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「作品」じゃなく「試作品」を作ろう!

2022年1月
代官山ティーンズクリエイティブという場所で、僕たち idontknow.tokyo がこんなワークショップを開催しました。

こどもプロダクトデザイナーになろう

〜考えて、作って、試して、おうちで使える道具を発明しよう〜

参加者は渋谷区在住の、元気いっぱいな小学生たち。

まずはこんな話から始めました。

そもそも「プロダクトデザイナー」ってどんなお仕事か分かる人?

うん、誰もいないみたいなので説明しますね。

この「プロダクトデザイナー」って言葉を調べると、いろんな言い方があるみたいなんだけど。

ざっくり僕たちがやっていることを言うなら、こんな感じ。

「なんか嫌だな」を解決するための、素敵な道具を作る人。
これが、僕たちのお仕事です。

それってどういうことかを具体的に説明すると

たとえば

家の鍵が尖っててガチャガチャするのが、なんか嫌だなあって僕は思いました。

だからなんとかしたくて、こんなものを作ってみました。ジャーン!

鍵がムニュっと出てくる柔らかいキーケース『キーキーパー』と言います。



さて次のお話。

僕たちはお仕事でよくA4サイズの紙を使うんだけど、これをモシャって置いとくのがなんか嫌だなあって思ってました。


もっと素敵な感じで置いておけたらいいなあと思って、作ったのがこちら。500枚のA4用紙を立てておける『アップライト』と言います。


さて次のお話。

トートバッグが大好きなんだけど、自転車に乗る時に邪魔なのがなんか嫌だなあって思ってました。

そうして作ったのがこちら

一瞬でリュックになる、手品みたいなトートバッグ『ハンドル』です。



そんな感じで、僕たちは
・自分にとっての「なんか嫌だなあ」を見つけて
・素敵な道具で解決しちゃう
っていうことを、やっているんですけど

「なんか嫌だなあ」と「素敵な道具」との間にある「?」の部分。

この「ひみつの方法」を、今日は特別に教えちゃおうと思います!

ドドン。

思いついたことを、とにかく紙に描く。そして、試作する。これを繰り返しているんです。

たとえばさっきの『キーキーパー』のときは、こんな感じで紙とホチキスだけで試作しましたし

『アップライト』のときは、木の板を使って試作しました。




でもね、思いついて試作したらすぐ完成!
なんてことは全然なくって。

なんか嫌だなを解決する方法を、考えて、試して、、


考えて試して、考えて試して、考えて試して…

とにかく何回も何回も、考えて、試します。

学校の図画工作なんかだと1つの作品を完成させたら終わりだと思うんだけど、僕たちのお仕事は作品ではなく試作品をいっぱい作るのが大切。

「そんなに何回もやるのって、大変そうな仕事だな」って思うかもしれないけど、実はそうでもなくって。

たとえばフライパンを作った時の「試す」っていうのは「料理を作って食べる」だし。キャンプ道具を作った時の「試す」だったら「キャンプに行く」ってこと。

ある意味、考えて遊んでを繰り返してるお仕事だとも言えます。


さてそれで。
今日はたったの2時間しかないので、こんなに何度もやれません。だから

今日できるのは、あくまで試作の1号機まで。そこから先は、おうちで何度もやってみてください。

今日はどんなに雑でも構わないので「とにかく試作まで作りきるんだ」ということを忘れないでいきましょうね。

では、さっそくやってみよう!



まずは手順を説明しますね。

まず最初に、カード1枚に1個ずつ「なんか嫌だな」って思うことを描いてみよう。

絵でも文字でもいいよ。

今日は、僕たちが開発したこの『メソッド』という道具を使ってやりますね。




そうしたら次。

集まったカードの中から、やってみたいものを「えいや!」で選んじゃおう。

それを解決する方法や道具を、どんどんカードに描いてみよう。

たくさんのカードが並ぶから、その中から試作してみたいものを「えいや!」で選んじゃおう。

試作が1つでもできたなら、せっかくだから記念撮影をしようぜ!

ということでザーっと手順を説明したんですけど、まずは1回、ためしにやってみましょうか。

ここにいる治田(ハルタ)さんが、「なんか嫌だなあ」って思うことがあるみたいですよ。

「家の猫が、食卓の上に置いてあるティッシュを食べちゃうの、なんか嫌だなあ。」

さあ、みんなで考えてみよう!

