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大学改革とESG投資から見える次世代人財:前編【ミッションドリブンのデジタルネイティブ】

こんにちは。日本アクティブラーニング協会理事の青木唯有(あおき ゆう)です。本協会が運営する「AO・推薦入試オンラインサロン」のナビゲーターを務めています。

本ブログでは、これまで20年以上に渡ってAO・推薦指導に携わってきた私の経験から、AO・推薦に象徴される「大学受験の大きな変化」から見えてくる様々なことを、ほぼ毎日お伝えしています。

このような情報や視点を、特に保護者の方に認識いただくことで、大学受験を通じて形成される親と子の自立した関係「親子軸」を育むヒントにしていただければ幸いです。

さて、「ESG投資」という長期投資についてご存知でしょうか?

Environment(環境)、Society(社会)、Governance(企業統治)の頭文字をとり、この3つの観点から企業の将来性や持続性などを評価・分析し、投資する方法のことです。

決算書などの財務情報に現れる収益性のデータを判断基準にする投資とは異なり、ESG投資では、財務情報には表れない、環境問題、社会問題に対する企業の取り組みや健全な企業統治などが、投資判断となります。

実は、短期的な収益性だけを重視する企業よりも、ESGの指標が高い企業は事業の持続性が高く、かつ、投資リターンが大きいことから、近年ではの指標が投資の主流になっています。

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何よりも、世界全体が一丸となって推進しようとしているSDGsの達成(参考記事:世界に通用するSDGsポートフォリオ教育:前編)を後押しする投資であり、「新たな事業の可能性」と「実社会の課題解決」の両立に対して企業を評価するという点が特徴的です。

企業にとっても、ESG投資が盛んになることで、経済合理性だけを重視しているだけでは見出せなかったチャンスに改めて目を向ける契機となり、新しい市場を切り開く原動力になります。

ESGは企業の価値を再構築する新しい指標だと思われがちですが、実は、日本の企業は、もともとSDGs的な「社会の持続可能性に配慮した課題解決型事業」を推進する素地が強いと言われています。

ところが、世界の投資家からの評価は、欧米企業に比べて日本企業の方が圧倒的に低い傾向にあります。

これは一体、何故なのでしょうか? 

その大きな要因が、「ESGへの企業としての取り組みが、結果としてどのように収益に繋がるのか?」といった、財務諸表には表れない企業価値について、明確に説明できるプロフェッショナルがいないことにあると言われています。

私は、この、日本企業のアカウンタビリティーの低さを解決する存在が、デジタルネイティブ世代と言われる、今の10〜20代の人財なのではないかと思っています。

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彼らのキャリア観や価値観、購買行動は、これまでの大人たち世代のそれとは全く異なります。
安定した仕事に就き結婚し、子供を産んでマイホームに暮らしながら、週末はマイカーでドライブ、、、といった分かりやすい幸せの定義ではなく、むしろ、不条理で未完成な社会の課題にリアルに向かうことを好みます。

デジタルネイティブ世代は、マネードリブンではなく、ミッションドリブンなのです。

これは、私自身、これまでAO・推薦入試の指導で沢山の10代の人財と出会ってきた経験から、まさにその通りだと実感しています。

大学合格の可能性を広げるためにAO・推薦入試にチャレンジはするものの、志望理由や研究テーマを模索する中で、最終的には、合格すること以上に、自分の「ミッション」が明確になり、「人生の行動指針」を見出せたことに最大の価値を置くようになるケースがほとんどだからです。

(中編につづく)

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