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チームワークのコツ

「TENTのチームワークについて聞かせてください」

前回の「言葉」の話に続いて

ツジさんから、そんな質問をいただきました。

ツジさん

1.ジャッジよりもアドバイスを

ツジさん
TENTさんと関わる前も関わってからも、すごく面白いと思っているのが独特のチームワークなんです。


アオキ
チームワーク…どのあたり?


ツジさん
はい。えっと、たとえば僕が前に勤めていた会社とか、お手伝いしていたいくつかのデザイン事務所さんとかは、上司やトップが出てきて「よし、これで」って決定して進むんですね。

それって世の中の、わりとスタンダードな方法だと思うんですけど、TENTさんってそういう感じではないじゃないですか。


アオキ
うーん、たしかに、年上が一方的に決定したことはないかもしれない。

TENTってわりと始まりの形が珍しくて。僕がクライアントでハルタさんが受託だったところからスタートしてるんです。

アオキ

アオキ
なので、年下の僕が年上のハルタさんに「ここはこう直してください」ってお願いする立場だった。その名残で今もフラットな関係を続けられてるのかもしれないです。


ハルタ
たしかにこの二人で言うならそうですね。

ハルタさん




アオキ
あと、TENT立ち上げ当初は「提案をたくさん出すのが僕たちで、決定するのはクライアントである」って思ってました。

そういう考え方だと、クライントが「よし、これで」って言う立場だから、僕ら二人はフラットになれてたと言えますね。


ウエダさん
今はそうではないんですか?

ウエダさん

アオキ
そうですね、自社商品をやるようになってから変わりました。会社のお金は二人のお金なので「これで発注して良いかどうか」をお互いに間違いがないように確認し合うイメージ。

それまでの「許可をとるために説得資料を作る」「誰かがジャッジしてくれる」という心持ちではなく、単に製品をよくするために、お互いにチェックやアドバイスを求める感じに変わった気がします。


ツジさん
なるほど、なるほど。
ちなみに、ケンケンさんが加入してからは、変化はありましたか?


ハルタ
最初はわりと悩みましたね。


アオキ
そうそう、ケンケンさんは新卒だったから、その時点では僕らとは明らかに実力差がある段階で。フラットにしたいけど、すぐにはそうできなかった。

だからまずは、僕たちが出した提案の図面だけ描いてもらったり模型だけ作ってもらったり、いわゆるアシスタントっぽいこともしてもらってましたね。


ハルタ
その時期だけ切り取ってみたら、わりと上下がある組織だった気はしますね。


アオキ
でも、気がつけば SAND IT なんて名作を生み出したり、どんどん人気者になっちゃって。

アオキ
結果的に、一人のキャラが立ったクリエイターとして、フラットな立場で存在するようになって。今では僕もハルタさんも、ケンケンさんにアドバイスを求めるようになってますね。


2.本音が飛び交うように


ハルタ
組織的なことで言うと、それぞれの年齢や立場と、アイデア出しやアドバイスする時っていうのは完全に切り離したい。これはかなり意識してますよ。

立場が下だから本音が言えないなんてことになったら、年上の立場としてはものすごくツライんで。

本当は「ダセー」って思ってるのに言わないとか、そんなことをもし若い人からされたら、泣いちゃいます。


アオキ
僕も会社員の時は「僕は好きじゃないけど、こうすれば通るんじゃないか」って案を作ってしまうことがありました。

で、そういう案に限って採用されてしまって、自分が担当になって苦しい目にあうという。


ハルタ
そういうのは本当に避けたいですね。だから若い人から「TENTっぽくしました」とか「こういうの好きなんでしょ」って案を出されたくなくて。

TENTっぽいかどうかなんてどうでもいいから、本人が本気で好きで欲しいと思ってるものを出して欲しいですよね。


アオキ
とにかく本音が飛び交って欲しい。だからこそ、普段から雑談をかなりして、発言のハードルを下げまくる努力はしてます。

ちなみに、そういう意味では「読者ハ読ムナ」というこの本がめちゃくちゃ参考になったので、強くお勧めしたいです。




3.スタッフではなく仲間を増やす

ウエダさん
そもそもTENTさんって、人を募集するときのスタンスも違う気がするんですよ。普通はスキルを使える枠が決まってて、その枠を埋める人を募集する。でもTENTさんは枠って感じではない。


ハルタ
他の会社の経営の立場にある人を見ていると、たしかに『スタッフ』を欲しがってる人が多いですね。広報担当とかWeb担当、とかみたいな。

僕たちは『仲間』を増やしたいって目線で見てて。プロダクトデザインだけじゃなくて全部やる、この生き方とか働き方とか、同じような考え方をしてる人を増やした方が楽しいなって思ってます。



ウエダさん
TENTさんは、メンバーがそれぞれの得意をなんとなく理解してて、流動的なんですよね。

普通は主人公が決まってるんですよ。社長がいて社員が従うみたいな。でも、TENTって場面ごとに主役が変わる。「今はこの人のサポートを全力でやる」ってのが全員で理解できてる感じがします。


ツジさん
普段の会話もそうなんですよね。結論を出そうとしてるのか、適当に話題を振ればいいのか、誰のターンなのか、どこでオチがつくのか。みんなが理解できる。だから新人でも、どこで会話に入って良いかがわかりやすい。

行動でも同じことが起きてて。誰が何をやるというのが、自然に組み上がっていく感じなんです。


アオキ
うーん、自分たちのことだからよくわからないんだけど、なんでTENTはそれが実現できてるんだろう?