たとえばね、こんな感じ。

「 ティッシュにフタをしてみるのはどうかな?」って思ったなら、それをカードに描いて出してみる。


お、なんか思いついた?どんどん描いてみてよ。



いやー!いっぱいカードが並んだね。

この中で「あ、これいいかも」って思うカードがあると思うんだけど、そういうのをダンボールとか紙とかを使って試作するまでが、今日やることになります。

じゃあいったん話を戻して、みんなの「なんか嫌だなあ」をカードに出してみましょうか!

おおー!どんどん出るじゃないですか。大人だとこうはいかないんだけどね。さすがです。

じゃあその中から、お気に入りのカードを「えいや!」で決めちゃってください。

他の人が描いたカードでもいいからね。他のテーブルを見に行ってもいいよ。

じゃあその「なんか嫌だなあ」を解決する道具を、どんどんカードに描いていこう!

めちゃめちゃたくさんのカードが集まったぞ!

さて、この中から、試作してみたいものを「えいや!」で選ぼう。

この部屋にいろんな道具と材料が揃ってるから、どんどん好きに作っちゃえ!


みんなすごい集中力だな!怪我しないように気をつけてねー。


試作1号機ができた人は、撮影ブースで撮影しますよー!


試作のなまえ:
ホン

せつめい:
「しおりがついてて表紙がみれる普通にブックカバーです」


試作のなまえ:
ナクサナイ ボックス

せつめい:
「財布と携帯と鍵と、ペンとかをひとまとめに入れて立てておけます」


試作のなまえ:
サカミチスリッパ

せつめい:
「坂道になってるので、ぬげにくいスリッパです」


試作のなまえ:
アラーム シェルター

せつめい:
「目覚まし時計のアラームを、自分だけに聞こえるようにします」


試作のなまえ:
ハナジルシ コクバンケシ

せつめい:
「黒板がキーキー鳴らない消しです」


試作のなまえ:
ダレデモ スリッパ

せつめい:
「サイズが変えられるので、誰でも履きやすいスリッパです」

試作のなまえ:
テブランブレラ

せつめい:
「傘をさしながら荷物を下げられる、手ぶらで使える傘です」


試作のなまえ:
レゴカキ

せつめい:
「床に散らばったLEGOを、雪かきみたいに集めます」


試作のなまえ:
コンパクトレインコート

せつめい:
「小さくたたんでキーホルダーにできるレインコートです」



こんな感じで、たったの2時間で
・なんか嫌だなあを出す
・解決する道具を考える
・試作する

をやり遂げた子どもたち、すごいっ!

本当にお疲れ様でしたーー!!



さてみなさん、今日は「1個目の試作」を作るところまでやりました。

でも本当は、これからがスタートです。

今日の試作をもっと良くした試作2号3号を、どんどん作ってみたり。

日常の中で「なんか嫌だなあ」を見つけて、いろんな道具を考えてみてください。

考えて試して考えて試して、何年かかってもやってみてください!


これから暮らしていく中で、世の中にある商品も、今日みたいにたくさん考えて試作して作られてるんだなあってことを思い出してもらえると嬉しいです。


ありがとうございましたー!!!



最後にメモとして。

そもそもなぜこのワークショップをやったのか

動機を書いておきたいと思います。

僕は少し前に、小学校に図画工作の展示を見に行った時。

指定された何かを作る≒技術
自由に作る≒芸術


しかないことに気づいて、ちょっとショックだったんです。

目的のための試行錯誤≒開発

そのための工作があることを、子どもたちに伝えなきゃ!と思ったのです。

一個作って完成、ではない!
考えて試して、考えて試して、その繰り返しが大事。

作るべきなのは「作品」じゃなくて「試作品」!


そんな考え方を子どもの頃からインストールすれば、最強だと思うのです。

世の中のあらゆる物事が、未完成の「試作品」なのかもしれない。
全部「試作品」だと思えば、作ることなんて怖くなくなるさ。

自分にだって、もっと優れた「試作品」を作ることはできるのだから、どんどん作り替えていこう!

子どもたちの未来に、なにか繋がると嬉しいな。



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