クリスマスの気まぐれ.21

「あ、熱燗とかが良かったかもー!」

「いや、そういうことじゃなくて…。」

「ラーメン、お待たせしました!」

店員さんが目の前に、どんぶりを置いた。

「ありがとうございます!
はい、箸。」

カンナにも箸を渡して、手を合わせる。

「いただきます!」

ズルズルとラーメンを食べる私を見て、カンナが笑う。
それを見て、私も笑った。

身体は温まって、おなかもいっぱい。
ついでにほろ酔いのいい気分でお店を出る。

「すみません、ごちそうさまでした。」

カンナが申し訳なさそうに、頭を下げる。

「いいのいいの、急に誘ってごめんね。」

もしかして、お腹がいっぱいになると、心も落ち着くのかもしれない。
落ち着いたら、さっきのことを思い出して、深いため息がもれた。

「せっかく、久々のデートだったのに。
台無しにしちゃった…。」

歩きながら、呟く。
カンナはチラリと視線を向けたものの、黙ったまま耳を傾けてくれている。

「だってさ、ずっとスマホ見てるし。
それに私、天然じゃないし、せっかちでもない。」

「そうですよね。
ナズナさんは、天然じゃなくて、鈍感なだけです。」

「…なにそれ。」

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