4.気遣いの原因


ツジさん
もしかしたらこれかな?と僕が思ってることがあるんですけど、いいですか。


アオキ

はい、どうぞ。


ツジさん
めちゃくちゃ細かなところで、気遣いがとにかくすごいなって思ってて。めっちゃ大事にしてるじゃないですか、人を。

たとえば、ちょっと重たい作業を頼まれたとして。作業完了して提出する時に。

他の会社だと
「できましたー」「はーい」
って感じなんですね。

でもTENTさんだと
「できましたー」「おおー!ありがとう!」
って感じじゃないですか。

小さなことなんですけど、この積み重ねは本当に大きい気がします。


アオキ
たしかに「ありがとう」と「すみません」は使いまくることを意識してます。そしてそれには明確に原因があることがわかりました。


ウエダさん
聞きたいです。


アオキ
TENTってもう、忙しさの限界まで人数を増やさなかったんです。ずっと二人でやってて、五年目でようやくケンケンさんが加入した

当時の募集記事
(現在は募集してません)

アオキ
だからもう、人がいるだけでめちゃくちゃありがたいんです。

荷物を持つ人数が多くなっただけでそれは「ありがとう!」って思うし、発送してくれるだけで「ありがとう!」だし。出勤してくれるだけで「ありがとう」って思うくらい。


ウエダさん
なんで限界まで募集しなかったんですか?


アオキ
「せっかくのお砂場が荒らされそう」とか言ってましたよね。


ハルタ
言ってましたね。そもそも「あと図面化しといて!よろしく」って帰るみたいなのが嫌だったんです。実務をやりたかった


アオキ
そうそう。図面描いて、試作して。それが楽しくてこの仕事してるのに、そこを人に渡すなんてつまんない!って思ってました。

あとは単純にケチだからっていうのもあったかもしれないです。人件費が怖かったと言うか。



5.清貧とチームワーク


ウエダさん
僕からも、ひょっとしたらと思うことがあります。TENTさんって、たぶん他と比べて事務所が狭いですよね。


ハルタ
うわー、それ、せつない理由。


ウエダさん
あと、全く区切られてない


アオキ
たしかに、大きなテーブルだけがあって、フリーアドレスですね。ブースも社長室もない。みんな中央の机を囲む形になっている。


ウエダさん
会社だとブースで区切られてたりするんですけど、そうすると相談するときも、相手のテリトリーに入らなきゃいけない感じになって敷居が高いんですよね。

TENTさんみたいにメンバーみんな同じテーブルだと、声がかけやすい。


アオキ
なるほどなあ、だからずっと雑談してられるっていうのもあるかもね。

しかしすごい結論だな。
・忙しさの限界まで人を雇わなかった
・事務所が狭い
・1つのテーブルをみんなで使ってる

どれも貧乏だから実現されたこととしか思えない。


ハルタ
つまり清貧の思想からくるチームワークですね。


アオキ
良い話みたいになった!


6.長い目で見て合理的に


ツジさん
最後に一つだけすみません、僕がすごく印象に残った話があって。

以前にアオキさんに「なんでみんなでランチ食べるんですか」って聞いたじゃないですか。その回答がすごいなって思ってて。


アオキ
なんでしたっけ


ツジさん
たしか「若い人は放っておくと食事とかどうでもよくなって毎日コンビニとかで安いものをサッと食べて終わらしちゃう。それなのに僕たちは良いランチを食べに行く。これは気持ち悪いじゃん」って。


アオキ
ああ、言いましたね。「だからランチ代支給でみんなで食べるんだよ」って。


ツジさん
これってめちゃくちゃすごくないですか?普通そこまでスタッフに気を遣いますか?


アオキ
いや、長い目でみたらそれが合理的なのよ。ランチでの会話が発言のしやすさにつながるし、なによりもプロであるからには健康でいてくれないと。

美味しいものをちゃんと食べて、楽しく健康にいて欲しい。これは組織のパフォーマンス維持のためには必要なことですよ。


ツジさん
なるほど。そういう細かな1つ1つの積み重ねがチームワークに繋がってるんだなって理解できた気がします。

今回も、ありがとうございました!


ハルタ
話が散らかっちゃった気がしたけど、答えになってるかしら。役に立てるとうれしいです。


アオキ
また何か質問あったらお気軽に!


ウエダさん

ありがとうございました。




もし聞いてみたい質問がありましたら、コメント欄からどうぞ。

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