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AO・推薦対策のための塾・予備校は本当に必要か?:後編【負の連鎖に注意!】

<参考記事>
AO・推薦対策のための塾・予備校は本当に必要か?
前編【その結論は…?】
中編【Win-Win入試のカラクリ】


以前、就職活動中のある学生から、こんな話を聞いたことがあります。

「私は、大学受験の際、志望していた国立大学に落ちてしまい、第三志望だった大学に通っています。これまで誰にも言えなかったのですが、大学入学以来、4年間ずっと『自分は敗者だ』という思いを抱えたまま、学生生活を送ってきました。」

この言葉を聞いた時、教育業界に身を置く存在として、胸が詰まる思いになりました。もちろん、人生は常に不条理なものですし、そうした経験がむしろ成長を促すこともたくさんあると思います。

私がこの学生の言葉から感じたのは、受験システム自体が生み出してしまう、数字には決して現れることのない潜在的な問題です。

前回の記事で取り上げたように、10人に1人の大学中途退学者は、数字として健在化しています。
もちろん、個々にさまざまな事情があると思いますので一概に言うことはできませんが、たとえ中退という形であったとしても、「自分には合わない」と感じた環境から離れる選択ができれば、自分が望む世界に出会える可能性に繋がります。

当たり前のことですが、当落ラインが設定される受験システムからは、2割の合格と8割の不合格が毎年生み出されることになります。そうした受験システムによって、自分のやりたいことも不明確のまま、ただただ「現状は不本意である」という感覚を持つ入学者が、大学の8割を占めているのだとすれば・・・?

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「AO・推薦入試のための塾・予備校は必要か?」という本題に戻りましょう。

今回の記事の前編で、「AO・推薦受験の価値は合格一択という考えで、塾・予備校に通わせるのは危険である」とお伝えしました。

とにかく受かりたい、勝ちたいという合格史上主義のみで臨むと、「AO・推薦はマッチング」という本質を見失っていきます。効率を求め、ショートカットでの合格を手にする方法論のみを欲するようになるでしょう。

合格と不合格の一律の線引きが可能である受験システムであれば、そうしたニーズに応えるサービスもあると思いますが、そのモデルを、AO・推薦入試に当てはめることはできないのです。
合格のためのテクニックやノウハウを教えてもらうことばかりに基準を置いてしまうと、先の事例のような負の連鎖に自分から飛び込んでしまうことになりかねません。

AO・推薦の本来の価値を、忘れてはいけません。

AO入試を早くから導入している東北大学は、その価値について「“やる気”のある学生の採用」と述べています。
そのために、試験の目的や大学が目指している方向などについて、受験生を送り出しバックアップしている高校の先生方と、丁寧な対話を繰り返しているそうです。

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手間はかかるかもしれませんが、このように、「試験に送り出す側(高校や塾・予備校)」と「採用を行う側(大学・学部)」の丹念なすり合わせ、つまりマッチングを重視しているところは、必ず伸びると思います。
実際に、東北大学は、2020年のタイムズ・ハイヤー・エデュケーション世界大学ラインキングにおいて、国内総合1位となっています。私は、同大学がAO入試に力を入れていることが、こうした国際評価の向上に繋がっているのではないかと思っています。

AO・推薦入試の本当の目的は、受験生と大学とのマッチングプロセスであり、出会いの場そのものがこの選抜形式の価値です。

自分を知る方法を獲得し、大学や社会を健全に見つめる目を肥やし、その中での自身の役割を認識し、自らで行動する力を育むものです。

この考えに至った時に、AO・推薦対策のための塾・予備校の必要性や選択基準も自ずと定まるのではないでしょうか。

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例えば、、、

□その塾・予備校は、その強みを合格実績のみに依存していないか?
□その塾・予備校のカリキュラムは、受験生の個性や意欲、願いを引き出すものか?
□その塾・予備校は、大学・学部の価値を偏差値だけで捉えていないか?
□その塾・予備校は、親と子を繋ぐような、世代の違いを超えて共有できる人財育成観を持ち、実践しようとしているか?

AO・推薦のための塾・予備校を検討する際の参考にしていただければ幸いです。

次回の記事からは、AO・推薦入試には欠かせない、「親が知るべきポートフォリオ教育の極意」についてお伝えします。
ぜひ、お楽しみに。

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