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【詩】

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私の創作した詩を載せてゆきます
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#さよなら

大切

大切

親戚の子が亡くなったのは
十一年前の冬のことだった
夜中に家を出て公園で眠剤を飲んで
ベンチに横になり凍死したのだ

あのときのショックで
ぼくの病気は重くなり
ひどく疲れやすいのは
現在も変わらない

セクハラやDVを受けたこと
心の病
進学したかったのに
継父に反対されできなかったこと

そんな事情は
彼女が亡くなってから
発覚したことだった
なぜ黙っていたんだ

一緒に生きていたかった
もっ

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最後のキス

彼女の家に週に一度
足を運ぶけれど
帰りはいつも淋しいものだ

離れがたいから最後にキスする
また逢えるかな? その間に
命が終わるかもしれないのに…

呼んであったタクシーに乗り込む
小さく手を振る

何度逢瀬を重ねても
最後のキスがいちばん淋しい
正確に云うとキスの直後が