熊野古道へようこそ! ブータンから客人を案内する/巡礼と対話のファシリテーション
昨日までブータン王国の王女様とそのご子息ご一行を熊野古道に案内していました。
ある巡礼プロジェクトの会議ファシリテーションをお引き受けしたご縁から「それなら海外ゲストといっしょに熊野古道を歩くのはどうでしょう?」と提案して実現したお話し。GNP(国民総生産)ではなくGHP(国民層幸福度)を大切な指標にしたことで知られるブータンの方々は、いずれも礼儀正しく、正直で、よき人たちでした。
熊野滞在の3日間、僕は熊野生まれの現地コーディネーターとして、移動ルートの設定や、食事のチョイス、体験コンテンツのチョイスなどを担当しました。また、2人のご子息や、同行の僧侶3名といっしょに地元食材を買い出して、料理を楽しむ時間もあり、かなり面白かったです。とくにブータンの僧侶は料理の腕前が素晴らしく、手際よくカレーやサラダや炒め物をつくってくれまた。いやぁこれが美味かった。彼らのご飯を食べにブータン行きたくなったわ。全皿カレーのときもあるらしい。別れ際に、王ケザン女殿下が「ブータンに来たら案内するよ♪」と言ってくださったのが嬉しい。いつか行きたいな。
食事のあとは熊野比丘尼による熊野曼陀羅絵解き。福辻さんの英語による曼陀羅トークは素晴らしく、ブータンの僧侶も子どもたちも食いついて質問してました。かつて熊野信仰を日本全国に広めたのは熊野比丘尼と呼ばれる女性達です。曼陀羅絵図を使って熊野信仰を広め、喜捨を集め、各地から熊野詣の方が来る流れをつくりました。福辻さんの地獄・極楽→那智大社と熊野信仰 に関するお話しを聞いた後は熊野古道のフィナーレ、大門坂へ。
苔生した大門坂を登り、那智の滝を遙拝しました。一昨日まで怒濤の雨だったこともあってたっぷりの水量の滝に感嘆。青岸渡寺、那智大社と最後の階段を上って、最後は平重盛のお手植えと伝わる樹齢800年のクスノキの胎内巡りをしての満願。短期間の滞在ながら、充実した熊野タイムをお過ごしになられたのではないかと思います。
巡礼の旅のあいだ、通底する問いは「いかにして私たちはよき祖先になれるか」です。巡礼のリーダー松本紹圭さんが翻訳したこの本に出てくる問いは、いつ、誰に問うても、よき対話が可能な素晴らしいもの。
ブータンの若きご子息たちに同じ問いを出すと、自身のお祖母さんの話や、先代の国王の話など、自分自身にとっての「よき祖先」を話してくれた。そして「どうやったら、私たちがよき祖先になれるだろうか? そのために何ができるだろうか?」と問うと「時間をかけて、じっくり考えたい」という言葉が返ってきた。思慮深い答えだ。
ご一行は熊野を離れ、京都へ移動。僕は南紀勝浦の桟橋で、皆を見送ることになった。日本での滞在、とりわけ熊野の巡礼の道で感じたことを、ぜひ母国に持ち帰り、それぞれに活かしていただきたい。
このプロジェクトに関わらせて頂けて、とても嬉しかったです。ありがとうございました。
今回、海外のゲストに熊野をご案内できたこと、僕にとっては素晴らしい経験になりました。幾度も下見をし、(不完全ながらも)3日間を英語で話し、沢山ある要素のなかで何を削り、何の時間をとるか、逡巡しました。その上で感じるのは「1000年続く巡礼の道・熊野古道を案内し、その場で対話するファシリテーションを、ライフワークにしていこう」ということ。
青木マーキーといっしょに熊野を歩いてみたい、熊野での対話に関心があるという方は、ぜひお問い合わせ下さい。どのような人数規模、対象の方にもフィットする提案を差し上げます。僕は、対象に応じてオーダーメイドで宿泊や食事や過ごし方を考えて提案するのが大好きデス。
また、とても法螺貝が上手な山伏さんとの出会いも衝撃でした。宮下覚詮さんという熊野・大峰山で修行なさった経験豊富な山伏さんでした。終始とても楽しく、深く、ユーモラスに山を歩くことができる素晴らしい先達と感じました。またいつかいっしょにお仕事したいな。
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