティブ・イリュージョンなど色々あります。
人間に備わっている心理学的な能力なので比較しないっていうのはなかなか難しいです。
比較しないで生きるっていうのは真っ白くて何もない部屋にずっといるっていうの同じことです。なので穏やかに過ごしてる人でも、何らかの形で比較はしているということになります。
ただ自分にとってそんなにネガティブにならないように比較をしているっていうことなのかなと思います。比較を柔軟にすればいいということです。
例えば隣の芝生と比較しなくてもいいかもしれないですよね。うちの庭の方が狭いけど、ヤシの木生えてるぞとかそんなんでもいいかもしれません。
自分より上の部分ばかりを見てしまうと結構しんどいんですけど、自分のほうが良い部分もあるから、そういうのを比較するのもいいかもしれません。
そういうように比較を柔軟にすると、落ち込んだりしづらいのかなと思います。
最後に、この人と比べて自分はこうだということ事体を、自分にとって良くないことだと判断しなければいいという側面もあります。
隣の芝生は青く見えたときに、「あ、青ですね、はい」「うちの芝は赤いんですよ」というような話です。
この赤い青いがいいというのは個人(や社会)の価値判断みたいなところがあります。この価値判断がなければ、青も赤もその人にとってよければいいということです。
テストの点数が80点と100点の違いがあったとして、それが意味のない社会圏であれば意味がなくなります。
自分は自分でそれでいいかなで良いのだと思います。比較がないと白い部屋になっちゃいますけど、比較をしたとしてそれでいいやと思えれば落ち込んだりはしなくなるかもしれません。
この人がこういう特徴、自分はこういう特徴なんだで良いんじゃないかなと思います。
社会心理学者レオン・フェスティンガーは、他人と自己を比較する心理的プロセスに関する研究で知られています。彼の理論には、特に「社会比較理論」があり、これは人々が自己評価を形成するために他人と自分を比較するという考え方です。この理論には、下方比較(自分より劣っていると感じる他者と比較すること)と上方比較(自分より優れていると感じる他者と比較すること)が含まれます。
下方比較: これは自己評価を高めるために使われることが多いです。自分よりも不利な状況にある他人と自分を比較することで、自己の状況をより良く感じる効果があります。
上方比較: これは動機付けを高めたり、自己の目標を設定する際に用いられることがあります。しかし、自己評価を下げる可能性もあります。優れた他者と比較することで、自己の欠点や改善の必要性を認識することができます。
ポジティブ・イリュージョン: 自己過大評価、過度の制御感、楽観的な将来観の三つの認知的歪みを指します。これらは個人が自己の能力や結果を現実よりも良く見る傾向があり、一定の状況下では心理的幸福を高める効果があるとされています。
フェスティンガーの研究は、人々がどのように自己評価を形成し、自己のアイデンティティと自尊心を維持するために他者と自分を比較するかを示しています。これらの比較の仕方は、個人の幸福感や自己認識に大きな影響を与えることが知られています。
それでは最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
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筆者 あおきしゅんたろうは福島県立医科大学で大学教員をしています。大学では医療コミュニケーションについての医学教育を担当しており、臨床心理士・公認心理師として認知行動療法を専門に活動しています。この記事は、所属機関を代表する意見ではなく、あくまで僕自身の考えや研究エビデンスを基に書いています。
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