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夢の中、草原とチョコミントを知っていた僕。

ああ、これは夢だなと思った。

だって中学の制服着てるし。
だって、いつきが横にいるし。


なんでか知らないけれど、二人で、同じ制服で草原にいた。


僕は無地の濃紺のスラックスで、彼女は同じ色の膝丈のスカートで、今より幼い顔をしていて、少しだけ意地悪そうな顔をしていた。


風に吹かれる髪と真っ白で一回り大きなワイシャツと彼女。腰まで伸びた夏草がなびく。


「あおい」と呼ばれた。だけどポケットから薬を出すこともなく、ただ、ただ、そう呼ばれて手を繋いだ。落ち着いた脈に試験勉強でできたぺんだこ。


「いつき」と呼んだ。「ん」ともう片方の手で髪を耳にかけて微笑んだ。



そのうちに、夢である自覚がなくなって、僕はその世界に移り込んだ。

草原に寝っ転がって、いろんな話をした。

話の内容は覚えてないけれど、とにかく手を繋いで、寝っ転がってどうでもいいことをずーっと話していた気がする。


「ここどこだろうね」と僕が言うと「どこでもよくない?」と君が言った。そうだな、と思った。


「あおい」
「なに」
「呼んだだけ」
「なにそれ」
「女の子はそういうのが好きなんだよ」
「そうなんだ」


「・・・いつき」
「ん?」
「呼んだだけ」
「マネすんなよ」
「あはは、でもなんかくすぐったいな」
「ふふ、うちのこと、好きなんじゃない?」
「多分ね」


「あおい」
「なに」

「君にはまたいつか会う気がする」
「ふーん」

「たとえば、25歳くらいで」
「ほう」

「たとえば、小さな港町で」
「いいね、でも25歳って東京でバリバリ働く頃じゃないの?」
「あおいはその町で引きこもりになるの、そこにうちが現れて、一緒にあおいの家に住むの」

「俺引きこもりかよ」
「うん。ふふふ」

「いつきは?」
「うちは小説家」
「授業中も書いてるもんね」
「なんで知ってんだよ」
「挙動がおかしい」
「まじか」
「まじ」
「休み時間も書いてるよ」
「ずっと机にいるもんね」

「今度応募してみるんだ」
「そりゃすごい」

「賞取ったらアイス奢ってよ」
「いいよ」


「チョコミントが好きなんだ、うち」


知ってる。なんでか知らないけれど。






























p.s.
いろんな人にイラストや漫画を描いて欲しいです(もちろん有償で)。貯金が尽きるまでいろんな人に描いてもらって、「いつき」と「あおい」を見てみたいです。

p.p.s.
個人で働いているのでお仕事のやり取りには慣れています。また、インボイス対応しております。『「じゃ」へ。』を読んでみて「描いてやってもよかろう」という方はぜひInstagramのDMにお願いします。


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