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変わる就活とAO・推薦の関係:中編【高大接続から“高大社”接続へ】

前編【米国の巨大教育カンファレンスNACACに学ぶ】

前編では、高校と大学をつなぐ人財の育成と選抜の共通見解が、NACACという全米教育カンファレンスにより形成されているアメリカの事例をご紹介しました。

これはまさに、今、日本が進めようとしている教育改革の柱である「高大接続」の一つのあり方ですが、残念ながら、日本の教育はまだまだ分断されています。

特に、大学受験における知識偏重のシステムが、実社会で必要な力とはかなりかけ離れていることは、すでに以前から指摘されてはいますが、なかなか是正されないまま今に至る、という状況です。

そこに一石を投じる枠割を果たそうとしているのが、AO・推薦入試であり、この選抜は結果として企業の採用試験と非常に構造が似ている選抜プロセスです。

であれば、、、
と、ふと考えることがあります。

それは、“人財の採用や育成について、大学と社会がもっと協働することはできないものか?”ということ。

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そもそも企業は、もともとがAO・推薦入試のようなスタイルの選考です。
エントリーシートなどの書類審査や面接審査など、「自社の組織が求める人財」を発掘し見極めるためのナレッジについて、それなりの蓄積があるはずです。

一方、大学側の実情は、AO・推薦入試が増えてきたといっても、まだ歴史が浅く、自学とマッチングする人物や将来の伸び代のある人財を評価できるかは発展途上と言えるでしょう。

さらに、企業は、これからのアフターコロナの時代、その雇用の方針について、大きな変化が求められています。

それは、これまでの日本の雇用の主流だった「人に仕事を割り当てる」といった「メンバーシップ型」雇用から、海外の企業のような「仕事に対して人を割り当てる」という「ジョブ型」雇用への移行です。

日本企業の大前提だった、会社が社員の育成まで面倒を見るような新卒一括採用による終身雇用制度では、同じ会社に居続けさえすれば確実に給与があがり、社員側には安定した生活が送れるメリットがありました。また、企業側にとっては、それにより社員の離職が防げるという効果もあります。

しかし、こうしたスキームでは、人財がもつ専門性や特化したスキルは、なかなか磨かれません。

これからは、さまざまな人財の能力を集約し、ダイバーシティの中でこそ生まれる新しい事業や特化したサービスが提供できなければ、大企業といえどもなかなか生き残れない時代です。

ところが、一律と一斉を旨とする「メンバーシップ型」雇用では、そうした個の人間の特化した能力を発掘したり、活用したりすることはなかなか難しいわけです。

そこで、注目するべき選抜が、実は、大学受験のAO・推薦入試なのではないかと私は考えています。

何故ならば、AO・推薦は、まさに「ジョブ型」雇用のような考え方による選抜だからです。
この入試では、出願者自身が、自らの「研究テーマ」を明確にした上で、その研究を推進するために、いかに自分の「資質や経験」が活かせるかをアピールする必要があります。そして、それらが大学・学部が求める人財像と一致しているかで採用が決まるのです。

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これは、これからの企業の採用に十分に置き換えられる発想です。
それにより、入社後にどんなプロジェクトを推進できる人財であるか、人財固有の資質によって、職務に応じた採用を行う「ジョブ型」雇用が可能になります。

私は、大学と企業とがそれぞれに有している見識を共有し合い、相互に補完しながら人財採用の新しい形を模索する取り組みが進めば、大きな意義が見いだせるのではないかと思います。

教育改革の一つのテーマである「高大接続」の本質は、実は、「高大社接続」にあるのではないでしょうか。

(後編につづく)

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