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先にロゴを決めちゃわないで

「ブランドを立ち上げたい。
 コンセプトとロゴは決まってます。
 プロダクトはまだこれから開発します。」

これ、すごくよくある話なんですけど、スタートとしては筋が良くない方法です。

例えるなら
「セッションしたことない。一曲も作ってない。でもバンド名とステッカーだけはできてます

っていうくらい「あれ?」って話なんです。

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とはいえ、わかりますよ!その気持ち!!

僕だって20歳の頃とか。友人たちとチーム名を考えてステッカーやTシャツを作ってみたりしてました。何もしないのに。

TENTのデザイナー、治田(ハルタ)さんは、小さい頃、漫画家になりたかったそうなんですけど

「ペンネーム考えて、どんなサインにするか悩んでた。漫画一本も描いてないのに。」とのこと。

おお。誰もが通る、甘酸っぱい青春時代。


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旗を上げるとやる気が出ますよね。
やる気は大切。

だから、後から変更する前提の、あくまで「(仮)」のロゴやコンセプトであれば、全く問題ないんです。

問題なのは、プロがガッチリ作ったコンセプト資料とロゴデザインが存在し、決定しているにも関わらず、何を作るかが具体的に決まっていない状態です。

もちろん、そこからスタートしても何かを作り上げて発表することはできるんですけど、その取り組み(ブランド)が持続できる可能性は低い

コンセプトやロゴがどれだけ立派でも、プロダクト(製品、コンテンツ、サービス…etc.)そのものに圧倒的な価値が無い限りは、取り組みを持続するための燃料(例えば売り上げなど)は得られないんですよね。

はじめに、圧倒的に魅力あるプロダクトを、1つで良いから作る
まずはそこから始めたいものです。


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ではなぜ「最初にロゴとコンセプトだけを確定する」という進め方が蔓延しているのか。

原因は2つあると思ってて

1つ目は
普段お買い物するときって、
名称 → コンセプト文 → 製品詳細
って順番で見ることが多いから、それに縛られてるのかなと。

2つ目は
偉い人にプレゼンテーションして予算を獲得しないと、プロジェクトのスタートを切ることができないという仕組みがあって。プレゼンテーションの体裁を整えるために、大風呂敷としてのロゴとコンセプトを作っちゃうのかなと。



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持続できる取り組みをスタートするには、小さく具体的なところで圧倒的な魅力を構築した上で、その魅力を分析し、大きく抽象的な魅力を構築していくのが良いんだと思います。

かの有名なNikeだって、ブルーリボンスポーツ社の時代にバウアーマンが開発したソールを搭載したシューズが大ヒットしたことが始まりで。社名もロゴもスローガンも、ずいぶん後から作られてますし。SONYだって、東京通信工業でしたし。

今や大きなブランドも、そのほとんどは、ヒット商品が先にあり、そのあと時間をかけて、ブランド構築のパーツを作っていった。

僕たちがやっているプロダクトデザインや製品開発の現場で言うなら、製品の試作を十分に使って、その製品の本質的な魅力を十分に理解した上で、製品名やブランド名は決定すべきだと思っています。


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では最後に、
手前味噌で恐縮ですが、TENTが関わったお仕事で事例を上げていくと

象印さんのSTAN.は、シリーズのプロダクトデザインを見たFLATROOM種市さんが、その立ち並んだ佇まいから着想を得た名称です。

DRAW A LINE は、一本の棒だけで棚を作ることができるという製品アイデアがあったからこそ決定した名称です。




フライパンジュウに至っては、プロダクトができてないと思いつきもしない名称です。

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ロゴマークとコンセプト文を作っただけでテンション上がっちゃうのは、甘酸っぱい青春時代に置いといて。

大人になった僕たちは、具体的なモノづくりからスタートしていきましょう!!

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この記事はidontknow.tokyoのポッドキャスト「知らんがなラジオ」を元に作成しました。



この話に関連して「らしさの沼」が存在するのかもしれません。
https://note.com/aoki_tent/n/n2ce5a4cfad5e



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